近年では夏だけでなく、5月でも日差しが強く、暑さが厳しくなってきました。夏はエアコンなどを使用していても熱中症を引き起こすこともあり、大変危険な季節です。では、猫にとって夏はどのような季節なのでしょうか。
猫の祖先は暑い地域で生活していたということもあり、暑さには比較的強いイメージがありますが、実際のところはどうなのでしょうか。
ここでは、猫と夏の過ごし方についてご紹介します。
この記事を書いた人
保有資格:小動物看護士/ペット販売士/トリマーB級/ハンドラーC級/訓練士補/二級愛玩動物飼育管理士/第一種動物取扱業登録/動物取扱責任者
JKC公認トリマー養成機関で2年犬や猫に関する様々な知識や技術を学び、多数の資格をとる。トリミングサロンStar seaを経営。
猫と暑さ
人にとって暑さは命の危険を脅かすものです。では、猫にとってはどうなのでしょうか。さらに、猫の祖先は暑い地域で生活していたと言われていますが、すべての猫が暑さに強いのでしょうか。
ここでは、猫と暑さについてご紹介します。
猫は暑さに強い?
猫の祖先はエジプトの砂漠で生活していたリビアヤマネコだと言われています。猫が人間と生活し始めたのは、約9500年からと言われており、古くから人間と密接な関係にありました。
そのため、猫の品種により異なりますが、基本的に猫は暑さに強い傾向があります。砂漠で生活している頃は少ない水分でどう生活するかが大事になり、そのため、猫の尿量は少なく濃縮されています。
暑さに強い傾向があると言っても、気温が高く、湿度が高い状態では猫も体調を崩します。そのため、夏場ではしっかりとした室温管理が必要です。さらに、短毛種に比べて、長毛種の方が、被毛が密に生えているため暑さには弱くなります。
暑さに強いイメージはありますが、基本的にエアコンなどで室温をコントロールする必要があることを忘れないようにしましょう。特に、子猫やシニア猫は体力や免疫力が低く、体調を崩しやすいため、より注意が必要です。
体温調節は苦手
猫は体温調節が苦手な動物です。人は汗をかき、体温調節を行いますが、猫は口を開けて呼吸することで体温を逃します。基本的に猫は口を開けて呼吸することはありません。愛猫が口を開けて呼吸をしている場合、体温が上昇していることや呼吸が苦しいことなどが考えられます。できるだけ早く何らかの対処をすることが望ましいです。
猫の夏の過ごし方とは?
猫は暑さに強いですが、適切な環境にすることで、猫も快適に過ごすことができます。では、猫が快適に過ごせる環境とはどんなものなのでしょうか。
ここでは、猫の夏の過ごし方についてご紹介します。
室温
夏場は室温を25~28度程度、湿度は40~60%程度になるように設定しましょう。その日の天気や日差しの入り具合により室温は変化するため、調節することをおすすめします。エアコンを使用する時には、設定温度を低くしすぎないように注意しましょう。あまりに室温が低くなりすぎてしまうと、低体温症を引き起こす可能性もあります。猫の様子をみながら調節しましょう。
室内のレイアウト
夏場は室内のレイアウトを少し変えましょう。特に猫のベッドやケージの場所は直射日光が入らない静かな場所に設置します。冬と夏では日の長さだけでなく日差しの入り方も異なります。季節に合わせて猫が快適に過ごせるように少しずつ変えてあげることをおすすめします。
ケージやベッドの場所を大幅に変更してしまうと、猫によっては戸惑ってしまうこともありますので、猫の性格に合わせて変更していきましょう。
暑さ対策
夏場はしっかりと暑さ対策をしていきましょう。基本的に外に散歩に行く機会はあまりないため、室温管理をしっかりすればあまり必要ないと感じるかもしれませんが、冷感シートはおいておくといいでしょう。猫が暑くなった時に涼むことができる場所を作ってあげることをおすすめします。
気をつけるべき点
夏の暑い時期を猫と過ごす時には、いくつか注意しなければいけないことがあります。
ここでは、猫と夏を過ごす時に気をつけるべき点についてご紹介します。
熱中症には注意
夏場に気をつけたいこととして、熱中症が挙げられます。熱中症は体の体温が上昇してしまい、体の臓器などに負担をかけてしまい、重症化するとそのまま亡くなることもある怖い病気です。室温管理をしていても、水分補給を怠ることで引き起こされることもあるため注意が必要です。
熱中症になると、体温が40度以上になり、体温を下げることが必要となります。首や脇の下、内股など太い血管が走っている場所にタオルを巻いた保冷剤を当てて、できるだけ早く体温を下げるようにします。すぐに動物病院に連絡し、指示を仰ぎながら受診する準備を進めていきます。
熱中症にならないためには、適切な室温管理、こまめな水分補給が望ましいです。できるだけ水分を摂取できるように清潔な水を用意しておくことや飲水場所を増やす、フードに水分を加えて与えるなどしてみましょう。
留守番時の室温管理
夏場のお留守番時には、エアコンなどの空調だけでなく、しっかり暑さ対策をしておくことをおすすめします。夏場はエアコンさえきいていれば問題ないように感じますが、雷などにより停電してしまう可能性があります。
家族が家にいない時に停電してしまうと、電気がすべて止まり、熱中症を起こしてしまう危険性もあるためです。いざという時に、万全の準備をしておくことをおすすめします。
水分補給をこまめに
水分補給は熱中症にならないためにも大事ですが、健康に過ごすためにも大事です。しっかりと水分を取ることで体温調節だけでなく、脱水症状を防ぐことができます。猫はあまり水分補給をしない傾向があるため、できるだけ摂取しやすいような環境作りをしてあげましょう。
夏に気をつける病気
夏に気をつける病気として熱中症が有名ですが、他にも気をつけたい病気があります。夏場の暑い時期だからこそ発生しやすいものもあるため、夏も猫の健康維持のために注意していきましょう。
ここでは、夏に気をつける病気についてご紹介します。
泌尿器疾患
猫は泌尿器疾患を起こしやすい動物ですが、冬だけでなく、夏でも注意しなければいけない病気の一つです。泌尿器疾患には、下部尿路疾患、膀胱炎などがありますが、下部尿路疾患は、尿の回数が増えてから、尿が出なくなる病気で、元気や食欲がなくなり、嘔吐などを引き起こします。血尿や排泄痛などもあるため、猫の体にかなりの負担がかかります。この病気は、気温の上昇により体の水分量が低下し、さらに尿が濃縮されることにより引き起こされます。下部尿路疾患は放置すると悪化していくため、できるだけ早く動物病院を受診しましょう。
皮膚疾患
夏は皮膚炎を引き起こしやすい時期です。そのため、皮膚の状態には気をつけなければいけません。皮膚炎はアレルギー、ノミ・ダニなどの寄生虫、怪我、不衛生な環境などが原因となり、発症すると痒みや赤み、脱毛などが起こります。
痒みは猫にとって我慢できないもので、放置してしまうとどんどん悪化していきます。皮膚疾患は早く治療を行うことで完治することができるため、早めに動物病院を受診することをおすすめします。動物病院の治療と並行して、猫の生活環境を清潔に整えることも必要なため、こまめに掃除を行いましょう。
脱水
夏場は脱水を引き起こしやすい時期です。そのため、こまめに水分補給できる環境を作ることが必要です。脱水が起こると体の電解質バランスが崩れ、いろんな不調を引き起こします。脱水にならないためには、水分補給をこまめにできる環境を整えるだけでなく、下痢や嘔吐を繰り返している時は早めに動物病院を受診するなどして対策していきましょう。
夏でも健康に過ごすためには?
愛猫は1日でも長く、健康に過ごしてほしいというのが飼い主の願いですよね。猫は痛みに強い動物なので、自分の不調を隠す傾向があります。そのため、猫の体調をこまめに確認することがおすすめです。
ここでは、夏でも健康に過ごすためのポイントについてご紹介します。
毎日の体調チェック
猫の健康を保つためにも、夏場だけでなく毎日することがおすすめなのが、体調チェックです。体調チェックとは、元気や食欲があるか、排泄物の調子はどうか、歩行状態などをみることです。自宅でチェックできる内容には限りがありますが、これらの状態を毎日確認することで、異常がみられた時にすぐに気づくことができます。
特に猫は泌尿器トラブルが多いため、尿の状態はしっかり確認していきましょう。猫砂を使用している場合は、尿量や出血の有無などがわかるようなものを使用しましょう。
室温管理には気をつける
猫の健康を保つためには、室温管理に気をつけていきましょう。室温管理は猫の体調を維持するためにも大事なものです。特に子猫やシニア猫の場合はより気をつける必要があります。猫が快適に生活できる室温、湿度を保てるようにしていきましょう。
こまめに健康診断を受ける
猫の健康を保つためには、こまめに健康診断を受けることがおすすめです。1年に1度受けることで、猫の健康的な状態を知ることができ、病気の早期発見にもつなげることができます。動物病院での健康診断は、自宅で確認することができない内容ばかりです。気になる場合は、かかりつけの動物病院で相談してみましょう。
清潔な環境
猫の健康を保つためには、清潔な環境を整えてあげることが大事です。猫が使用するベッドやケージなどはこまめに掃除をしてあげましょう。不衛生な環境では皮膚疾患などを引き起こすことがあるため、掃除は病気の予防にもなります。
まとめ
ここでは、猫と夏の過ごし方についてご紹介しました。猫は暑さに強い動物ですが、しっかりと室温を調節してあげましょう。夏場は猫が過ごしやすいように室温を25~28度、湿度を40~60%程度に調節し、直射日光が当たらない場所にケージやベッドを設置します。
猫は熱中症、泌尿器疾患、皮膚疾患、脱水などを引き起こしやすいため、猫の体調には気をつけるようにしていきましょう。猫の健康を守るためにも、何か気になることがあれば、気軽に動物病院に相談することをおすすめします。
コメントを残す