暑い夏はスイカが美味しい季節です。
家でスイカを食べる機会が増え、人が食べていると「頂戴!頂戴!」とおねだりしてくる犬も少なくないでしょう。
おねだりしてきたり、美味しそうにスイカを食べている姿を見ると可愛くて仕方ないですよね。
ですが、みなさんは犬にスイカを与える際の注意点や適切な量等を知った上でスイカを与えていますか?
間違ったスイカの与え方をしていると体調不良を引き起こしたり、最悪の場合死に至ります。
愛犬と少しでも長く一緒に居るために正しいスイカの知識をこれを機に是非身に付けてください。
この記事を書いた人
保有資格:小動物看護士/ペット販売士/トリマーB級/ハンドラーC級/訓練士補/二級愛玩動物飼育管理士/動物取扱責任者/犬の管理栄養士/ペットフードアドバイザー1級/少額短期保険募集人
第一種動物取扱業:第225818003号 保管 動物取扱責任者:山本星海
JKC公認トリマー養成機関卒業。Dog salon Star seaを2018年に開業、犬のトリミングやドッグフードの販売を行う。トリマー歴10年目。愛犬:トイプードル2匹
犬にスイカを与えても良いの?
犬にスイカを与えるのは基本的に問題ありません。
体全体が毛で覆われている犬は人間よりも暑さを感じやすく、暑い夏は人間同様犬も夏バテになります。
人間と同じで犬も夏バテになると食欲が低下し、必要な水分量が足りなくなって余計に夏バテが悪化してしまうケースも。
こうした時にスイカの成分は犬にとっても好都合で、嗜好性の高いスイカをおやつ代わりに与えると水分補給にもなり食欲促進に繋がります。
ただし、与える際はお腹を壊さないように常温または常温に近いスイカを与えてください。
水分補給以外にスイカを与えるメリットはあるの?
ビタミンA
ビタミンAは皮膚や粘膜を健康に保ち呼吸器系をサポートしてくれます。
そして抗酸化作用もあるので老化防止にも効果的です。
ビタミンⅭ
ビタミンⅭは疲労回復や免疫力の向上に効果的とされています。
老犬や病気を患っている犬は生きていく上で必要な分のビタミンⅭを自分で作り出せないこともあるので定期的にビタミンⅭが含まれている食べ物を与えると良いです。
シトルリン
シトルリンは血管を若返らせ、血行を促進してくれます。
リコピン
リコピンは活性酸素を抑え、悪玉コレステロールからの酸化を予防して老化防止を助けてくれます。
肥満や視力低下の予防にも効果的とされています。
カリウム
カリウムには利尿作用があるため体内の不要な塩分の排出を助けてくれます。
ですがカリウムのとり過ぎは高カリウム血症になることがあるので与え過ぎには注意が必要です。
適量であれば犬にスイカを与えることは水分補給以外にもメリットになります。
犬にスイカを与える際に気を付けることは?
犬にスイカを与える際に気を付けることは大きく分けて3つです。
1つ目は“与える部分“になります。
スイカには沢山の栄養素が含まれていますが、その中には多量の果糖も含まれています。
果糖は砂糖に比べて健康に良いとされていますが、犬に甘いものはあまりよくありません。
そのためスイカを与える時は糖分の少ない皮に近い部分が望ましいです。
ちなみに、スイカの皮や種は消化不良を起こしてしまう原因になる場合もあります。
消化不良を起こすと嘔吐や下痢の症状が起きたり、消化できなかった部分が腸を傷つけて血便が出てしまうことも。
こうしたことから犬にスイカを与える時は皮に近い部分をカットし、皮と種がないことをしっかり確認してから与えましょう。
2つ目は“アレルギー“です。
スイカは健康に良いとされている食材ですが、ウリ科の植物のため犬によってはアレルギー反応が出ることもあります。
アレルギーを発症すると下痢や嘔吐、湿疹や呼吸困難、意識障害といった症状が出ます。
また、重症化はしなくてもスイカの汁がついた箇所が皮膚疾患を引き起こして脱毛にすることも。
こうしたことから犬に初めてスイカを与える時は万が一のことを考えて初めは少量のスイカを与えてください。
アレルギー反応が出なければ次回から少しずつ量を増やしてスイカを与えると良いです。
3つ目は“高カリウム症への注意“です。
スイカにはカリウムが豊富に含まれています。
そのため犬にスイカを過剰に与えてしまうと高カリウム血症になってしまう場合があります。
カリウムに対して制限のある病気を患っている犬は特に注意です。
また、カリウムが持つ利尿作用により普段はきちんとトイレでできる犬でもお漏らしをしてしまうことも。
こうしたことから犬にスイカを与える時は少量かつ食べ終わるまで様子を見ると良いです。
犬が1日で食べても良いスイカの量はどの位?
犬の大きさによって1日に食べても良いスイカの量は異なりますが、1日40~230gのスイカが理想とされています。
グラム数を見ると「それしか与えられないの?」と感じますが、人間よりも体が小さい犬はこの量でも十分なのです。
また、犬に与えるスイカは“食事“ではなくあくまで“水分補給“や“おやつ“なので、沢山の量を与える必要はありません。
犬別の1日で食べても良いスイカの量は以下になります。
・超小型犬(チワワやトイプードル等)
体重が4㎏前後の超小型犬には1日40g程度
・小型犬(パグやミニチュアダックスフンド等)
体重が10㎏前後の小型犬には1日80g程度
・中型犬(ボーダーコリーやスタンダードシュナウザー等)
体重が25㎏前後の中型犬には1日135g程度
・大型犬(ラブラドールレトリバーやドーベルマン等)
体重が25㎏以上の大型犬には1日180~230g程度
・子犬
子犬は消化器官がまだ発達していないためスイカを与えたことで下痢や嘔吐などの消化不良を起こすことがあります。
そのため子犬にスイカを与える際はごく少量もしくは与えないのが理想的です。
アレルギー以外にスイカを与えてはいけない犬もいるの?
スイカ自体に害はないですが、心臓病や腎臓病を患っている犬にスイカを与えてはいけません。
スイカにはカリウムという成分が含まれていて、カリウムには利尿作用があります。
そのため腎臓機能が弱くなっている犬がスイカを食べてしまうと排泄が追い付かなくなってしまう危険があります。
また、心臓機能が低下している犬がスイカを食べてしまうとほんの少しのカリウムでも過敏に反応してしまう可能性があります。
こうしたことから心臓病と腎臓病を患っている犬にスイカを与えることは非常に危険だということを理解してください。
ちなみに、スイカを与えることはダメではないけれども極力与えない方がいい犬もいます。
それは高血糖・糖尿病の犬・お腹が弱い犬です。
高血糖・糖尿病の犬はスイカに限らず果物全般与えない方がいいです。
果物には血糖値を上げやすい糖質が多く含まれているため高血糖や糖尿病の犬には好ましくない食べ物になります。
また、スイカには血糖値の上昇を抑える成分が含まれてますがスイカ全体の成分を見ると犬の血糖値上昇に繋がる食べ物のため極力与えないことが1番です。
お腹が弱い犬については、水分補給にもなる程水分含量の多いスイカは常温であってもお腹が冷えてしまうと同時に消化酸素を薄めてしまうので犬の消化吸収の力を弱めてしまいます。
それによりお腹が弱い犬がスイカを食べてしまうと下痢や軟便に繋がります。
下痢の場合脱水症状になってしまう可能性もあるので、お腹の弱い犬にはスイカを与えないことが1番です。
こうした犬にスイカを与えないのはもちろんですが、健康状態が把握できていない知り合いの犬や迷い犬にスイカをむやみに与えるのも非常に危険です。
健康状態がきちんと把握できていない犬にスイカを与えることはやめましょう。
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