ふわふわな毛並みが特徴的なポメラニアンですが、豊満な被毛を持て余している方も多いのではないでしょうか?
カット次第でキュートにもかっこよくも変身できるポメですが、実は無知なカットで健康を損なってしまう可能性がある犬種でもあります。
今回はトリミングサロンのオーナーであり大のポメ好きな私が、ポメラニアンの人気カットやトリミングの注意点について解説していきたいと思います。
この記事を書いた人
保有資格:小動物看護士/ペット販売士/トリマーB級/ハンドラーC級/訓練士補/二級愛玩動物飼育管理士/動物取扱責任者/犬の管理栄養士/ペットフードアドバイザー1級/少額短期保険募集人
第一種動物取扱業:第225818003号 保管 動物取扱責任者:山本星海
JKC公認トリマー養成機関卒業。Dog salon Star seaを2018年に開業、犬のトリミングやドッグフードの販売を行う。トリマー歴10年目。愛犬:トイプードル2匹
ポメラニアンはカットするべきではない!?
まず大前提で知ってもらいたい知識は「ポメラニアンはカットが必要な犬種ではない」ということです。
カットが必要不可欠なプードルやシーズーとは違い、ポメラニアンやチワワなどのグルーミング犬種と呼ばれる犬種は生涯カットをしなくても健康に生きていけます。
もちろん何もお手入れをしなくてもいいというわけではありません。グルーミング(爪切りや足裏バリカン、耳掃除や肛門腺絞りなど)は毎月する必要があります。
ですがバリカンで丸刈りなど、過剰なカットをすることで体温調節ができなくなって体調を崩したり、紫外線を直接あびた皮膚のトラブルが起きたり、元通りに毛が伸びなくなったりすることがあります。
逆に、ブラッシングが苦手ですぐ毛玉になってしまう子や抜け毛による飼い主のアレルギー、うんちやおしっこが付着してしまう子のかぶれなど、カットをするほうがいいパターンもあるでしょう。
トリマーの中にはポメラニアンのカットによるリスクを説明してくれない人もいます。愛犬にはどの程度のカットが必要か、飼い主自身がしっかりと学び考える必要があると私は思います。
○○カットという名前でオーダーするのは危険!
トリマーは国家資格ではないため様々な養成機関や資格があります。そのためペットカットの名称なども統一されていません。それぞれのトリミングサロンや個人でペットカットの基準が異なります!
例えばポメラニアンで有名な「柴犬カットで」というオーダーひとつでも、サロンによって仕上がりはまったく異なるものになってしまうのです!
特にポメラニアンは過剰なカットによるリスクもあるので、飼い主さんが(ふわふわ丸く仕上げてほしいな)と思っていてもバリカンでつるつる丸刈りにされてしまい、その後毛が生えなくなってしまった・・・というトラブルが起きる可能性があるのです。
そうなってしまうと、その後ふわふわに戻すためには数年かかったり、もしくは二度と戻らないかもしれません。
取り返しがつかないオーダーミスも…
そういったトラブルを防ぐには、より具体的なオーダーをするのがいいでしょう。
例えば「毛先から2~3センチ切って揃えてほしい」「バリカンを使わずにハサミで仕上げてほしい」などです。全体的なイメージを伝えるには理想のカットの写真を持っていくのがオススメです。もちろん、この記事の写真もぜひ活用してみてください。
ポメラニアンのおすすめ人気カット集
では早速ポメラニアンの人気カットを紹介していきます♪
あくまでおおまかに分けたものなので、以下の写真を参考にした上で愛犬に合わせてアレンジしてもらえればと思います。
ナチュラルカット
ポメラニアンらしさを残しつつ、ボサボサに見える飾り毛や汚れやすいお尻だけ整えたカットです。この程度でしたら毛が伸びなくなったり、体調に悪影響をもたらすリスクがないのでまずは試していただきたいカットです。
毎月トリミングサロンにいかなくても、こまめなブラッシングや月一程度のシャンプーでよりふわふわを保つことができます。
逆に、家でのお手入れがまったくできない!という方は月一程度でトリミングサロンにいかないと抜け毛が毛玉になってしまい皮膚が荒れてしまったりするので注意が必要です。
たぬきカット
上のナチュラルカットよりもしっかり面を揃えたカットです。下のこぐまカット、柴犬カットとは違い顔と胴を分けずにそのまま全体を丸く繋げるのが特徴です。
まだ控えめなカットなので毛が伸びなくなるリスクは少なめです。毛もたくさん残っているので皮膚も紫外線から守ることができます。歩く姿もモコモコプリプリでかわいいです♪
こぐまカット
さらに少しすっきりめなカットです。胴と分けて、顔周りを大きめに丸く作るのが特徴です。お耳も小さく丸く作ると可愛いです♪
ここまで切り込むと元のシルエットから少し離れるので、伸び途中、切られたまま停滞する毛と伸びてきた毛で二層になってしまうリスクがあります。その状態になってしまうとカットしないとよりボサボサに見えるのでずっとこのカットをし続けないと綺麗に見えなくなってしまうようになります。
こぐまカットから下のカットはポメらしいふわふわなシルエットが好きな方は安易に挑戦しない方がいいかもしれません。
柴犬カット
上のこぐまカットをもう少し短めにしたカットです。顔周りを丸く作って体はスッキリめに切り揃えます。キュートな印象になり、ブラッシングも楽になるので人気のカットです。
ですが上記のリスクはかなり大きくなります。若いころはこのくらい短くしても元通りに伸びたけど、歳をとったら毛が伸びなくなってしまった、というパターンも見かけます。生涯毎月トリミングサロンでカットをする覚悟を持ってオーダーしましょう。
また、寒さにも弱くなってしまうこともあるので冬場は24時間のエアコンが必須です。
バリカン仕上げ
柴犬カットは胴の部分をバリカンで仕上げることもできます。写真は胴を6㎜のバリカンで刈っています。お尻や腕もバリカンで仕上げる丸刈りもできますが、お尻や腕はハサミで仕上げた方が可愛らしさが残ります。とてもスッキリしていてお手入れも簡単です。抜け毛でアレルギーが出る方にもおすすめです。
バリカン仕上げは元通りに毛が伸びなくなる確率がグッと上がります。もちろん全員とは言いませんが、毛質も変わる可能性もありますし、皮膚が紫外線を浴びることで皮膚疾患が起こる可能性もあります。
体温調節も難しくなるので夏冬関わらず常に室温を調節する必要があるでしょう。
ライオンカット
体はスッキリ、顔周りと胸毛はそのまま残すカットです。メリハリを出すために体はバリカンを使うことが多いです。しっぽも合わせてライオンのように先だけ残すカットにするとよりライオンらしくなります。
上のバリカン仕上げと同じリスクがあります。
ポメラニアンのおすすめ部分カット
一番最初に説明した通り、ポメラニアンは無理に全身カットする必要はありません。トリミングサロンでシャンプーコースを頼みつつ、気になる部分だけ部分カットをお願いするのもおすすめです。特におすすめな部分カットを紹介します。
桃尻
一番人気の部分カットです。特に汚れやすいお尻だけ桃のように丸くカットします。歩く姿も可愛いですし、うんちやおしっこも付きにくくなります。
特にリスクもないので、なにか変化を加えてみたい!という方はまずは桃尻に挑戦してみましょう。
丸耳
お耳だけ小さく丸くカットするのもオススメです♪
ふわふわの毛の中に埋もれるように小さくお耳を作るとよりポメらしくなります。
ポメラニアンのトリミング頻度
ポメラニアンは一番最初にお伝えした通り、必ずしもカットをする必要がありません。なのでプードルやシーズーのように「〇か月に一度カットしなければならない」ということはありません。
ですがポメラニアンも、爪切り・肛門腺絞り・足裏バリカン・耳掃除などのお手入れやシャンプーは一か月に一回程度が理想です。
もちろんそれらが完璧に家でできるなら無理にトリミングサロンにいかなくてもいいでしょう。ですが完璧なグルーミングはなかなか難しいため、3週間~2か月に1回程度はトリミングサロンに連れて行くのがおすすめです。
サマーカットの危険性
よく「夏で暑そうなのでバリカンで出来るだけ短くしてあげて!」とおっしゃる方がいます。ですが今までも説明した通り、ポメラニアンは本来カットをする犬種ではありません。
ポメラニアンの被毛は、体温調節や皮膚の保護などの重要な役割があります。夏だからといって急にバリカンでつるつるにしてしまうと、逆に体温調節ができなくなったり紫外線で皮膚にダメージを与えてしまいます。
犬にとっての快適温は、平均して15.6~21℃です。環境温が35℃を超えれば明らかな体温上昇が見られ、43℃を超えると最悪死亡します。これはモコモコだろうと丸刈りだろうと変わりません。愛犬の体温調節はカットではなく、エアコンなど室温管理でしましょう。
お家でもするべき!ポメラニアンのお手入れ
先程画像で説明したグルーミングがすべておうちでできたらそれに越したことはありません。ですが、例えば抜け毛の絡みを取り切らずにシャンプーをするだけして、生乾きのまま放置したら逆に皮膚が荒れてしまいます。
ポメラニアンを愛犬にもつ飼い主さんが一番やるべきお手入れは「ブラッシング」です。
ポメラニアンは常に毛が生え変わります。抜ける毛のことをデスコート(死毛)といいますが、このデスコートをブラッシングで取り除かないとどんどん絡んでフェルトのようになってしまいます。そうなると通気性が悪くなり、皮膚も荒れますし夏場は特に熱がこもり体温調節も難しくなります。逆に、春から夏にかけての換毛期に念入りにブラッシングをしてデスコートをとってあげればそれだけで愛犬も涼しく快適に夏を過ごせるでしょう。
スリッカーというブラシを使い、出来るだけ毎日ブラッシングをしてあげましょう。
ポメラニアンのカットに関するよくある質問
- ポメラニアンのひげって切っていいの?
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猫と違い、犬のひげは切っても問題ありません。切るか切らないかは、見た目の好みで選んでもらって大丈夫です。
ですが一度切るとまばらに伸びてきて伸び途中の見た目やチクチク感が気になってしまうこともあるので要注意です。自分で切るとハサミが目に入ったり、ぺろっとした時の舌を切ってしまう可能性があるのでトリミングサロンにお願いしましょう。
- トリミングサロンってどうやって選べばいいの?
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HPやインスタなどでお店がカットした写真を見て、好みのカットのところにいくのが確実です。
犬への接し方や雰囲気は行ってみないと分かりませんが、不安なことは予約の時点で聞いてみるのがいいでしょう。ドッグランやお散歩で綺麗なカットをしている子の飼い主さんにどこのサロンへ行っているか聞いてみるのもおすすめです。
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基本的にワクチンを全部打ち終わってから一週間後からトリミングサロンにいけることが多いですが、まずは主治医に聞いてみましょう。
子犬の毛は子犬時代だけの特権です。いきなりカットはせずにまずはシャンプーコース(グルーミング)だけお願いするのをおすすめします。