なぜドッグフードに着色料・発色剤が使われるの?ペット栄養管理士が安全性を徹底解説!

ドッグフードには、栄養を補うための「栄養添加物」や、品質を保つための「酸化防止剤」「保存料」、さらには食いつきを良くするための「香料」など、さまざまな添加物が使われています。


また、中にはドッグフードに色をつける「着色料」や「発色剤」が使用されていることもありますが、これらはいったい何のために使われているのでしょうか?

効果や目的、犬に与える影響についてペット栄養管理士の私が詳しく解説していきます!

目次

そもそも着色料・発色剤って何?

着色料・発色剤とは、食材に色を付ける添加物です。

着色料は、元の食材とは異なる色も付けることができ、生鮮食品以外の様々な食品に着色することができます。
かき氷のシロップやグミなど、食材をカラフルにすることも可能です。

発色剤は、食材本来の色を引き出す効果があります。食肉製品や魚卵など国が定めた食品にのみ添加できます。

人間が食べるもので発色剤が使用されている主な例は、ハムやウインナー、かまぼこのピンクのところの赤やピンク色を引き出すためによく使われます。

市川叶望

着色料と発色剤を区別するために、「着色料は絵具で色を塗る、発色剤はニスを塗る」という表現があるそうです。

知っておきたい!ドッグフードに着色料・発色剤が使われる目的

ドッグフードに着色料が使われる目的は、見た目をよくすることで飼い主さんの購買意欲を高めるためです。

しかし、ドッグフードに発色剤を使用する目的は、2つあるのでご紹介していきます。

①見た目を良くするため

着色料同様に、フードの見た目を良くしています。

見た目で判断する人間の飼い主さんの購買意欲を上げるためです。
茶色の粒よりカラフルなほうが美味しそうに見えるといった考えからでしょう。

また、加熱や酸化によって褐色化することを防ぐ目的もあります。

②細菌の増殖を抑えるため

特に、食中毒の原因となるボツリヌス菌の抑制効果が高いといわれています。

発色剤の中でもボツリヌス菌の抑制効果が高いものは、亜硝酸ナトリウム(亜硝酸Na)です。

そのため、ドッグフードに使われる発色剤のほとんどは「亜硝酸ナトリウム」です。

ドッグフードに必要?着色料・発色剤の必要性を解説

結論から言うと、ドッグフードに着色料・発色剤は必要ありません

犬は人間のように見た目で「おいしそう」「まずそう」と判断することはありません。犬の嗜好性の中で最も重要と言われているものは「匂い」です。

肉食寄りの雑食動物であることから、肉や魚の匂いは嗜好性が高まり、食いつきがよくなる傾向にあります。
犬は五感の中で最も鼻が効くといわれているので、嗅覚はかなり頼りにしているでしょう。

一方で、食品の見た目に影響する視覚については、犬の五感の中で最も劣っているといわれています。

さらに、犬は赤やピンクが見えにくいので正直なところ、肉の色などはあまりわかっていないのです。

また、着色料・発色剤などの添加物が原因のアレルギーを引き起こす恐れもあるので、リスクを考えれば避けたい添加物になります。

合成と天然の着色料・発色剤の違いとは?わかりやすく解説

着色料・発色剤は、天然か合成かの2種類に分けられます。

ここでは、天然の着色料・発色剤と合成の着色料・発色剤の違いについて解説します。
それぞれのメリットとデメリットもあわせて、わかりやすくご紹介していきます。

天然の着色料・発色剤

天然の着色料・発色剤は、植物や動物から作られる自然由来の着色料・発色剤です。

天然の着色料には、赤キャベツ色素、トマト色素、ベニコウジ色素、ベニバナ黄色色素、コチニールカイガラムシという昆虫から抽出されるコチニールなどがあります。

天然の発色剤には、セロリパウダーなどがあります。

こちらは、比較的安全性が高いのが特徴です。

メリット
  • 素朴で柔らかな色調や独特の風味になる
  • 自然のものなので安全性が高い
デメリット
  • 光や熱に弱い
  • 変色や褐色しやすい
  • アレルギーのリスクがある

合成の着色料・発色剤

合成の着色料・発色剤は化学合成から作られる人工の着色料・発色剤です。

合成の着色料には、石油を原料としたタール色素である食用赤色、食用黄色、食用緑色、食用青色などがあります。

合成の着色料・発色剤は、日本ではADI(一日許容摂取量)が設定されていますが、アメリカや北欧で使用禁止や規制されているものもあります。

メリット
  • 鮮明に発色する
  • 加熱や酸化による変色を防げる
  • 細菌の増殖を抑える
デメリット
  • 亜硝酸ナトリウムは、体内で発がん物質を生成する可能性がある
  • 過剰摂取により呼吸困難などが引き起こされる場合がある
  • 亜硝酸ナトリウムや着色料などは、長期間の摂取で発がん性うつ症などの危険性がある

【まとめ】合成と天然の着色料・発色剤の違い

アメリカでは、合成着色料の一部である「食用赤色2号」の使用が禁止されています。また、北欧諸国では「食用赤色2・3・102・104・105・106号」「食用黄色4・5号」「食用緑色3号」「食用シアン1・2号」「食用青色1号」や「二酸化チタン」など、多くの合成着色料の食品への使用が禁止されており、注意が必要です。

ただし、これらの規制はあくまで人間用食品に対するもので、ドッグフードに対して着色料・発色剤の使用を全面的に禁止しているわけではありません

国によって基準は異なりますが、基本的には安全性が確認された添加物のみ使用が認められているのが一般的です。

とはいえ、合成よりも天然由来の着色料・発色剤のほうが、より安心して与えられるという点は、多くの飼い主にとって重要なポイントと言えるでしょう。

※各国の規制している添加物はこちらから見れます。

市川叶望

特に、「〇色◇号」と「二酸化チタン」という表記の着色料は、発がん性などのリスクがあるので避けたいですね。

安価なドッグフードに着色料が使われやすい理由はコレ!

着色料や発色剤がドッグフードに使われる理由として、飼い主さんの購買意欲を高めるためであることはすでにご紹介しましたが、特に安価なドッグフードではこのような添加物が使われる傾向が強いです。

その背景には、コストを抑えるために質の低い肉や大量の穀物を使用しているという事情があります。
こうした原材料は見た目の色が悪くなりがちで、それをカバーするために人工的に色を整えて“美味しそうに”見せているのです。

実際、安いフードの多くは主原料が穀物であり、肉の配合量も少ないため、本来の見た目は色の悪い茶色や灰色に近いことも多いでしょう。しかし、着色料や発色剤を使ってしまうと、本来の色がわからなくなってしまいます

また、これらの添加物には酸化しても見た目が変わらないようにする」という役割もあります。たとえば、品質が劣化しても色味が変わりにくいため、鮮度が落ちていても見た目では気づきにくくなるのです。

これは、見た目にだまされて劣化したフードを与えてしまうリスクにもつながり、愛犬の体調が心配になるような原因にもなりかねません。

このように、コスト重視で作られる安価なドッグフードでは、見た目をごまかすために着色料・発色剤が使われやすい傾向があるのです。

ドッグフードの着色料・発色剤のまとめ

犬は、見た目で食材が美味しそうなのかを判断しないため、着色料や発色剤はなくてもいいことがわかりました

発色剤は細菌を抑えるなどの効果もありますが、ほとんどが発がん性など体への影響が懸念される合成のものしかないため、安心して与えられるとは言い難いです。

着色料や発色剤の長期摂取はアレルギーを引き起こす恐れもあるので、できれば避けたい添加物になります。

愛犬の体に入るものなので、良いものを与えたいのはもちろん、悪影響があるものなどもってのほかです。

この機会にぜひ一度、愛犬に与えているドッグフードを見直してみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人

TCA東京ECO動物海洋専門学校動物看護科で3年間犬に関する知識やトリミングについて学び、多数の資格を取得
その後地元のトリミングサロンで基礎を修行した後Dog salon Star seaに入社。

保有資格:ペット栄養管理士、愛玩動物飼養管理士2級、ペットセイバー

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