これまでは普通にドッグフードを食べていたのに、ある日突然食べなくなってしまった、食べる量が極端に減ったという経験をした飼い主は意外と多くいます。
「体調が悪いのではないか」と心配になってしまいますが、もしかすると違うことが原因かもしれません。
今回犬の管理栄養士の資格を持つ私が、犬がドッグフードを食べない原因と解決するための対処法を紹介していきます。
普段からやってほしいことも解説しているので、気になる人は最後までチェックしてみてくださいね。
この記事を書いた人
保有資格:小動物看護士/ペット販売士/トリマーB級/ハンドラーC級/訓練士補/二級愛玩動物飼育管理士/動物取扱責任者/犬の管理栄養士/ペットフードアドバイザー1級/少額短期保険募集人
第一種動物取扱業:第225818003号 保管 動物取扱責任者:山本星海
JKC公認トリマー養成機関卒業。Dog salon Star seaを2018年に開業、犬のトリミングやドッグフードの販売を行う。トリマー歴10年目。愛犬:トイプードル2匹
わがままや食べ飽きたことが原因でドッグフードを食べない場合
ドッグフードだけだと見向きもしないけれど、おやつなどをトッピングすると食べるという場合は「わがまま」が原因として考えられます。
ドッグフードは全く口をつけないのに、おやつは食べるという場合も同じです。
いつも同じドッグフードなのに食べなくなったなら、毎日同じドッグフードばかりで飽きてしまっている可能性もあります。一度違うドッグフードにして食べるか試してみてください。
わがままが原因でドッグフードを食べない場合の対処法
わがままを直したい場合は、ドッグフードだけを普段と同じように与えて、フードを食べなくても15~30分間はそのままにしてみましょう。それでも食べなかった時は片付けます。
次の食事でも同じように行い、食べなければ何もせずに片付けてください。
このしつけを長くても2日間続けてみてください。犬は2日程度であれば水だけでも生活できます。
もちろん、途中で食べるようになったのであれば、しつけを終わらせてしまって構いません。
しつけをしている間は、ご飯の時間以外でもおやつをあげないように気を付けましょう。おやつの食べ過ぎでお腹がいっぱいになっている可能性もあるからです。
飼い主にとっては心苦しいかもしれませんが、途中でおやつを与えてしまうと全く改善せず元通りです。愛犬の要求に答え続けると「待っていればおやつをくれる」と悪い方向に学習してしまうことにもなるので、心を鬼にして試すようにしましょう。
おやつを与えずに食べてくれた時は、思いっきり褒めてあげることも忘れないようにしてください。
健康な犬に行うのは問題ありませんが、シニア犬や病気にかかっている犬、生後数ヶ月の子犬にはやらないようにしてください。
しつけを行うことで体調に悪い影響を与えてしまう恐れがあります。
食べ飽きたことが原因の場合
いつも同じドッグフードで飽きてしまっているなら、少しだけトッピングして与えてみてください。
愛犬の好きな物を食べ過ぎにならない程度に加えてあげると、気分転換にもなるのでおすすめです。
しかし、毎回何かしらトッピングしていると今度はわがままになってしまう可能性も少なくはありません。
今与えているフードが好みのニオイや味ではないようなら、思い切って違うフードに切り替えてみることも検討しましょう。
季節や環境の変化に影響されてドッグフードを食べない場合
犬は季節によって食事量に差が出ます。
夏は他の季節に比べて食事量が少なくなりやすく、冬は逆に食事量が多くなることがあります。変化したのは食事量くらいで、あとは普段と変わりないようなら深刻に考える必要はないでしょう。
ただ、夏は夏バテになることがあります。食べる量があまりにも少ない時は、夏バテを疑って対処していくようにしてみてください。
また、季節以外にも引っ越しで住む場所が変わったり、近所で工事が始まったりなど家の環境が変化したことが原因になることもあるでしょう。
模様替えで部屋の雰囲気がガラッと変わったり、犬の食事する場所や食器が変化するだけでも影響されることもあります。
季節や環境の変化によるものの場合
夏に食べる量が減る場合は、嗜好性の高いウェットフードを加えたり、ぬるま湯をフードに加えてふやかしてから与えてみてください。
ドライフードをメインに与えていると、柔らかいご飯というだけで食いつきが良くなることがあります。
夏は水分補給も重要となるため、特に老犬はウェットフードに切り替えるなどして、フードから水分を補給できるようにしておくといいでしょう。
季節によって食べる量が減るのは珍しくはなく自然なことです。
冬は春や秋に比べて食事量が増える傾向にあり、夏は逆に減ります。そのため、多少であれば気にする必要はありませんが、普段より半分近く残すようなら上記のような対策をしてみてください。
他にも、引っ越しなどをして今の環境に慣れていないようであれば、まず今の環境に慣れさせる安心させる努力をしましょう。
無理に構ったりせず自由に行動させて、害はないと思ってもらえるようにします。
あれこれしてあげるとかえってストレスになることもあるので、落ち着くまで様子を見ることも飼い主にとって重要な行動のひとつです。
切り替えたドッグフードが好みではなく食べない場合
新しいドッグフードに切り替えた途端に食べなくなったのであれば、単に好みではないのかもしれません。
警戒心の強い犬だと、嗅いだことのないニオイに警戒して食べないということもあります。
新しいドッグフードに切り替えて食べない場合には、ちょっとした工夫で食べてくれるようになります。切り替え方については下記の対処法で紹介していますので、参考にしてみてください。
切り替えたドッグフードが好みではなく食べない場合の対処法
いつものドッグフードから別のフードに切り替えたのであれば、最低でも1週間、慎重にいきたいなら2週間くらいの時間をかけてゆっくり替えていくようにしてください。
切り替え方は難しくありません。
まずはいつものフードに新しいフードを約4分の1混ぜた状態で与えます。問題なく食べられるようなら何日か続けて、その後新しいフードの量を少し多くして様子を見てください。
それでも問題ないなら数日後にまた新しいフードを多くする、という手順を繰り返して最終的には新しいフードだけを食べれるようにします。
警戒心の強い犬はニオイが違うだけで食べなくなることがあります。他にも、胃腸の弱い犬だと、新しいフードが体に慣れていないためにお腹を壊してしまうこともあるでしょう。
犬を含め動物はとても繊細ですので、切り替える際は慎重に行動してくださいね。
おやつを与えずに食べてくれた時は、思いっきり褒めてあげることも忘れないようにしてください。
正しく切り替えても食べない場合は、トッピングしたりフードをふやかして様子をみましょう。
それでもまったく食べない場合は、もったいないかもしれませんが、新しいドッグフードに変えてみることをおすすめします。
ドッグフードが酸化して食べない場合
一度でも開封したドッグフードは、空気に触れてどんどん酸化していきます。
開封したばかりの頃は美味しそうに食べるけれど、だんだんと食いつきが悪くなってきているなら酸化を疑いましょう。
酸化するとドッグフードのニオイが薄くなったり、味が変化したりします。ドッグフード自体も傷んでしまい、犬の健康状態にも良い影響はありません。なるべく早く対処しましょう。
ドッグフードが酸化して食べない場合の対処法
食べ物は空気に触れると、その瞬間から酸化が始まります。ドッグフードも例外ではないため、保存の仕方には注意が必要です。
保存場所はなるべく乾燥していて涼しい所を選ぶようにしましょう。
湿度や気温の高い場所は、酸化するペースを早めてしまうため避けてください。
また、開封後のフードはさらに傷みやすくなります。最後まで美味しく食べられるように、密閉容器に移し替えるのもおすすめですよ。
酸化は一年中起こるものですが、夏は特に酸化しやすくなります。犬がフードを食べ残したらそのまま放置したりせず、すぐに片付けることも忘れてはいけません。
傷みが進んだフードは、ニオイや味が変わるだけではなくフードの成分も変化し、愛犬の健康に影響を及ぼす恐れがあります。
対策すれば避けられるリスクですので、できる方法はやっておくようにしましょう。
運動不足でドッグフードを食べない場合
運動不足によってカロリーの消費量が少なくなると、あまりお腹が空かなくなります。
食欲が落ちれば、当然ご飯もそこまで欲しいとは思わなくなるため、ドッグフードを食べなくなるのです。
他にも、満足するまで思いっきり体を動かせないことは犬にとってストレスにも繋がります。天候が悪い日や飼い主の事情で散歩に行けない時のために、今からでも対策を考えておくようにしましょう。
運動不足でドッグフードを食べない場合の対処法
犬は大きさや犬種などによって適切な運動量が違います。
元々狩猟犬として飼われていた犬は運動量が多く、小型犬はそこまで必要としないことが多いです。
しかし、どの犬種も毎日体を動かす必要があるので、散歩の他におもちゃを使って遊ぶ時間を作るなどの工夫をしてみるといいでしょう。
近くに公園やドッグランといった場所がある場合は、そこで思いっきり走り回ったりボール遊びをしたりするのもおすすめです。
他にも、散歩の回数を朝と夕方の2回にする、散歩の距離を長くしてみるといった対策の仕方もありますよ。
それぞれの事情や犬の健康状態によってできること、できないことがあるため決して無理はせず、できる範囲で対策を取るようにしてみてください。
ライフステージの変化によってドッグフードを食べない場合
犬は通常、成長段階に合わせて食事量が変化していきます。
ライフステージとも呼ばれている成長段階は、大きく分けると子犬、成犬、シニア犬といったものがあり、それぞれの段階で見た目や行動に差が出てきますが、食事量も段階ごとに違いが見られるのです。
最も多く食べる時期が生後4~5ヶ月頃とされ、以降は徐々に量を減らしながら落ち着いていくと言われています。シニア犬になるとさらに量が減ってしまうため、食べないと勘違いしてしまうことがあります。
ただシニア犬の場合は、加齢によって噛む力や消化機能が衰えていることが原因である可能性も考えられます。
ライフステージの変化による食事量の低下は、生理的なもので病気ではありません。他に変わった様子がないのであれば、深刻に悩む必要はないでしょう。
ライフステージの変化によってドッグフードを食べない場合の対処法
年齢による食事量の変化なら、基本的には年齢に合わせて量を調節してあげるだけで十分です。年齢や体重ごとに適切な量があるので、愛犬にピッタリな量を調べて与えてあげましょう。
大体の量が分かればいいのであれば、ドッグフードのパッケージに記載されているものを参考にしてみてください。
詳しく調べたい場合は、年齢と体重から計算してくれるこちらの記事で計算してみましょう
また、シニア犬の場合は与え方を見直してみるのもおすすめです。消化機能の衰えや噛む力が弱くなっている場合は、ドライフードにウェットフードをトッピングしたり、完全にウェットフードへ切り替えてしまうのもいいでしょう。
それでも食べる量が少なくなってきた時は、少量でもしっかりカロリーと栄養摂取ができるフードを選んでみてください。温めればニオイも強くなるので、反応が鈍くなってきたら少しだけ温めてみるのもおすすめです。
加齢で食事の際の姿勢が辛くて食べる量が減っている場合は、食器の高さや角度を見直しましょう。愛犬が一番楽だと感じる姿勢で食べられるようにすると、食事量に変化が見られることがあります。
ストレスを感じてドッグフードを食べない場合
普段よりもあくびや足を舐める回数が増えているなら、ストレスに注意してください。
また、愛犬と触れ合う時間が減った、自宅周辺で工事をしている、相性の悪い人や犬がいるなど、思い当たるものはありませんか?
最初のうちはあくびの回数や毛づくろいの回数が増えるだけです。しかし、酷くなってくると噛みつく、吠える、毛が抜ける、フケ、便秘など、明らかな異変が見られるようになります。
なかでも繊細な子は、些細なことがきっかけでストレスを感じてしまうため、特に注意が必要です。溜め込み過ぎると病気に繋がることもあるので、早めに対処できるようにしましょう。
ストレスを感じてドッグフードを食べない場合の対処法
ストレスが食欲低下に繋がっているのであれば、原因となるものをできるだけ排除しましょう。例えばコミュニケーションが不足している、留守番の時間が長くなっているなら、触れ合う時間を多く取るようにします。
運動不足であれば家の中で遊ぶ時間を増やしてみるといいでしょう。
相性の悪い同居犬がいる場合は、別々の部屋に隔離して少しずつ慣れさせるという方法もあります。
ストレスの原因となるものはたくさんありますので、根気よく原因を探して対処していってください。
体調不良でドッグフードを食べない場合
体調不良が原因の場合、他にも普段は見られない行動や症状が現れます。
例えば以下のような症状です
- 鼻水
- 嘔吐
- 体重の減少
- ぐったりしている
- 下痢
- ふらつき
上記の症状はほんの一例ですが、食欲の低下以外にも気になる症状がある場合は病気を疑ってみてください。
歯周病や口内炎などで食べられなくなっていることもあるので、口の中を確認することも忘れないようにしましょう。
また、食べ物ではないものを誤飲した、犬が食べると毒となるものや殺虫剤などの危険なものを口にした時もドッグフードを食べなくなります。
命の危険もあるため、少しでもおかしいと思ったら直前に犬が取っていた行動を思い出してみてください。
体調不良でドッグフードを食べない場合
体調不良は原因となっているものを取り除かないといけません。
愛犬の行動をよく観察して、食べなくなる直前にどんなを様子だったのかを思い出します。他にも、体を隅々まで触っておかしな所はないか、触られるのを嫌がる部分はないか確認することも大切です。
明らかにおかしな症状がある、自分だけでは判断ができない時は、そのままにせずすぐに動物病院へ連れて行ってください。
余裕があれば、直前にしていた行動や気になる症状が見られるようになった時期をまとめておくといいでしょう。事前にまとめておくことでスムーズな診察ができるようになります。
普段からやってほしいドッグフードの与え方と注意点
ここでは普段から気をつけたいドッグフードの与え方や注意点について紹介していきます!
いろいろな種類のドッグフードを与えて慣れさせる
お気に入りのフードがあるのは良いことですが、場合によっては同じフードが食べられなくなることがあります。
例えば、お店での取り扱いがなくなる、商品自体の販売が終了するといったことです。
また、地震などの災害でどうしても食べられなくなる時もあるでしょう。そういった時に同じフードしか食べられないと、愛犬も飼い主も大変な思いをしてしまいます。
できるだけ多くのフードを食べられるように、ドライやウェットといったタイプはもちろん、いろんな味のフードを与えて慣れさせるようにしておきましょう。
ご飯として与えるものは、一般食ではなく「総合栄養食」と表記されているものを選んでください。一般食などの表記は、おやつや総合栄養食に混ぜるおかずとして与えるものなので、主食には適していません。
人間の食べ物は与えず手作りにこだわり過ぎないようにする
人間と犬が必要とする栄養には大きな違いがあります。
味付けに関しても全く異なるため、人間用に作られた食べ物を犬に与えることはしないでください。塩分はもちろん添加物も豊富なので、犬に与えてしまうと病気のリスクが非常に高くなります。
また、手作りご飯は一見安全のように感じます。
しかし、どんなに栄養に注意していたとしても、少しずつバランスが崩れて栄養が偏ってしまうことがあります。
ドッグフードはフードと水を摂取するだけで犬に必要な栄養を常にバランスよく補給できるように設計されています。
上でも少し書いたように、災害時は好きな物を自由に食べさせることはできないので、手作りにこだわり過ぎないようにしましょう。
もし手作りフードを与えたい場合は、ぺトコトフーズやココグルメなど獣医師が監修している手作りドッグフードを選ぶほうが安心です!
まとめ
愛犬がドッグフードを食べない理由にはいくつもの原因があります。
わがままであればまだ安心できますが、病気が原因である場合は一刻も早く対処する必要があるので、油断せずに見極めていくようにしましょう。
ちょっとした変化というのは、普段のコミュニケーションが多いほどすぐ気がつけるようになります。
ただ、どうしても分からない時は獣医師に相談するという方法もありますので、一人で悩んで抱え込まないようにしてくださいね。
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