犬には哺乳期や成長期といったライフステージがあり、段階ごとにドッグフードの給餌量が変化します。
現在の愛犬が必要とする食事量をきちんと与えられていますでしょうか?
食事量以外にも、ライフステージごとに適したフードがあるため、どのようなものを与えたらいいのか悩んでしまうこともあるはずです。
そこで今回は、初めて犬を飼われる方でもわかりやすいように、ドッグフードの与え方を徹底解説していきます。
食事ひとつで体調に大きな影響を与えることもあるので、愛犬の健康を守るためにもぜひ最後まで読んでみてください。
Dog salon Star seaの専属ライターです!10歳になるチワックスと仲良く暮らしています。取得した知識を活かしワンちゃんに関する記事を執筆していきます!
保有資格:犬の管理栄養士、犬の管理栄養士アドバンス、犬の管理栄養士マスター
ドッグフードを与える前に愛犬の適切な給餌量を計算しよう!
ドッグフードの給餌量は、商品パッケージに記載されている量から判断している飼い主も多いかと思います。
しかし、商品パッケージに記載されている給餌量は、標準体重をもとにした「目安」であって、犬ごとに合わせた適切な量でありません。
愛犬に与えるドッグフードの適量を知ることは、愛犬の心身の健康や美しい見た目を守ることに繋がります。
理想的な体重や体型を維持するためにも大切なポイントなので、適切な給餌量をきちんと計算したことがないのであれば、この機会に一度見直してみてください。
給餌量を計算する前に愛犬の体型をチェック!
愛犬の体型によっても給餌量が変わるため、まずは愛犬がどのような体型なのか確認してみましょう。
愛犬の体型はボディ・コンディション・スコア(BCS)という、犬の体型を5~9段階で評価する方法で知ることができます。
- 犬を横から見た時のウェストのくびれ方を確認
- 真上から見た時の腰のくびれ方を確認
- 犬の胸周辺に触れ、脂肪の付き方や肋骨の感触があるかを確認
- ウェストや腰に触れて、くびれ具合や腰骨、背骨を感じられるか確認
理想的な体型とされているのは、肋骨が浮き出ていることはないけれど触れば骨の感触がある、腰にくびれがあって横から見た時にお腹が吊り上がっている状態です。
理想体型よりも脂肪が付いているか、くびれはあるかによって現在の体型を把握できるので、ぜひチェックしてみてください。
上記で挙げたポイントを参考にして必要な情報を得られたら、次は愛犬の適切な給餌量を計算してみましょう。
愛犬の適切な給餌量を計算
犬の1日あたりの給餌量[g]=DER(RER×活動係数)÷餌のエネルギー量(/100g)×100
犬の1日あたりの給餌量を求めるには、安静時必要エネルギー量(RER)を計算して、さらに1日あたりのエネルギー要求量(DER)も計算しなければいけません。
計算式が難しく大変に感じてしまう方は、以下の記事で愛犬に適したドッグフードの給餌量を自動計算してみてください。フードのカロリーと愛犬のライフステージ、体重、避妊去勢の有無が分れば、数秒で計算することができますよ。
主食とは別におやつを与える際は、おやつの量を1日に必要なカロリー摂取量の10~20%分におさまるようにします。
カロリー摂取量は主食とおやつを合わせた量なので、おやつを与えた際はその分ドッグフードの給餌量を減らすことも忘れてはいけません。
ライフステージ別のドッグフードの与え方を解説!
犬のライフステージによって1日の食事回数、ドッグフードの与え方が異なるためしっかり確認しておきましょう。
子犬のドッグフードの与え方
哺乳期(生後2週頃まで)
子犬が産まれてから生後2週頃までは母犬が母乳を与えて育てるのが基本です。
母犬の母乳は栄養価が高いだけではなく免疫を受け継ぐためにも大切なものなので、産まれたばかりの子犬にはなるべく母乳を飲んでもらうようにしましょう。
ただ、子犬の頭数が多いと母犬の母乳だけでは十分な量が行き渡らず、だんだん衰弱していく子犬が出てくる場合があります。
他にも、母犬の体調が悪くて母乳を与えられないといったこともあるので、きちんとした量を飲めていないと感じた時は子犬用ミルクを代用乳として使用してください。
- 液体
- リキッド
- 粉末
人が飲む牛乳には乳糖が含まれていますが、犬はこの乳糖を分解する酵素が少ないので、人用の牛乳を与えると腹痛や下痢を引き起こす恐れがあります。
栄養価についても子犬用ミルクの方がたんぱく質、脂肪、エネルギーが高いため、十分な栄養を与えるためにも人用の牛乳は与えないようにしてください。
- 生後1週間頃まで:1日に10回前後
- 生後2週間以降:1日に5回程度
母乳や代用乳の量が足りているかを確認するために、毎日体重を量ることも忘れないようにしましょう。
また、代用乳を使用する際は母乳を与えるグループと代用乳を与えるグループに分けて、定期的に交替するようしてみると、栄養の偏りを防ぐことができます。
離乳期(生後3週~2ヶ月頃)
生後3週を過ぎる頃にはだんだんと乳歯が生えてくるようになり、母乳以外の食べ物にも興味を示すようになってくるので、このタイミングで少しずつ離乳食に切り替えていきましょう。
離乳食は子犬用のドライフードを子犬用ミルクかぬるま湯でふやかして作ってあげてもいいですし、市販されている子犬用の離乳食を利用するのもおすすめです。
上手く食べられない場合は、無理に食べさせるのではなく少量の離乳食を子犬の口に付けて少しずつ舐めてもらうようにします。
子犬が自分で食べられるようになったら少しずつ離乳食の量を増やして、母乳や子犬用ミルクの量を減らしていってください。
- 1~2日目:1日1回
- 3~7日目:1日2回
- 離乳完了後:1日3~5回
離乳食は子犬の体調や食べ方を見ながら、1週間~10日ほどの期間を使って切り替えていきましょう。
きちんと適切な量のフードと水分を与えられているか不安な時は、子犬の便の状態を確認してください。
便が柔らかいようであればフード、または水分を与えすぎていて、便が硬い場合はフードか水分が少ない状態であると考えられます。
判断が難しい部分ではありますが、微調整をしながら子犬に合った離乳食を与えましょう。
成長期(生後3ヶ月~)
生後3ヶ月頃になったら離乳食からドライフードへと切り替えていきます。
- ドライフードへの切り替え方
- フードをふやかしている場合:ふやかす際に使用しているぬるま湯や子犬用ミルクの量を少しずつ減らす。
市販の離乳食を与えている場合:離乳食の横にドライフードを入れて一緒に食べてもらう。
問題なく食べているようであれば、離乳食の時と同じように1週間~10日ほどかけて完全にドライフードへ切り替えていきます。
切り替えが完了するまでは、子犬がドライフードを丸飲みしないようにきちんと噛んでいるかをチェックしてください。
噛まずにそのまま飲み込むと喉に詰まらせてしまうことがあるため、異常が見られたらすぐに対応できるようにしっかり見守ってあげましょう。
- 生後3~4ヶ月頃:1日3~5回
- 生後5~6ヶ月頃:1日3~4回
- 生後6ヶ月以降:1日2~3回
生後5~6ヶ月頃まではどんどん体が成長していくということもあり、たくさんの栄養が必要です。
しかし、成長段階にある子犬の消化機能はまだ十分発達しきれていないので、一度に与えるフードの量が多すぎると消化不良を起こす恐れがあります。
他にも、栄養の吸収も上手くできないことがあるため、一度の量を減らしてその分食事の回数を多くしてあげてください。
生後6ヶ月を過ぎる頃になると、成長スピードに落ち着きが見られるようになります。
食事量も少しずつ減っていくので、子犬の体型や便の状態、体重をチェックしながら一度に与える量と食事の回数を調節していきましょう。
避妊・去勢した子犬へのドッグフードの与え方
避妊・去勢手術をする前は、全体のエネルギーうち約30%が生殖器の機能維持のために活用されていました。
しかし、手術で生殖器が取り除かれると今まで消費していたエネルギーが使われなくなるため、今までと同じ食事の仕方をしているとカロリーの過剰摂取で太りやすくなってしまいます。
また、手術後はホルモンバランスも変化するため、以前より食欲が増し、食べすぎてしまうことにも注意が必要です。
- 高タンパク
- 低カロリー
- 脂肪・炭水化物を控えめにする
- 「避妊・去勢後用」といった目的に合ったドッグフード
子犬用のドッグフードはカロリーが高めの設計になっているため、手術後はカロリーを摂りすぎないように高タンパク・低カロリーのフードに切り替えていきましょう。
ただ、体を動かすのが好きな犬であれば、運動量を増やすことで体重管理がしやすくなるため、一般的な成犬用フードを与えても問題ありません。
食事量は普段の運動量に合わせて成長期の時より10~30%ほど少なくすると、食べすぎを防げます。
食事の回数は1日2~3回が目安ですが、1回の量が多くて食べきれない場合は回数を増やして1回の食事量を減らしてあげましょう。
成犬のドッグフードの与え方
成犬用のドッグフードへの切り替えるタイミングは、犬のサイズによって異なります。
- 超小型犬:8~9ヶ月
- 小型犬:10~12ヶ月
- 中型犬:12~18ヶ月
- 大型犬:16~24ヶ月
- 超大型犬:18~24ヶ月
サイズが大きくなればなるほど成長に必要な時間が多くなるので、愛犬に合わせてフードの切り替えタイミングを見極めていきましょう。
飼い主だけでは判断しきれない場合は、動物病院へ相談してみてください。
フードの切り替え方は成長期の時と同じく、1週間~10日ほどかけて少しずつ成犬用フードの量を増やして完全に切り替えていきます。
食事の回数は朝と夜の1日2回で、愛犬の好みや体質に合わせてフードを選んであげるのが基本です。
ただ、成犬以降のドッグフードのパッケージには「成犬用」以外にも「〇〇歳以上用」と記載されているものもあるので、購入の際はしっかり確認するようにしましょう。
愛犬の体調はもちろん、毎日の運動量や体型、体重をチェックしながら上手に食事量をコントロールできるといいですね。
シニア犬のドッグフードの与え方
- 超小型犬~中型犬:6~7歳頃から
- 大型犬~超大型犬:5~6歳頃から
シニア期と呼ばれる年齢になったら、与えるドッグフードも愛犬の状態に合わせてシニア犬用や高齢犬用に切り替えていきましょう。
成犬用のフードはシニア犬用と比べてカロリーや脂質が高いため、運動量やエネルギー消費量が減り、体の機能もだんだんと衰えてくるシニア期には負担が大きくなってしまいます。
カロリーオーバーで肥満になる恐れもあるので、愛犬の健康維持のサポートをしてくれる高齢犬向けのドッグフードがおすすめです。
食事の回数は1日3~4回に増やし、1回の食事量を減らしてあげると消化機能への負担を軽くすることができるでしょう。
ただ、犬によっては食欲が衰えず、与えられた分を全て食べてしまうことがあります。
たくさん食べられるのはいいことですが、欲しがるままに与え続けると健康維持に支障が出る恐れがあるので、体重・体型の変化やライフスタイルに合わせてしっかり調節してください。
ハイシニア犬のドッグフードの与え方
- 超小型犬~中型犬:10~12歳頃から
- 大型犬~超大型犬:8歳頃から
ハイシニア期の目安はあるものの明確な定義はないとされているため、愛犬がハイシニア期に入っているのか気になる場合は獣医師に聞いてみてください。
1回の食事量は消化機能の低下に加え、嗅覚も衰えてくるのでシニア期よりもさらに少なくなります。
食欲がありきちんと食べている場合でも、フードの量に気を付けないと吐き戻してしまうこともあるでしょう。
そのため、食事の回数は1日4~5回に増やし、一度に与える量を少なくして消化機能に負担をかけすぎないようにしてください。
選ぶフードは、良質なタンパク質が含まれる消化のよいものや少ない量でも栄養やカロリーをしっかり補給できるものがおすすめです。
また、歯や顎が衰えてドライフードだけだと食べにくい場合は、フードをふやかしてトッピングとして活用してみるといいでしょう。
総合栄養食であれば主食としてウェットフードだけ与えても問題はありません。水分補給もできるので、ハイシニア期にはぴったりでしょう。
ドッグフードの種類別の与え方を徹底解説!
ドライフード以外にもフリーズドライやウェットフードなどの種類があります。
それぞれ与え方や注意点が異なるため、ここで詳しく解説していきましょう。
ウェットフードの与え方
ウェットフードは目的によって与え方が異なります。
- ウェットフードの使用目的
- 総合栄養食:主食、またはトッピングとして使用
食事療法食:体質改善や病気の治療補助を目的としたフード
一般食・副食:足りない栄養の補給、食い付きを良くする
間食・おやつ:足りない栄養の補給、歯や毛玉のケア目的、しつけのご褒美
与え方はとても簡単!そのまま主食として与えるか、ドライフードに混ぜる、もしくはトッピングとして上に乗せるだけです。
ただ、ウェットフードのみを主食として与えたい場合は、総合栄養食と表記されているものの中から好みの商品を選ぶようにしてください。
一般食や副食、間食と表記されているものを主食として与えてしまうと、十分な栄養を摂取できずバランスが崩れてしまいます。
また、食事療法食は獣医師から指示を受けた場合のみに与えるものですので、特にこれといった指導を受けていないのであれば与える必要はありません。
食欲の低下が見られる時や嗅覚が衰えて食い付きが悪くなってきたシニア犬に与える場合は、ウェットフードを少し温めてあげると、香りが強くなって食い付きが良くなることがあります。
水分補給の手助けにもなるので、愛犬の体調や季節に合わせて上手に活用していきましょう。
フリーズドライの与え方
フリーズドライのドッグフードは、目的に合わせて使い分けが可能です。
- 目的に合わせた使い分け
- 主食:そのまま与える
主食:水、またはぬるま湯でふやかしてから与える
トッピング:指でほぐしてからドッグフードにふりかける
水で戻さずにそのまま与える場合は、愛犬の大きさに合わせてちぎってあげると食べやすくなります。
ふやかして主食として与える場合は以下の方法で与えてください。
- フリーズドライを必要な分だけそのまま、もしくは指で崩しながら食器に移す。
- 新鮮な水、またはぬるま湯(約35~37度)を加えて一度かき混ぜる。
- 約20~30分放置してちょうどよい柔らかさになっていれば完成。
商品によっては一般食やおやつと記載されていることもあるため、フリーズドライのみを主食として与える際は、事前に総合栄養食と表記されているかを確認しましょう。
フリーズドライをふやかす際に使う水やぬるま湯の量は、フードの3倍ほどが目安なので、フードを10g使うのであれば水は30gが基本です。
ただ、水やぬるま湯で戻す時間の長さによって食感を変えられるので、歯ごたえを好む場合は放置する時間を短くするといいでしょう。
ふやかす時間を短くしたい場合は、ふりかけ状になるまで細かくすると時間を短縮することができますよ!
また、ぬるま湯を使ってふやかす際は、お湯の温度が35~37度になっているか確認してから使うようにしてください。
お湯の温度が高いとフリーズドライに含まれる酵素やミネラル、ビタミンが損なわれ、大切な栄養を十分に摂取できなくなってしまいます。
新しいドッグフードへの切り替え方法や注意点は?
新しいドッグフードへ切り替える際はいきなり全てを替えてしまうのではなく、少しずつ新しいフードに慣れさせていくようにしましょう。
詳しい切り替え方は以下の通りです。
日数 | いつものフードの割合 | 新しいフードの割合 |
1~2日目 | 90~80% | 10~20% |
3~4日目 | 70~60% | 30~40% |
5~6日目 | 50~40% | 50~60% |
7~8日目 | 30~20% | 70~80% |
9~10日目 | 10~0% | 90~100% |
新しいフードへの切り替えは、1週間~10日ほどかけてゆっくりと行います。
そのため、新しいフードを試したい場合は、いつも与えているフードを食べきってしまう前に用意しておいてください。
また、ウェットフードは水分でかさが増えているので、ドライタイプからウェットタイプに切り替える時は、推奨されている量よりも少なめにしましょう。
食後の様子が普段と変わらなければ、徐々に増やして適切な量に調節していくと愛犬の体に負担をかけずに切り替えられます。
新しいドッグフードへ切り替える際の注意点
特定の食べ物に対してアレルギーを持っている場合は、愛犬に合わない食べ物が使われていないか原材料のチェックを忘れずにしてください。
アレルギーがあるか分からない時は、いきなり容量の多いフードを購入するのではなく一番小さいサイズかお試しサイズを選ぶようにしましょう。
内容量の少ないものを選べば、相性が悪かった時でも無駄になるフードの量を最小限に抑えることができます。
また、切り替えを始めてから数日間は、愛犬の体調や便の状態に変化が見られないかしっかり観察するようにしてください。
- 軟便
- 下痢
- 嘔吐
- かゆみ
食べ慣れていないフードを食べて便が少し緩くなるのは珍しいことではありませんが、何日も続くようであれば一度中断した方がいいです。
下痢や嘔吐、かゆみが見られる場合は、アレルギーの恐れもあるので、すぐに切り替えを中断して動物病院で詳しく診てもらうようにしてください。
ドッグフードを与える際の注意点!
ドッグフードの与える際の注意点は全部で6つあります!
それぞれを詳しくみていきましょう。
開封後は1ヶ月以内を目安に食べきる
ドッグフードは開封した瞬間から酸化による品質の低下が始まるため、ドライフードであれば1ヶ月以内に食べきることを心がけましょう。
酸化したドッグフードが犬に与える影響は以下の通りです。
- 下痢
- 嘔吐
- 腹痛
- 腎臓・肝臓へのダメージ
- 動脈硬化
- 老化
風味や見た目が悪くなるだけではなく、大切な愛犬の体にも悪影響を及ぼす恐れがあるため、開封済みのドッグフードはなるべく早く食べきれるようにしましょう。
また、開封後のドッグフードはジッパー付きの袋やタッパー、専用の保存容器といったものに入れてできるだけ空気に触れないようにすることが大切です。
ウェットフードは開封したその日に食べきるのが理想ですが、どうしても残ってしまう場合は、タッパーやジッパー付きの袋に移し替えて冷蔵保存で2~3日以内に与えてください。
保管する時は、一日中涼しくて日の当たらない場所を選ぶと酸化のスピードを遅くすることができるので、この機会に保管場所のチェックしてみてはいかがでしょうか。
食べ残しは捨てる!
食べきれず残してしまったフードは、ドライやウェットといった種類に関係なくすぐに片づけるようにしてください。
一度でも口を付けたドッグフードには犬の唾液が付着してしまうため、長時間放置すると唾液に含まれる細菌がどんどん繁殖してしまいます。
細菌は季節を問わず一年中繁殖しますが、高温多湿を好むので梅雨や夏は特に気を付けるようにしましょう。
また、ドッグフードだけではなく食事の際に使用した食器も、食べ終わった後にきちんと洗うようにすると細菌の繁殖を防げます。
菌が増殖すると食中毒のリスクも高まり、愛犬に辛い思いをさせてしまう恐れがあるので、もったいないと思っても早めに捨てるようにしてください。
愛犬に適したお皿を選ぶ
食事の際に使用するお皿は、愛犬のマズルの長さや年齢、食べ方を考慮しながら選ぶことをおすすめします。
- マズルの短い犬:浅めの食器、角度やかえしが付いた食器
- 早食いする犬:凹凸が付いた食器
- 耳が長く垂れている犬:深さがあり幅の狭い食器
- 金属アレルギーの犬:陶器製の食器
他にも、スタンド付きの食器を選ぶと床近くまで深くかがむ必要がなくなるので、足腰にかかる負担が軽くなります。
高さのある食器はどの犬にもおすすめですが、足腰が悪くなってくる高齢犬や体高の高い犬、フードを詰まらせることがある犬は特に意識してみるといいでしょう。
スタンドは食器と一体になっているものや食器台だけで販売されているものもあるので、好みに合わせて選んでみてください。
人間の食べ物は与えない
人間が食べることを前提に作られたものは、以下のような理由から犬に与えてはいけません。
- 犬にとって有害な食材が入っていることがある
- 栄養の過剰摂取により心臓や腎臓に大きな負担がかかる
- 必要な栄養に違いがある
- 肥満に繋がる
- ご飯に関してわがままになってしまう
人が普段食べているものの中には、犬が中毒を起こす恐れのある成分が含まれている食べ物もあります。
場合によっては命に係わる深刻な事態に発展する可能性もあるため、有害な食材自体はもちろん、毒となるものが含まれている料理も与えないようにしましょう。
また、人間と犬では体のつくりや大きさが異なるので、必要となる栄養素、摂取量にも違いがあります。
特に糖分や脂質、塩分といったものはカロリーの摂りすぎによる肥満に繋がりますし、心臓や腎臓にも大きなダメージを与えるため、食べさせないようにしてください。
運動前後には与えない
食事の直後に散歩や激しい運動をすると「胃拡張・胃捻転」といった病気を引き起こしてしまう恐れがあります。
- 食事後の激しい運動
- フードの食べすぎ
- 水の飲みすぎ
- 早食い
- ストレス
「胃拡張」は発酵したガスや吸い込んだ空気によって胃が膨らみすぎてしまうこと、「胃捻転」は胃が捻じれてしまっている状態のことです。
胃が過剰に膨らみ、さらには捻じれることで他の臓器や血管を圧迫すると、血流障害を起こしたり、臓器が壊死したりすることもあります。
胃拡張・胃捻転は食事数時間で発症すると言われ、治療が遅れると犬の命の危険もある病気なので、日頃から気を付けないといけません。
散歩や運動をするのであれば、食後2時間程度休ませてから行うようにしましょう。
また、運動後すぐの食事も、消化不良や犬が体調を崩しやすくなってしまうため、適切な食事タイミングとは言えません。
理由は、運動後の血液は筋肉に集中するため、消化器官にまで十分な血液が行き渡らないからです。
消化不良を起こすと必要な栄養の吸収がきちんとできなくなるので、健康維持にも支障が出てしまいます。
そのため、運動後に食事をさせる場合は、1時間程度体を休ませてから与えるようにしてみてください。
療法食は必ず獣医師に相談する!
療法食はすでに軽く説明したように、体質改善や病気治療の補助を目的としたフードです。
病気の種類に合わせて栄養バランスが調整されている特別なフードなので、獣医師からの指示がないのであれば与える必要はありません。
商品パッケージに「犬用食事療法食」といった表記や「登録療法食」のマークが表示されているので、間違えないようにきちんと確認してください。
一般的な総合栄養食で見られる「〇〇サポート」といった、機能性ドッグフードとは別物ですので、同じ感覚で与えてしまうとかえって愛犬の健康を損なう可能性があります。
もし病気の疑いがあるのでしたら、自己判断で療法食を与えるのではなく、まずは動物病院で詳しく検査をしてもらい、専用のフードを食べさせた方がいいのか相談しましょう。
現在ではネット通販でも療法食を購入できますが、以上の理由から安易に手を出すことは避けるようにしてください。
間違ったドッグフードの与え方をするとどうなる?
間違ったドッグフードの与え方は犬の健康に大きな影響があります。
どのようなことが起きてしまうのか、早速みていきましょう。
肥満になる
必要以上にフードを与え続けてしまうと、適正カロリーを大幅に超えてどんどん太ってしまいます。
肥満は体型や体重に変化が見られるだけではなく、様々な病気のリスクもあるため犬種に関係なく気をつけないといけません。
- 高血圧
- 椎間板ヘルニア
- 関節炎
- 糖尿病
- 呼吸障害
- 心臓病
- ガン
この他にも肥満は免疫機能を低下させるので、ウィルスや細菌への感染もしやすく、回復も遅くなる傾向にあります。
フードの与えすぎに気を付けるのはもちろんのこと、適度に運動をしてカロリーを消費させることも意識するようにしましょう。
痩せすぎてしまう
- 栄養失調
- 体力の低下
- 免疫力の低下
- 筋肉量の低下
- 肝機能の低下
肥満を気にしすぎるあまりドッグフードを適量よりも少なくして与え続けると、痩せすぎの体型になってしまいます。
病気への抵抗力も低くなるため体調を崩しやすく、一度病気にかかるとしっかり治るまで長い時間が必要になるでしょう。
太りすぎや痩せすぎといった極端な体型は、どちらも免疫力を低下させ、病気のリスクを高めてしまいます。
愛犬の適正体重を計算し、定期的に体重と体型を確認して記録しておけば変化にもすぐ気が付けるので、毎日適切な量のドッグフードを与えるようにしてください。
栄養が不足する
必要な栄養を十分摂取できていない状態が続くと、栄養失調になるリスクが高まりますが、見た目の変化が大きくないため、注意深く観察しないと気が付きにくいです。
- 脱毛
- 毛艶が悪くなる
- 便秘・下痢
- 食糞・異食
- 貧血
- 歯が抜ける・欠ける
- 不眠
- 痙攣
- 昏睡
栄養不足や栄養失調になると、皮膚に関する症状がよく見られるようになるので、脱毛や毛艶の他にも、毛が切れたりフケの量が多くなっていたりしないかチェックしましょう。
気が付いた時には症状が進行し、命に係わる危険な状態になっている可能性もあります。
普段はしないような行動をしたり、愛犬の様子が変だと感じたりした場合は、早めに動物病院で診てもらうようにしてください。
ドッグフードの与え方Q&A
ドッグフードの与え方に関する疑問について、犬の管理栄養士の資格を持つ私が回答していきます!
- ドッグフードのふやかし方は?
-
ドッグフードを入れた食器に30~40℃のお湯をフードと同量か2倍ほど多く加えて、約10~15分放置します。
指で押して潰れるようであれば、全体的に混ぜて人肌まで冷ましてから与えてください。
時間を短縮させたい時は、フードをミキサーで細かくしてからお湯を加えると5分ほどで柔らかくすることが可能です。
電子レンジを使う時は、ラップをかけてから500Wで約20秒温め、柔らかさを確認します。
硬い場合はラップをかけて約5分蒸らして状態を確認し、ちょうどよい柔らかさになっていれば完成です。
- ドッグフードへのトッピング方法は?
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ドッグフードにトッピングする場合は、1日の必要エネルギーの1~2割程度の量を与えるようにしましょう。
ウェットフードや犬用おやつ、犬でも食べられる野菜や肉、魚をトッピングしてあげると、食感の変化から食い付きが良くなったり気分転換になったりします。
ただ、トッピングする時は、ドッグフードの量を約1~2割分少なくしないとカロリーを摂りすぎてしまうので、食事量の調節には十分気を付けるようにしてください。
トッピングにおすすめのドッグフードランキング6選!おすすめの食材や商品を犬の管理栄養士が解説 愛犬の偏食に悩む飼い主さんにとって救世主になるのが「トッピング」です。 ですがドッグフードのトッピングにも色々な種類がありますし、毎日与えるものなら安全性や栄… - 手作り食をメインとして与えても大丈夫?
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手作り食は新鮮な野菜や肉、魚を食べさせることができるだけではなく、愛犬の好みに合わせて食事を作ることもできます。
添加物も使用しないので飼い主にとっても安心できる食事方法ですが、メインとして与えるのはおすすめしません。
手作り食は専門的な知識がないとバランスに気を付けて作っているつもりでも、栄養に偏りが出てしまいます。
そのため、メインとしてではなく、たまに作ってあげる程度にとどめておくようにしましょう。
もし手作り食を与えたい場合は、購入することも1つの手段でしょう。
- 食事時間は固定するべき?
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成犬の場合、食事の回数は朝と夜の1日2回が基本ですが、与える時間に関しては「朝は〇時、夜は〇時」と明確に固定する必要はありません。
むしろ、時間を固定してしまうと食事のタイミングを覚えてしまい、決まった時間に食事が出ないことにストレスを感じる可能性があります。
他にも、食事の時間になるとご飯の催促をする「要求吠え」をするようになるため、厳しく時間を決めずにおおよその時間で与えるといいでしょう。
- 多頭飼いの場合は時間をずらして与えたほうがいい?
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与えているフードが違う場合は、食事の時間をずらしたり場所を変えたりすると、他の犬に食べられる心配が減ります。
しかし、全員が同じドッグフードを食べているのであれば、愛犬ごとに時間をずらす必要はありません。
ただ、食事の時間になるとケンカをしたり、フードの取り合いをしたりする場合は、犬同士の距離をあけるか、別の部屋で食べさせるようにしましょう。
まとめ
ライフステージに合わせたフードを与えることは、愛犬が健康的に元気よく生活をしていくためにとても大切なポイントです。
必要とするエネルギー量や食事量は成長段階で異なりますし、年齢によっては体の機能が衰えてくるため、今現在の愛犬にぴったりな食事を提供してあげられるようにしましょう。
また、ドッグフードにはいくつかのタイプがあるだけではなく、使用目的にも違いがあります。
愛犬に適したフードをきちんと与えられるように、細かくチェックすることを忘れないようにしてください。