【ペット栄養管理士監修】ドッグフードの原材料・成分表の見方を徹底解説!愛犬にあったドッグフードを選ぶコツも紹介!

「愛犬にはいいものを与えたい、けどドッグフードの何が良くて何が悪いかわからない!」という飼い主さんもいるのではないでしょうか。

そんな愛犬思いの飼い主さんへ、ドッグフードの原材料と成分の表を見ただけで愛犬に合ったフードなのか分かるよう、ペット栄養管理士の私が詳しく解説していきます!

その子に合ったドッグフードの選び方もわかりやすくまとめているので、ぜひ最後までご覧くださいね。

目次

ドッグフードのパッケージに必ずある!記載項目をわかりやすく解説!

はじめに、日本で販売されているドッグフードには必ず記載されている項目があるので、そちらを詳しく解説していきましょう。

まず、農林水産省が定めるペットフード安全法」では、以下の5項目の表示が義務付けられています

  1. ①ペットフードの名称
  2. ②原材料名
  3. ③原産国名
  4. ④賞味期限
  5. ⑤事業者名及び住所

さらに、公正取引委員会(または消費者庁)とペットフード公正取引協議会が定めた「ペットフードの表示に関する公正競争規約」というものがあります。

そこでは、ペットフード安全法で義務付けられている5項目以外に、以下の4つが義務づけられています

  1. ⑥ペットフードの目的
  2. ⑦内容量
  3. ⑧成分
  4. ⑨給与方法

この合わせた9つの項目は、日本で販売するドッグフードであれば、ドッグフードのパッケージの裏面、もしくは側面などの見やすい位置に必ず記載してあります。

成分表の栄養素表示義務は5つある!

栄養成分の表記については「ペットフードの表示に関する公正競争規約」により、タンパク質、脂質、繊維質、水分、灰分の五大栄養素の含有量を表示するルールもあります。

五大栄養素以外の成分については、表示の義務はありませんが、良心的なメーカーではそれ以外の成分もしっかり記載していることがあります。

オメガ3脂肪酸やオメガ6脂肪酸、リンやカルシウムなどミネラル・ビタミン・アミノ酸などの記載があると、より詳しくフードの内容を知ることができて嬉しいですね。

市川叶望

ドッグフードの成分表示でよく見かける「粗〇〇」という表記。この「粗」は、「おおよそ」という意味で使われています。
また、これは「保証成分値」と呼ばれるもので、必ずその量が入っているというわけではなく、「このくらいは入っている(または超えていない)」という目安になります。

ドッグフードの原材料は5つのポイントをチェックすれば安心!

原材料名を見れば、どんな素材が使われているかは一応わかりますが、「結局どれが良くて、どれがあまり良くないのか知りたい…」という飼い主さんも多いのではないでしょうか。

そこでここでは、原材料の見方のポイントや、できれば避けたい食材・添加物について、項目ごとにわかりやすく解説していきます。

主原料をチェック!先頭から4番目くらいまでは見ておこう!

原材料名はペットフードに使用されている素材の多い順に並んでいますが、4番目の素材まではよく見ておくべきです。

上記の画像の場合、鶏肉が最も多く使用されており、次に大麦、次に玄米が多く使用されているという見方になります。

この時の1番目に表示されている食材、つまり最も多く使用されている食材のことを「主原料」と言います。
犬は肉食寄りの雑食動物なので、この主原料が肉や魚といった動物タンパク源であることは大変好ましいです。

さらに、主原料の原産地やグレードなどが記載してあると、安全性がわかり安心できて良いですね。

アレルゲンがないか確認しよう!

お肉は、実は犬のアレルギーの原因になりやすい食材のひとつです。
与える前に、愛犬がアレルギーを起こす可能性のあるお肉が使われていないか、まずはしっかり確認しましょう。

また、犬は穀物を大量に消化するのがあまり得意ではありません。ただし、穀物はエネルギー源になるため、必ずしも“悪いもの”というわけではないんです。

とはいえ、小麦・大豆・トウモロコシなどはアレルゲンとなりやすい食材として知られているので、含まれているかどうかはチェックしておきたいところです。

中でも、小麦が一番アレルゲンになりやすいため、小麦グルテンフリーのフードは、アレルギーのリスクを少しでも減らせる点で嬉しいポイントと言えるでしょう。

また、原材料に「動物性油脂」とだけ書かれている場合、何の動物の油か分からないため、アレルギーがある子には避けたほうが安心です。

市川叶望

卵や乳製品も気になるようであれば、合わせて確認しておくとより安全ですね。

「〇〇類」「〇〇等」の曖昧な記載には注意!

原材料の曖昧な記載は、何が使われているかわからないため、避けたほうが良いフードの1つになります。

「〇〇類」と書かれていても、そのあとに(◇◇、△△)といった具体的な記載がある場合は、どんな原材料が使われているのかが明確で安心できますよね。

一方で、「〇〇類」だけだったり、「◇◇等」といった曖昧な表記だと、実際に何が入っているのかが分かりづらく、少し不安に感じてしまうこともあります。

表記のない食材が、ワンちゃんによってはアレルゲンだった場合が一番恐ろしいです。

フードによっては〇〇(□□県産)など、産地を表記をしているフードもあり、より安心して与えれます。

原材料は最初から最後まで、しっかり明記されているフードを選ぶようにしましょう。

健康をサポートする成分が入っているかチェック!

原材料に犬の健康をサポートする食材や成分も配合されているか、確認しておきましょう。

  • グルコサミン
  • コンドロイチン
  • 乳酸菌
  • オリゴ糖など

特に大型犬は股関節に負担がかかりやすく、グルコサミン・コンドロイチンなど関節や骨をサポートする成分が入っているフードを選びたいですね。

おなかが弱い、便が硬い・緩いなどの腸内環境にお悩みを持つワンちゃんは乳酸菌やオリゴ糖が含まれるフードを選ぶとよいでしょう。

添加物は必要かつ天然由来の成分かチェック!

ドッグフードに使われる添加物は全てが悪いというわけではありません

例えば、熱に弱い栄養素は製造過程の加熱処理で失われてしまいます。そういった補うべき栄養素、主にミネラルやビタミンを加えるのも添加物です。

ただ、栄養を補う以外に長持ちさせるため、見た目を良くするためなど犬が食べることには関係ない理由に加えられた添加物もあります。

その中には、避けたい添加物があるので、以下にご紹介していきます。

  • 酸化防止剤・・・BHA(ブチルヒドロキシアニソール)、BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)、エトキシキン
  • 発色剤・・亜硝酸ナトリウム
  • 着色料・・・赤色2号、赤色3号、赤色40号、赤色105号、黄色4号、黄色5号、黄色6号、青色1号、青色2号、青色102号など

BHA・BHT・エトキシキン・亜硝酸ナトリウムは、発がん性の恐れなど健康問題に関わる恐れがあるため、ペットフード安全法で使用上限が定められています。

酸化防止剤にはいくつか種類がありますが、中でもミックストコフェロールやローズマリー抽出物など、天然由来のものは効果が穏やかで、体への負担も少ないとされています。
できるだけリスクを避けたいなら、こうした天然由来の酸化防止剤が使われているフードを選ぶと安心です。

また、着色料は見た目で味を判断しない犬にとって必要のない添加物です。中には、アメリカや北欧などで使用が禁止されている成分もあるため、できるだけ避けたいところですね。

市川叶望

そのほかにも、猫には使用が禁止されているプロピレングリコールや、発がん性のリスクが指摘されているソルビン酸カリウムなど、できれば避けたい添加物もあります。購入前に、しっかり原材料を確認しておくと安心ですね。

愛犬に合った成分と栄養バランスの見方を解説!

栄養成分を見ると、「〇%以上」や「〇%以下」といった表記がよくありますが、それが高いのか低いのか、平均的な数値なのかさえ分からず、戸惑ってしまう方も多いのではないでしょうか。
愛犬に合った数値を判断するのは難しいですよね。

ここでは、保証成分値の見方について簡単に説明しつつ、目安となる参考表もご用意しました。

成分タンパク質脂質粗繊維灰分
高い27%以上16%以上10%以下10%以下
高め25~27%以上14~16%以上5~10%以下8~10%以下
標準22~25%以上12~14%以上3~5%以下6~9%以下
低め20~22%以上10~12%以上2~3%以下4~5%以下
低い20%未満10%未満2%未満3%未満

この表をひとつの目安にして、フードに含まれる栄養素が多いのか少ないのかをざっくりと判断してみるとわかりやすいですよ。

つぎに、各成分の特徴について説明していきます。

タンパク質

犬にとってタンパク質は筋肉や骨、臓器、皮膚、被毛などの構成要素になる重要な栄養です。

子犬の時期は特に、基礎的な体を作る栄養となるので標準より高めのタンパク質を与えるようにしましょう。

タンパク質は、肉や魚、玄米などに多く含まれています。

タンパク質高い低い
免疫力を高める
肥満に注意
エネルギー不足になる
皮膚被毛のパサつき・カサつく
子犬は発育不良になる

ただ、過剰摂取は腎臓や腸内環境に悪影響となる場合があるので、適量を与えるようにしましょう。

愛犬の詳しいタンパク質量の目安を計算するには、「1日の摂取カロリー×0.045」で求めることができます。

一日の摂取カロリーについては、獣医師広報板から計算することができます。

脂質

脂質はエネルギー源となり、ホルモンや皮膚・被毛、必須脂肪酸の摂取にも役立っています。

必須脂肪酸は、体内で生成することができないので食事でから摂取する必要があり、免疫機能維持などに必要です。

脂質は、魚や油、大豆などに含まれます。

市川叶望

吸収が良い動物性脂肪の魚油は、血圧低下、血栓の予防、血中中性脂肪の低下に作用するといわれるEPAとDHAを含むのでオススメです!

脂質高い低い
肥満に注意
食いつきに期待できる
ダイエットに効果的
神経、細胞、筋肉などの組織の生成が低下
毛艶が悪化

脂質のカロリーは、タンパク質の2.25倍と言われており、過剰摂取は肥満の原因となるため与えすぎには注意が必要です。

ただ、エネルギーとしてはタンパク質より2倍の効果があるので、よく運動するワンちゃんはやや高めの脂質でも問題ないでしょう。

ダイエット中のワンちゃんには、脂質が低い「馬肉」がオススメです。

フードによってはオメガ3脂肪酸含有量、オメガ6脂肪酸含有量など詳しく記載しているものもあります。

繊維質

繊維質は、消化吸収を助けたり腸内環境の改善に役立ちます。

主に、野菜や果実、豆類に多く含まれます。

繊維質高い低い
軟便や下痢などおなかが緩くなる
腸内環境改善
便秘気味になる

ビートパルプやセルロースが、ドッグフードでよく量増しに使用されることが多いので、成分の値は高くなくても原材料の上位にある場合は、ウンチの様子に注意が必要です。

また、生は消化しにくいのでフード以外で与える場合は加熱処理が必要です。

灰分

灰分とは、カルシウム、鉄、ナトリウム、マグネシウム、リン、カリウムなどのミネラル成分のことです。

犬の骨や歯の構成成分であるカルシウムやリン、神経伝達に関わるカリウムなどの必要なミネラルが含まれています。

ミネラルも体内で合成することができないため、食事から摂取する必要のある重要な栄養素です。

特に犬は人間よりも多い18種類のミネラルを摂取する必要があるといわれています。

灰分高い低い
腎臓に負担
消化率が低下
尿石症(マグネシウム過剰)
骨や歯がもろくなる
発育不足

様々なミネラルが含まれていますが、重要なことはバランスよく摂取することです。

何かが過剰であると逆に体に悪影響となる場合があります。

フードによっては、カルシウム含有量やリン含有量などのミネラルの詳しい記載があるものもあります。

市川叶望

例えば、タンパク質や脂質は犬にとって必要な栄養なので「〇%以上」と最低量が保証されていて、逆に食物繊維や灰分(ミネラル類)は摂りすぎると負担になる可能性があるため「〇%以下」と上限が記載されています。

水分

水分は体の60%を占めるといわれている重要な栄養素の一つです。

水分は、体温調節や血液やリンパ液の運搬、排泄機能に関わってきます。

ドッグフードでは水分含有量で以下の3種類に分類されます。

ウエットフードセミモイストフードドライフード
75%程度25~35%10%以下

水は「飲みたい時に飲める」環境作りが最も大切ですが、あまり水を飲まない子や水を飲むことが難しいシニア犬は、セミモイストやウェットなどの食事から摂取する必要があります。

その子に合ったフードの種類を選んであげることも大切です。

季節や運動量によって異なりますが、目安として犬は体重1㎏あたり40~60mlの水を飲む必要があります。

カロリー

多くのドッグフードが、成分表とともにカロリーも表示しているのでカロリーについてもご紹介していきます。

ドッグフードのカロリーは360kcal前後が平均的です。

340kcal未満は低カロリーで、ダイエット中のワンちゃんに向いています。

370kcal以上は高カロリーで、よく運動するワンちゃんや小食のワンちゃんに向いていると言えるでしょう。

以下のサイトから、与えているフードの理想的な給餌量を計算することができます

ドッグフードの原材料・成分表の見方に関するQ&A

ドッグフードに使われる「〇〇ミール」って何?

ミールとは、食材を乾燥させて粉末状にしたもののことです。

肉だけのものもありますが、骨や内臓などを乾燥させているので栄養価が凝縮されており、生の食材と同じ量を比べた時にミールの方が栄養豊富だといわれています。

しかし、安いフードには4Dミートが使用されている恐れがあったり、ミートミールという何の動物が使用されているか不明瞭なことがあります。

ミールや4Dミールについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

食物アレルギーってどうしたらわかるの?

特定の食材を食べた後に、数時間後に下痢や嘔吐、日常的に摂取している場合、皮膚疾患やかゆみ・脱毛などの症状が現れる場合があります。

症状が現れた場合には、原材料を確認して主原料のタンパク質や穀類にアレルギーの恐れがあります。

その他の食材にもアレルギーの原因がある場合があるので、何が入っているものに反応するのか記録しておきましょう。

症状が悪化、改善しない場合は今食べているドッグフードの原材料がわかるパッケージや袋を持って獣医師に相談してください。

【まとめ】ドッグフードの原材料・成分表の見方

原材料と成分表の見方をご紹介してきました。

原材料も成分も、その子に合った量を与えることが大切なので、一概にこれがいいとは言い切れません。

ただ、愛犬の体に入るものなので品質が良いものや、避けたい添加物が含まれていないドッグフードを選びたいですね。

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この記事を書いた人

TCA東京ECO動物海洋専門学校動物看護科で3年間犬に関する知識やトリミングについて学び、多数の資格を取得
その後地元のトリミングサロンで基礎を修行した後Dog salon Star seaに入社。

保有資格:ペット栄養管理士、愛玩動物飼養管理士2級、ペットセイバー

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