子犬の夜泣きで夜しっかりと眠れなかったり、夜泣きがひどくていつまで続くのだろうと心配している飼い主さんも多いのではないでしょうか。
子犬の夜泣き対策で最も重要なことは、なぜ子犬が夜泣きをするのか原因を突き止めて、原因に応じた対策を行うことです。また、その原因に応じた対策を行えば、子犬の夜泣きはいつまでも続くことはありません。
今回は、子犬の夜泣きの原因や原因に応じた対策法について、現役トリマーが解説します。
子犬の夜泣きはいつまで?
子犬の販売は、動物愛護法により生後57日以降と決められているため、飼い主さんが子犬を迎え入れるのは、約8週を超えてからになります。
この頃の子犬は、母犬と引き離されて精神面に不安があったり、新しい環境に馴染めずに夜泣きをすることが多いのが特徴ですが、子犬によって夜泣きがいつまで続くかは個体差があり、原因によっても夜泣きが続く期間は異なります。
一般的には、生後6ヶ月齢を超えれば体がだいぶ成長してくるので、子犬であっても夜泣きがなくなると言われています。
子犬の夜泣きは、原因によっていつまで続くかが異なるので、まずは子犬が夜泣きをする原因について理解をすることが大切です。
子犬の夜泣きの原因
いつまでも夜泣きが続くと不安になるかもしれませんが、子犬の夜泣きをなくすためには、原因に応じた対処をとることが一番の近道です。ここでは、子犬の夜泣きの原因についてご紹介します。
いつまで子犬の夜泣きが続くのだろう…。そんなふうに思ってしまう方もいますが、必ず子犬の夜泣きには原因があることを理解しておきましょう。
寂しさが原因の夜泣き
ブリーダーで購入した子犬なのか、ペットショップで購入した子犬なのかによっても若干異なりますが、寂しさや不安が原因で夜泣きをすることも多くあります。
ブリーダーから購入した子犬の場合は、一般的に直前まで母犬や兄弟犬、姉妹犬たちと一緒に過ごしているケースが多く、急に彼らと引き離されたこと、違う環境で1人になったことで不安を感じやすいのが特徴です。
ペットショップの場合は、既に早期段階で母犬から引き離されていますが、環境の変化に馴染めずに夜泣きをすることが多いので、注意が必要です。
いずれの場合も、犬は言葉が話せない生き物ですので、住居が変わって今までと全く違う場所で生活するのは不安も多く、決して子犬にとっても簡単なことではありません。
子犬には、なぜ今までと違う環境に自分がいるのかが理解できず、それに加えて環境の変化に非常に弱いので夜泣きが重度になることもあります。
しかし、これはいつまでも続くわけではなく、ごく当たり前のことだと考え、飼い主さん自身がしっかりと対策を行ってあげましょう。
要求するための夜泣き
排尿・排泄をしたいときや空腹時を中心に「飼い主さんへの何らかの要求」を訴えるために子犬が夜泣きをするケースも多くあります。
この場合は、夜泣きがいつまでも続くわけではなく要求が満たされれば夜泣きがおさまることが殆どです。
一般的に、離乳が終わったばかりの子犬のケースでは、食事は5回〜6回/1日、生後5ヵ月程度までの子犬であれば3回が理想とされています。食事回数は成犬と異なるため、食事の間隔もできるだけ均一にしてあげましょう。
生後5ヵ月程度までの子犬の例で考えると、一度目の食事を早朝にして、飼い主さんが夜寝る直前のタイミングで三度目の食事を与え、一度目と二度目の食事の中間点の時間に二度目の食事を与えることをおすすめします。
ただし、特に大型犬などの胃捻転リスクが高い子犬に関しては、運動前後の食事は控えなければいけません。基本的に、全犬種において食事時間が運動前後にならないよう配慮することが大切です。
排泄や排尿
子犬は体が完全に出来上がっていないため、尿路などの消化器官も完璧ではありません。
そのため、「オシッコをしたい」・「ウンチをしたい」という要求から夜泣きすることがあります。一般的には、子犬の排泄回数は月齢にもよりますが6回~10回前後と、成犬と比較して非常に多いのが特徴です。
我慢出来たとしても”月齢に1時間程度足した時間”程度が限界です。そのため、4ヵ月で迎え入れた場合は5時間程度しか排泄を我慢できないという計算になります。
また、極端にオシッコやウンチを我慢させてしまうと、膀胱炎を中心とする尿路関係の病気の原因となったりするので、注意が必要です。
空腹
子犬の夜泣きは空腹が原因になっていることもあります。
成犬であっても犬はお腹が減ったことを夜泣きでしか表現できないので、空腹時間が長すぎないか、食事と食事の間が長すぎないかをしっかりと確認することが大切です。
特に、”朝方胃液のような物質を吐いてしまう”というような症状がある場合は、空腹時間が長すぎることが原因となっている可能性が高いので注意しましょう。
身体の異常を訴える夜泣き
子犬に限った話ではありませんが、身体の異常を訴えるために夜泣きをすることもあります。
痛みや痒みを中心に、自分の身体に異変があるときに夜泣きをします。しかし、身体に異常があるケースでは、時間問わずいつまでもなくことが殆どです。
また、四肢や関節に痛みがあると、持ち上げたときにキャンといったり、飼い主さんが触ろうとすると嫌がることがあります。
生活環境による夜泣き
子犬が安心して眠ることのできない環境だと、夜泣きをすることがあります。犬は人との関係を歴史的に大切にしてきた生き物であり、コミュニケーション不足や生活環境に何かしらの問題があると夜泣きが続くこともあります。
寝床が安心してくつろげる場所か、騒音がするような場所ではないか確認しましょう。
原因別!子犬の夜泣きの対策法
いつまでも続く子犬の夜泣きに悩まされる方も多いかと思いますが、原因に応じた対策を行えば子犬の夜泣きは大抵の場合、短期間でおさまります。
ここでは、子犬の夜泣きについて、原因別の対策法をご紹介します。
子犬が寂しくて夜泣きする場合
子犬が寂しくて夜泣きをしている場合は、子犬の寝床を飼い主さんの寝室に移動してあげるなどの対策を行い、近くで寝てあげることが大切です。
ブリーダーで購入した子犬の場合は、母犬や兄弟犬、姉妹犬と一緒に時間を過ごした期間が長く、ペットショップであっても長い時間スタッフの方や他の犬がいるのが当たり前の環境で育ちます。
そのため、子犬が寂しくないようケージやサークルなどの寝床の設置場所を工夫してあげましょう。
犬は聴覚も優れているため低音量にすることが大切ですが、最近では子犬のためのリラックス音楽なども数多くあります。
子犬が要求するために夜泣きする場合
子犬が何かを要求するために夜泣きをする場合は、何を要求しているのかを突き止めることが大切です。
子犬のケースでは、排尿・排泄をしたいときに要求をすることが多く、その場合はオシッコやウンチをするまでいつまでも夜泣きは続き、挙句粗相をしてしまいます。
子犬を迎え入れたら、まずはトイレトレーニングを行い、サークルやケージの場合はトイレを置くことができる十分なスペースを確保して、いつでも子犬が排泄できる環境をつくってあげることが大切です。
このケースでは、夜泣きがいつまでも続くわけではなく、子犬の要求が満たされれば夜泣きがおさまることが殆どですので、子犬を観察しながらどんな要求があるのかしっかりと見極めてあげましょう。
子犬が身体の異常で夜泣きする場合
子犬の体に異常がある可能性がある場合は、必ず獣医師に相談しましょう。大抵のブリーダーや動物病院では、直前にしっかりとした健康診断を行いませんので、子犬であっても初回の健康診断、定期的な健康診断が非常に大切です。
身体に異常がある場合は、適切な治療を受けて体を根本的に治さないと、いつまでも子犬の夜泣きは続きます。
生活環境が好ましくなくて子犬が夜泣きする場合
生活環境が理由で夜泣きする場合は、生活環境を見直さない限りいつまでも夜泣きはおさまりません。
まずはじめに、子犬の寝床が適切な環境かを見直してみましょう。人であっても寝やすいベッドは個々によって異なりますが、犬も同じです。
神経質な犬の場合は、ケージやバリケンのような6方向が全体的に覆われている寝床がおすすめですが、ケージの場合は入口部分の前方以外が隠れるように、ケージの上から通気性の良い布をかけてあげるような工夫をしましょう。
甘えん坊の犬に関しては、飼い主さんの寝室の傍に寝床を設置してあげると良いでしょう。
また、夜中に人が頻繁に出入りするような場所、または騒音が多い場所には子犬の寝床を置かないようにしましょう。
子犬の夜泣きはいつまでも続かない!
今回は、いつまでも子犬が夜泣きをして悩んでいる飼い主さんのために、原因別の夜泣き対策法をご紹介しました。
子犬は人の赤ちゃん同様、話すことで気持ちを伝えることができず、体も発育途中ですので夜泣きをすることで飼い主さんに何かを伝えようとします。
そのため、夜泣きはごく自然のことだと考え、飼い主さん自身が子犬の夜泣きの原因に応じた対策を行ってあげることが大切です。
原因に応じた対策を行えば子犬の夜泣きはいつまでも続かないので、決してったり大きな声をあげたりせずに、心を広くもって子犬に接してあげましょう。