猫の適正な体重は猫の骨格や体の大きさにより異なります。そのため、体重は重くないけれど、肥満と認定されることもあります。その猫にとって適正な体重を保つことが大事です。では、愛猫は太っているかどうかどうやって調べればいいのでしょうか。
ここでは、猫の肥満の基準や対策法についてご紹介します。
この記事を書いた人
保有資格:小動物看護士/ペット販売士/トリマーB級/ハンドラーC級/訓練士補/二級愛玩動物飼育管理士/第一種動物取扱業登録/動物取扱責任者
JKC公認トリマー養成機関で2年犬や猫に関する様々な知識や技術を学び、多数の資格をとる。トリミングサロンStar seaを経営。
愛猫は太っている?
コロコロと丸い姿は可愛らしく癒やされますが、実は肥満にはデメリットがたくさんあります。
猫には被毛が長い品種の猫もいるので、見た目だけで肥満かどうか判断することは難しいです。逆に適正体重だと思っていたのに、太っていたということもあります。そのため、猫の体格や骨格をみて、体を触り、肥満かどうか判断する必要があるのです。
肥満になるとどうなるの?
肥満になるとたくさんのデメリットがあるのは、人も猫も変わりません。そのため、肥満にならないような生活を心がけなければいけません。
ここでは、肥満になるとどんなデメリットがあるのかご紹介します。
運動不足
肥満になると体を動かすのが億劫になり、運動不足になります。
猫は体を動かすことにより体の筋肉を鍛えていますが、肥満になると、筋肉が落ち、さらに脂肪が増えていきます。運動不足はストレスにもつながるため、イライラしやすく、攻撃的な性格になってしまうことや問題行動もみられるようになってしまいます。
運動不足は筋力の低下だけでなく、免疫力も低下も引き起こします。
病気のリスクが上がる
肥満になると病気のリスクが上がります。糖尿病や肝不全、皮膚病、関節炎、呼吸器疾患、心疾患などの病気のリスクが上がります。
糖尿病は一度発症してしまうと、飼い主のサポートが必須となります。完治するまでは毎日処置が必要になるため、医療費もかなりの金額となってしまいます。
肝不全は命に関わる病気です。肥満により、肝臓機能が低下し、最終的に肝不全を引き起こします。肝臓は猫が生きるためにも大事な臓器です。肝不全になることにより、そのまま命を落としてしまう可能性も高くなります。
皮膚病はすぐに命に関わる病気ではないにしても、悪化してしまうと完治するまでに長い時間がかかります。さらに、痒みによりストレスも溜まってしまいます。
関節炎は増えすぎた体重により関節が炎症を起こしてしまうことで引き起こされます。関節炎になると、少し歩くだけでも痛みが生じるため、食事だけでなく排泄もできなくなり、猫自身にかなりのストレスがかかるだけでなく、飼い主への負担も大きくなります。
呼吸器疾患や心疾患は、増えすぎた脂肪により気管や肺などの臓器が圧迫されることにより引き起こされます。呼吸をすることは生きていく上で大事なものです。肥満により呼吸をすることも大変になり、体を動かすことも難しくなってしまいます。
これらの病気は、ほとんどが命の関わる病気です。1日でも愛猫と長く過ごすためにも、適正体重をキープし、ストレスのない生活を心がけることをおすすめします。
麻酔のリスクが上がる
肥満は麻酔のリスクを上げてしまいます。肥満になると、麻酔をかけた時の導入や目覚めに影響します。脂肪が麻酔のききを悪くさせるだけでなく、手術が終わっても目覚めにくくなってしまうことがあります。
さらに、脂肪には細かい毛細血管がたくさんあり、少しお腹を切っただけでも出血が多くなってしまい、手術のリスクも上がります。手術を行うことも肥満の猫の方が難易度ははるかに上がります。
免疫機能の低下
猫は肥満になると、免疫機能が低下するため、感染症を引き起こしやすくなってしまいます。泌尿器疾患や皮膚疾患でも病状が進行しやすく、治療に時間がかかります。
精神的に不安定になる
猫は犬などに比べても警戒心の強い動物です。警戒している時には素早く動き体を隠しますが、肥満の状態では体を動かすことが難しくなります。隠れたい時に隠れることができないため、精神的に不安定になることがあります。
猫の肥満の基準とは?
猫が肥満かどうか調べるためには動物病院に通わなければいけないわけではありません。自宅で簡単に調べることができるので、一度愛猫の体型について調べてみましょう。
ここでは、猫の肥満の基準についてご紹介します。
ボディコンディションスコアを利用する
猫の肥満の基準を調べる時には、ボディコンディションスコアを活用しましょう。
ボディコンディションスコアとは、猫のくびれの状態や肋骨部・腰骨部を触ることで判断する肥満の基準となるものです。スコアは1~5まで分けられていて、「痩せ」、「やや痩せ」、「理想的」、「やや肥満」、「肥満」に分けることができます。
基本的に3の「理想的」が適正体型です。「やや肥満」、「肥満」に分類されたのであれば、適正な体型を保つために体重を抑えるためにダイエットをすることをおすすめします。
猫の体型の調べ方
まず、猫のウエスト部を上からと横から、くびれがあるかどうかみていきます。
被毛が長い場合は見た目では判断できないので触って調べます。次に肋骨部からウエストまで触っていき、肋骨のゴリゴリとした感触が感じられるかどうかみていきます。その後、直接ウエストを触りくびれがあるか触り、そのまま腰骨を触り、骨を感じられるか触ります。
ボディコンディションスコア1(痩せ)は見た目でも肋骨や腰骨が浮き出ていて、触った感触も骨しか感じないような状態で、ボディコンディションスコア5(肥満)は見た目からくびれもなく肋骨も腰骨もみることができず、触ることもできない状態です。
理想的な体型(ボディコンディションスコア3)は見た目ではくびれを確認することができ、触った感触も肋骨や腰骨を感じることができる状態となります。自分で判断することが難しい場合はかかりつけの動物病院で相談することをおすすめします。
肥満になった時の対処法
愛猫が肥満であった時、可愛いから今の姿のままでもいいのではないかと感じるかもしれませんが、肥満状態は猫にとってかなりのストレスがかかります。そのため、肥満だとわかった時点で、何かしら対処をしていかなければいけません。
ここでは、肥満になった時の対処法についてご紹介します。
動物病院に相談しダイエットをする
猫が肥満になってしまったら、適正な体型に近づけるためにダイエットをしましょう。
ダイエットと言っても1ヶ月などの短期間で体重を減らそうとすると、体調を崩してしまう可能性があります。そのため、2,3ヶ月~半年かけてゆっくりと体重を減らしていく必要があります。
自分自身でダイエットの計画を立てるのは難しく、無理なスケジュールを組んでしまうと猫を病気にしてしまう可能性があるため、まずは動物病院に相談することをおすすめします。
ダイエット用のキャットフードや給与量などを相談できるので、自分で考えずに一度専門家に話をきいてみましょう。
定期的に健康診断に通う
猫が肥満になってしまったら、定期的に健康診断に通うようにすることをおすすめします。
肥満の状態は猫の内蔵機能や骨格などに悪い影響を与えます。まず、愛猫が病気ではないか調べておきましょう。さらに、定期的に健康診断に通うことで、愛猫の体型やダイエットの進み具合について相談することもできます。
肥満にならないためには?
猫は肥満になるとさまざまなデメリットがあるだけでなく、適正な体重に戻すまでにかなりの時間がかかり、猫だけでなく飼い主にも負担がかかります。そのため、日頃から肥満にならないように心がけることが理想です。
ここでは、愛猫が肥満にならないためにできる対策法についてご紹介します。
1日の食事量を確認する
健康的な体型を保つためには、まず1日の食事量を確認しましょう。しっかり計量を利用して、給与量を確認し与えます。
適当に与えてしまうと、1日の給与量を超え、カロリーオーバーになってしまう可能性があります。1日のカロリーオーバーが毎日続くことで緩やかに体に余計な脂肪がついていき、最終的に肥満の状態になります。
おやつを与えすぎないようにする
健康的な体型を保つためには、おやつを与えすぎないようにしましょう。おやつを与えることで1日のカロリーをオーバーしてしまうため、おやつを与える時には、ごはんの量を減らし、カロリーをコントロールしましょう。
たくさん体を動かす
健康的な体型を保つためには、たくさん体を動かしましょう。
どんな動物でも体を動かすことはとても大事です。体を動かすことにより、運動不足を解消でき、ストレス発散にもなります。猫は散歩に出かけることはほとんどないので、猫と一緒におもちゃで遊ぶ時間を作り、体を動かせるようにしましょう。あまり自宅にいることができない場合は、猫が一人で遊ぶことができるようなおもちゃを用意してあげることをおすすめします。
まとめ
ここでは、猫の肥満の基準や対処法についてご紹介しました。
テレビやSNSなどでも肥満の猫を可愛いと紹介されることも多いですが、肥満の状態は猫にとってかなりのストレスです。病気のリスクも上がり、寿命も短くなってしまう可能性もあります。
愛猫が肥満かどうかは簡単に調べることができます。肥満であった場合や猫の体型が気になる場合は、かかりつけの動物病院で相談してみることをおすすめします。
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