犬に適した給餌量は、体重や状態、餌のカロリーによって異なります。
この記事では、犬の1日あたりの給餌量を求める具体的な計算式を紹介します。
実際に給餌する際のポイントもチェックして、愛犬にとって適切な給餌量を把握しましょう。
この記事を書いた人
保有資格:小動物看護士/ペット販売士/トリマーB級/ハンドラーC級/訓練士補/二級愛玩動物飼育管理士/動物取扱責任者/犬の管理栄養士/ペットフードアドバイザー1級/少額短期保険募集人
第一種動物取扱業:第225818003号 保管 動物取扱責任者:山本星海
JKC公認トリマー養成機関卒業。Dog salon Star seaを2018年に開業、犬のトリミングやドッグフードの販売を行う。トリマー歴10年目。愛犬:トイプードル2匹
犬の1日あたりの給与量をカンタン入力で自動計算!
以下の項目を入力すると、愛犬の1日あたりにどのくらいドッグフードを与えればいいかわかります。
犬の餌の量を計算する方法【3ステップ】
犬の1日あたりの給餌量を求めるには、以下の計算式を使います。
犬の1日あたりの給餌量[g]=DER(RER×活動係数)÷餌のエネルギー量(/100g)×100
具体的な計算の手順は、以下3ステップです。
- 犬の体重からRERを求める
- RERに活動係数をかけてDERを求める
- DERを餌のエネルギー量で割り、100をかける
それぞれ詳しく説明していきます。
1.犬の体重からRERを求める
RERとは、安静時必要エネルギー量(Resting Energy Requirement)の略で、「健康な動物が常温環境で安静にしているときに必要とするエネルギー量」を指します。
RERは、愛犬の体重さえわかっていれば計算できます。
2通りの計算式がありますが、どちらを使っても同じ数値が求められるので、好きなほうを選んでください。
- RER[kcal]=体重[kg]の0.75乗×70
- 体重[kg]×体重[kg]×体重[kg]=√√×70
- 4×4×4を計算(=64)
- 64を表示させたまま、√(ルート)を2回押す
- 2.82842…に70をかけて出た数値がRER
→64√√×70=197.98989…
計算の結果、体重4㎏の犬のRERは約198kcalと分かりました。
イメージしやすいよう、体重ごとのRERが一目で分かる表も載せておきますね。
体重 | RER | 体重 | RER |
---|---|---|---|
1kg | 70 | 11kg | 423 |
2kg | 118 | 12kg | 451 |
3kg | 160 | 13kg | 479 |
4kg | 198 | 14kg | 507 |
5kg | 234 | 15kg | 534 |
6kg | 268 | 16kg | 560 |
7kg | 301 | 17kg | 586 |
8kg | 333 | 18kg | 612 |
9kg | 364 | 19kg | 637 |
10kg | 394 | 20kg | 662 |
2.RERに活動係数をかけてDERを求める
続いてDERを求めましょう。
DERとは、1日あたりのエネルギー要求量(Daily Energy Requirement)の略で、「動物の体重・年齢・生活環境・運動量・療養中かどうか」などを考慮して決定します。
まずは以下の表を確認し、愛犬が当てはまる項目の活動係数を確認してください。
犬の年齢・状態 | 活動係数 |
---|---|
子犬:生後4か月未満 | 3 |
子犬:生後4~9か月 | 2.5 |
子犬:生後10~12ヶ月 | 2 |
成犬:避妊・去勢していない | 1.8 |
成犬:避妊・去勢している | 1.6 |
成犬:肥満傾向 | 1.4 |
成犬:減量中 | 1 |
成犬:妊娠1~4週目 | 2 |
成犬:妊娠5~6週目 | 2.5 |
成犬:妊娠7~8週目 | 3 |
成犬:授乳期 | 4~8 |
老犬:避妊・去勢していない | 1.4 |
老犬:避妊・去勢している | 1.2 |
なお、活動係数はひとつだけ選択します。
「避妊・去勢していない成犬で妊娠1~4週目」のように項目が重複する場合、活動係数は「成犬:避妊・去勢していない」ではなく、より具体的な状態を指す「成犬:妊娠1~4週目」を選びましょう。
活動係数が分かったら、RERを使ってDERを求めます。
DER[kcal]=RER[kcal]×活動係数
※RERは198、避妊・去勢済の成犬とする
- RER(198)に活動係数1.6をかける
→198×1.6=316.78383…
つまり、体重4㎏の犬のDERは約316kcalということが分かります。
3.DERを餌のエネルギー量で割り、100をかける
最後のステップ、DERを餌のエネルギー量(/100g)で割り、出た数値に100をかければ「1日あたりの給餌量」が分かります。
エネルギー量とはいわゆるカロリーのことで、ほとんどの商品はパッケージの裏に100gあたりのカロリー量が記載されています。
パッケージがない場合はインターネット等で商品を検索し、正確なカロリー量を確認しましょう。
1日あたりの給餌量[g]=DER[kcal]÷餌のエネルギー量(/100g)[kcal]×100
※DERは316kcal、与える餌のカロリーは300kcal/100gとする
- DER(316)を餌のエネルギー量(300)で割る
- 出た数値に100をかける →316÷300×100=105g
DERが316の犬に300kcalの餌を与える場合、1日あたりの適切な給餌量は「105g」ということですね。
なお、食事を1日2回与える場合は半量の約52gが1回量、1日3回なら35gが1回量です。
量計算だけではNG!犬の餌の量を決めるポイント
上記の計算式を使えば、愛犬に適した給餌量を具体的に把握できます。
ただ、その量が本当に適切かどうかは状況によって異なるため、「どんなときでもその量を与えていればいい」というわけではありません。
最終的な犬の餌の量は、以下3つのポイントを考慮して決めることが大切です。
- トッピングするなら餌は減らす
- 犬の運動量や季節によって微調整する
- 適量かどうかは犬の体重・便から判断する
トッピングするなら餌は減らす
肉や野菜をトッピングするなら、そのぶんドッグフードの量は減らしましょう。
トッピングによってカロリー量は異なりますが、そのつど細かく計算する必要はありません。
トッピングを2割入れる場合、ドッグフードは8割程度に調整してください。
犬の運動量や季節によって微調整する
運動量の多い犬と少ない犬では、消費カロリーが大きく異なります。
また、一般的に夏場は運動量・消費カロリーともに低下する傾向がありますが、冬は体温維持のため多くのエネルギーが必要です。
犬の運動量や季節に合わせて、ドッグフードの量は調整しましょう。
適量かどうかは犬の体重・便から判断する
給餌量が適切かどうかは、主に犬の体重や便をみて判断できます。
- コロコロして硬い・痩せてきた:餌の量が少ない
- やわらかい・太ってきた:餌の量が多い
計算で出た量と今与えている量に差があっても、体重や便に問題がなければフード量は変えなくても構いません。
「必ずこの通りに与えなくてはいけない」というわけではないので、あくまで目安として考えてくださいね。
まとめ
犬の給餌量を計算するには、大きく3つのステップが必要です。
初めはややこしく感じるかもしれませんが、体重・年齢・健康状態など、詳しい条件をもとに計算すれば、より正確な給餌量が把握できます。
愛犬の体重や便の状態もこまめにチェックしつつ、健康的な体型をキープしてあげましょう。
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