犬も人間と同じくおならが出る生き物です。愛犬がおならをすると、ついクスッと笑いが溢れますよね。
一般的におならは生理現象で、とくに心配しなくても大丈夫なのですが、なかには病気のサインである可能性も隠れています。
- 愛犬のおならが頻発している
- 臭いのあるおならが続く
これらの場合は、体調不良を表している可能性があります。
愛犬の異常にいち早く気付けるよう、ここでは犬のおならについて詳しく解説していきます。改善方法も紹介しているのでぜひ最後までご覧ください。
この記事を書いた人
保有資格:小動物看護士/ペット販売士/トリマーB級/ハンドラーC級/訓練士補/二級愛玩動物飼育管理士/動物取扱責任者/犬の管理栄養士/ペットフードアドバイザー1級/少額短期保険募集人
第一種動物取扱業:第225818003号 保管 動物取扱責任者:山本星海
JKC公認トリマー養成機関卒業。Dog salon Star seaを2018年に開業、犬のトリミングやドッグフードの販売を行う。トリマー歴10年目。愛犬:トイプードル2匹
犬もおならをする!理由と臭いや回数が増える原因4つ
犬がおならをする理由は、腸に溜まったガスが肛門からでてくることです。
おならの主な成分は、口から飲み込んだ空気と腸内ガスの2種類。
口から飲み込んだ空気は通常ゲップとして排出されますが、そのまま腸を進んでおならとして出ていくこともあるのです。
また、腸内ガスは食べたものの腸内細菌が発酵することで発生します。これらが腸内で混ざり、おしりから出てくるのが「おなら」なのです。
以下ではおならが臭い原因や回数増える原因について説明していきます。
おならがでやすい犬種である
日本で人気のある短毛種と言えば、以下のような犬種があげられます。
- パグフレンチブルドッグ
- シーズー
- ペキニーズ
- ボストンテリア
- キャバリア
- ブルドッグ
短頭種とは、俗に言う「鼻ぺちゃ犬」のことです。
構造上、鼻が潰れているため呼吸が激しくなりやすく、その分飲み込む空気も多くなります。
その他にもさまざまな要因が重なり、頻繁におならをする犬が短頭種になります。
早食い傾向がある
早食いする犬は、おならが出やすい傾向にあります。
ご飯を早食いすると飲み込む空気の量も多くなり、おならの成分が多くなり回数も増えるのです。
愛犬が早食い傾向のある子の場合は、早食いをなくすとオナラの回数が少なくなるかもしれません。
食物繊維を多く含む食べ物を食べている
食物繊維を多く含む食べ物を食べていると、おならが出やすくなります。
犬は少量の食物繊維であればお腹にいい影響を与えるのですが、多すぎると消化不良を起こしてしまいます。消化に悪いものを食べると、その分ガスも発生しやすくなるのです。
食物繊維は適度な摂取が大切になります。
老化で腸の働きが弱くなっている
老化で腸の働きが弱くなると、腸内細菌によるガスの量が増加します。
同じドッグフードを与えていても徐々に消化吸収しにくくなり、ガスの生産量が増えてしまうのです。よって、老犬になるとおならの回数が増えることがあります。
病気の可能性
犬のおならが頻発している、もしくは臭い場合には病気の可能性も考えられます。
空気を飲み込む量が多くなる・腸内でガスが発生する量が増える病気を発症すると、おならが出る回数が増えます。体のどこかに痛みが生じる病気では、苦しい・痛みなどが原因で呼吸数が上がり飲み込む空気の量が増加してしまうのです。
病気が原因でおならが出ている場合、他の症状が見られることもあるので注意深く観察しておきましょう。
おならが頻繁に出るときに考えられる病気
オナラが頻繁に出るときに考えられる病気で、ほかの症状についても紹介していきます。
病名 | 症状 |
---|---|
肺炎 | 咳が出るゼーゼー荒い呼吸をしている元気や食欲がない疲れやすい体が熱い・熱っぽい |
気管支炎 | 咳発熱呼吸が荒くなる |
心臓病 | 咳が続く呼吸困難になる安静にしているときの呼吸数が1分間に30回異常疲れやすい・運動をしなくなる元気がない性格が変わった気がする失神を起こす(※どのような心臓病かによって症状も異なります。) |
膵炎 | 激しい嘔吐食欲不振腹部痛下痢元気がない |
関節炎 | 立ち上がるまでに時間がかかる歩く速度が遅い散歩時間が短くなる・途中で歩かなくなる足に触れられるのを嫌がる・痛がる階段の上り下りを嫌がるあまり動かなくなる・大人しくなる |
肺や気管支、心臓病の病気になると、咳が出たり呼吸の変化が現れたりするため、症状に気づくと思われがちですが、犬の咳は分かりづらいです。
「カッ!カッ!」「ケッ!ケッ!」というような、吐き出すような仕草が犬の咳です。
えずくような症状なので放置されやすいですが、咳が続くのは何かしらの病気が隠れている可能性が高いため注意しましょう。
症状が当てはまる場合は、早めに病院へ行きましょう。
おならが臭くて考えられる病気
オナラが臭いときに考えられる病気で、ほかの症状についても紹介していきます。
病名 | 症状 |
---|---|
腸閉塞 | お腹がキュルキュルなる下痢嘔吐・吐く食欲不振息が荒い(呼吸が早い)元気がない |
胃炎 | 短期間に嘔吐を繰り替えす嘔吐物に血がまじるぐったりする下痢 |
膵外分泌不全症 | 脂肪便が出る(泥状の白っぽい便)便の量が増える軟便食欲はあるのに痩せる食糞 |
腸内腫瘍 | 元気がない食欲がない嘔吐下痢痩せる脱水 |
これらの病気の中には、末期状態でやっと飼い主さんが気づくほどの症状が出ることもあります。
普段から愛犬の健康チェックを行い、少しの異変でも気付けるように準備しておくことが大切です。
それぞれの症状が当てはまる場合は、早めに病院へ行きましょう。
犬のおならの臭いや回数を改善する方法6つ
犬のおならが臭い場合、飼い主さんが対策をすることで改善できる可能性があります。
主に以下のような対策が効果的です。
それぞれ具体的な改善方法について説明していくので、最後までご覧くださいね。
ドッグフードを見直す
愛犬がよくおならをする場合、普段与えているドッグフードや食事の見直しをしてみましょう。
とくにドッグフードや人間食に切り替えてからおならが頻発するようになった場合は、犬にとって合わない、もしくは消化しにくい食べ物が含まれている可能性が高いです。
消化しやすい食べ物としては、良質なタンパク質は脂肪分が少ないものがおすすめ。
消化不良のときには、フードをふやかしてみたりウェットタイプのものを与えたりすると、胃腸に優しく良いですよ!
過剰な肉の量は、アンモニアがたくさん作り出されて悪玉菌のエサになり、おならがたくさん出る傾向にあります。
臭いも強くなる傾向にあるので、注意しましょう
早食い防止グッズを使う
愛犬が早食い傾向にある場合は、早食い防止グッズを使うのがおすすめです。
早食いは空気をたくさん飲み込むことになるので、おならの原因に繋がります。できるだけゆっくり食べられるよう、工夫が必要です。
早食い防止グッズはペットショップやホームセンターにも販売されていますし、ネットで注文も可能で簡単に入手できますよ!
また、フードを与える回数を増やすのも、早食い防止対策になります。回数を増やす場合は、一日に与える量を4〜5回に分けて与えましょう。
空気を多く飲み込ませない
空気を多く飲み込むことでおならが出やすくなるため、予防が必要です。
具体的には「愛犬をあまり興奮させない」「早食いを予防する」この2点です。
興奮させると呼吸も早くなり、その分多くの空気を取り込んでしまいます。
興奮する出来事をできるだけ遠ざけてあげるよう、心がけましょう。
水をこまめに飲ませる
飲水量が少ないと消化に負担がかかり、腸内でガスが発生しやすくなることもあります。
適度な水分補給を心がけて、おならが発生しにくい腸内環境を保つのも大切なことです。
整腸剤を使い腸内環境を整える
整腸剤を与えて腸内細菌の善玉菌を増やせば、おならの臭いが改善される効果があります。
整腸剤がない場合は、ヨーグルトでもOKです。
犬の腸には免疫細胞の7割が存在していて、腸内環境がいい状態であればあるほど身体を守る機能をしっかりと果たします。
おならが臭いのは、腸内環境が悪化している可能性が高く、十分に身体を守る機能が働いていないことが考えられます。
そこで、腸内環境を整えるために整腸剤などの乳酸菌を摂り入れることがおすすめです。サプリメントもありますが、もともとドッグフードの中に含まれているものもあるのでチェックしてみましょう。
ビオフェルミンやヨーグルトなどに含まれている菌は、犬によっては体に合わない子もいます。与える場合はまず少量からはじめて、症状がひどくなる場合は控えましょう。腸内環境が整い効果が出るまでは、1~2週間かかるので継続的に食べさせてあげてください。
適度な運動を心がける
適度な運動はストレス発散や排便リズムを整える効果もあるため、とても有効的です。
お散歩は、肥満予防や筋肉量の維持など、さまざまな健康に対するメリットがあります。
ストレスが原因で消化器官の機能が低下することもあるので、定期的な運動を心がけましょう。
定期的な肛門絞りも大切
肛門腺が原因でおならの臭いが臭い場合は、定期的な肛門絞りをすれば改善される可能性があります。
- 肛門腺とは?
- 犬の肛門には、左右に肛門嚢と呼ばれる袋があり、その中には分泌液が溜まるようになっています。肛門腺に分泌液が溜まりやすい子の場合、定期的に絞り出さなければ肛門嚢炎や肛門腺破裂などのリスクがあるのです。
この分泌液を定期的に絞り出すことで、おならの臭いが軽減される場合もあります。
肛門絞りは病院やトリミングサロンでもお願いできるので、自分でおこなうのが難しい場合はお願いしましょう。
頻繁におならをしても元気・食欲があれば様子を見てもOK
愛犬が頻繁におならをしていても、元気があり食欲もいつも通りであれば緊急性はなく様子をみていても大丈夫でしょう。
ただし、おならに加えていつもと様子が違うところが見られた場合は、獣医師に相談してください。
こんな症状が伴うおならは要注意!
おならに加えて、これから紹介するような症状が見られる場合は犬の体の中でトラブルが発生している可能性があります。
それぞれ詳しく説明していくので、チェックしましょう。
おならの回数が”急激”に増えている
おならの回数が急に増えた場合、消化器官の働きにトラブルが起こっている事が考えられます。
1時間に数回おならが出る場合は、何らかの異常があると考えましょう。
このとき、排便の状態もチェックしておいてください。
下痢やいつもとは色が違うなどの異常が見られる場合は、動物病院に便を一緒に持っていくと検査がスムーズに進みます。
お腹が張っている
お腹が張っておならが出る症状で考えられる病気は、腸閉塞や重度の腸炎です。
とくにお腹に触れられると嫌がる場合は腹部に異常がある可能性が高いので、すぐに動物病院へいきましょう。
病気が原因でなくても、お腹が張っている状態は犬にとっても苦しいため、何かしらの処置や対策が必要になります。
正しい生活習慣ができるよう、獣医師に相談しておきましょう。
その他の症状
その他にも、おならに加えて以下のような症状が見られる場合は、できるだけ早く動物病院を受診するべきです。
- 下痢
- 元気がない
- 食欲がない
- 体重が減る
- 呼吸が荒い・苦しそう
また、以下のような症状はより緊急性が高い症状です。
- 水便が止まらない
- 血便が出る
- じっとしている(ほとんど動かない)
- おやつも食べない
- 触ると嫌がる・苦しがる
- 苦しそう
これらはおならの有無に関係なく、何かしらの病気が潜んでいる可能性が高い症状です。
すぐに動物病院で処置を受けなければ、命に関わる可能性もあるので早急に相談しにいきましょう。
【まとめ】飼い主さんの工夫で犬のおなら臭いを改善しよう!
犬のおならについて解説しました。
多くの犬の場合、犬のおならは生理現象なので特に心配する必要はありません。
日常生活に少し工夫を加えるだけで、おならの臭いや回数は軽減されます。しかし、中には重大な病気が隠れている可能性も少なからずあることを頭に入れておいてください。
犬はある程度の不調であれば飼い主さんに隠そうとするため、気づいた頃には症状が進行していることも珍しくありません。
定期的に愛犬の健康チェックをするよう心がけておきましょう!
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