茹でて食べても、軽く焼いて食べても甘くておいしいとうもろこしは、人間も大好きな食べ物です。そんなとうもろこしを愛犬にも食べさせてあげたいと思うのは、飼い主として当たり前の気持ちともいえるでしょう。
ですが、犬は人間と全く同じものを食べてもいい、というわけではありません。食べ物によっては人間には何ともないものでも、犬が食するとアレルギー反応を起こしたり、命を脅かすことになる場合もあります。
ではとうもろこしは、犬に与えても問題ない食べ物なのでしょうか?
結論から言うと犬にとうもろこしを与えても大丈夫です。しかし食べてはいけない部分や食べさせ方などあるのでそれを説明していきます。
この記事を書いた人
保有資格:小動物看護士/ペット販売士/トリマーB級/ハンドラーC級/訓練士補/二級愛玩動物飼育管理士/動物取扱責任者/犬の管理栄養士/ペットフードアドバイザー1級/少額短期保険募集人
第一種動物取扱業:第225818003号 保管 動物取扱責任者:山本星海
JKC公認トリマー養成機関卒業。Dog salon Star seaを2018年に開業、犬のトリミングやドッグフードの販売を行う。トリマー歴10年目。愛犬:トイプードル2匹
とうもろこしの栄養素について
とうもろこしは、夏を代表する野菜としても知られています。甘み成分が強いため、子供も大好きな野菜として料理にも活用されることが多い野菜です。
そんなとうもろこしですが、犬に与えても問題はありません。その答えは、とうもろこしの成分にあります。
愛犬に何か食べ物を与えたいと思ったとき、まず考えるべきことはその成分です。では、とうもろこしにはどんな成分が含まれているのでしょうか。
とうもろこしの中の栄養素
- 葉酸
- ビタミンB1,B6
- ビタミンC
- マグネシウム
- リン
- 食物繊維
- カリウム
- ナイアシン
とうもろこしには、大まかなものだけでもこれだけの成分が含まれています。この中に、犬の健康に害を与えるような成分はなく、むしろ体にいい影響を与えるものばかりです。
とうもろこしの栄養素の働き
葉酸は、妊活中の女性や妊娠中の女性が摂取することを推奨されている成分として、その名を知られています。新しい赤血球を作るだけでなく、細胞の活性化を手助けしてくれる栄養素です。犬の成長を助ける働きをしてくれます。
マグネシウムはエネルギー代謝に関わる成分であり、食物繊維とともに排便を促す効果があり、便秘改善に一役買ってくれる栄養素です。
カリウムには血圧を下げる効果があり、不要なナトリウムを体外へ排出する働きもあります。とうもろこしに含まれる栄養素の特徴は、とにかくビタミン類が多いことです。
ビタミンB1、B6をはじめ、ナイアシンなどのビタミンB群などの豊富なビタミン類が、犬の細胞の活性化と酵素の活性化を促進してくれます。
犬にとうもろこしを与える時に注意すること
与えてもいい食べ物だとわかれば、すぐにでも与えたくなるものですよね。自分たちが気楽に口にしている食べ物となれば、なおさら簡単にあげてしまいがちです。しかし犬に与える時には注意する点もあります。
与え過ぎは要注意
人間にとっておいしい野菜だから愛犬にもたくさん食べさせたいと思ってしまいますが、当然与え過ぎはいけません。
とうもろこしは、消化不良を起こしやすい野菜でもあります。大量に与えると消化不良となり、下痢や嘔吐を引き起こしてしまう可能性もあります。
また、甘み成分が強いということは糖質が高いということです。人間と同じで、糖質の摂取過多は肥満につながる恐れがありますので、くれぐれも与え過ぎには注意が必要です。
芯や皮は絶対に与えない
犬は自分が食べてはいけないものや、食べると消化不良を起こすものが、事前に理解できるわけではありません。ほとんどの犬が、与えられたものはひとまず口にしてしまうものです。
とうもろこしの芯や皮はとても硬く、犬にとっても簡単に消化できるものではありません。何でも口にするからと言って、芯や皮まで与えないようにしましょう。もしも口にしてしまうと、消化不良を起こすだけにとどまらないことがあります。
食道や気管支に詰まらせて窒息したり、腸閉塞を起こす可能性があり、とても危険です。命に係わる事態に発生することもあるため、芯や皮は絶対に与えないようにしましょう。
犬が誤飲しないように、芯や皮は届かないところに早めに処分することが大事です。
アレルギーの可能性
どんな食べ物を口にする時でも、アレルギーを起こす可能性はあります。もちろんとうもろこしも例外ではなく、どちらかというとアレルギーを起こしやすい野菜でもあります。
ほかの犬には何ともなくとも、愛犬にはアレルギー反応が起こる可能性もあるのです。特に初めて与える時には、できるだけ少量を与え、愛犬の様子を見ながら食べる量を増やすようにすると安心です。
万が一、発疹などのアレルギー症状がみられた時には、早急に獣医に相談するようにしましょう。
犬へのとうもろこしの与え方
人間がとうもろこしを食べる際には、茹でたり焼いたりと、いろいろな食べ方があります。どんな食べ方もおいしいものですが、犬にも同じ調理法で与えていいとは限りません。
では、犬にはどのようにして与えたらいいでしょうか。
生では与えない
見てわかるように、とうもろこしは生の状態だと黄色い実の部分はとても硬いものです。人間でも生の状態で食することは難しく、おいしいとはあまり感じないでしょう。
噛む力が、人間の何倍もある犬なら大丈夫なのでは?と思いがちですが、問題は噛み砕く力ではありません。
硬いものを食べれば消化不良を起こし、胃に大きな負担がかかるだけでなく、下痢や嘔吐の原因となってしまいます。必ず火を通すことが前提となりますが、焼くという調理法では実の表面が固くなりがちなのであまりおススメの調理法ではありません。
とうもろこしは茹でることで柔らかくなり、犬にとっても食べやすくなります。茹でたあとはほぐした実をそのまま与えてもいいですが、擦り潰したり、ペースト状にして与えると食べやすくなり消化も助けてくれます。
味はつけない
人間の場合、とうもろこしを食べる時には塩をふってみたり、しょうゆをたらしてみたりしながら食べますが、犬にはこれらの調味料は必要はありません。塩や醤油は塩分がたくさん含まれているため、塩分摂取を控える意味からも、何も味付けせずに与えるのがベストです。
また、茹でる際に塩を使う必要もありません。茹でる時に塩を使うことで、とうもろこしに塩分がしみこんでしまうことを防ぐためです。
とうもろこしはどんな犬でも食べられる?
犬がとうもろこしを食べても、特に問題ないことが分かりました。犬には様々な犬種がありますが、どんな犬種に与えても問題ないのでしょうか。
犬種や大きさによって変える
とうもろこしは、どんな犬種に与えても問題はありません。ですが、人間も成長段階によって食べ方や量を変えるように、犬も犬種や大きさを考慮する必要があります。
特に幼犬や老犬に与える時は、普通の成犬以上に気配りが必要です。幼犬はまだ消化器官が未発達なうえ咀嚼力も弱く、老犬は消化機能も咀嚼力もどちらも衰えています。
消化機能の負担を軽くするためにも、小さく刻んだり、すりつぶしたりして、食べやすくしてあげると安心です。
小型犬、中型犬、大型犬と体の大きさにも違いがありますが、欲しがるままに与えるのはNGです。体の大きさに合わせて、1日に必要とされているエネルギーを考えながら与える量を決めるようにすると、与え過ぎを防ぐこともできます。
持病や治療中の病気がある犬
持病がある犬や、治療中の病気がある犬にとうもろこしを与える際には、必ず事前にかかりつけの獣医師に相談しなくてはいけません。ただの野菜だからと安易に考え、素人判断で与えてしまうと、持病を悪化させてしまう可能性もあります。
また、薬を飲んでいる場合、薬との飲み合わせに影響を与えることもあるので、必ず事前の確認が必要です。
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