猫とともに暮らしている方であれば、動物病院やペットショップなどで去勢手術や避妊手術のことをきいたことがあるかもしれません。これらの手術は猫が妊娠させることや妊娠することをできなくさせる手術です。猫は交尾排卵の動物のため、手術をさせずにオスメスで生活していると、妊娠する可能性が高くなります。子猫は可愛らしいですが、母猫が世話をしなくなると飼い主にもかなり負担もかかり、さらに、家族が見つからなければ行き場のない可哀想な猫たちが増えてしまう可能性もあります。
そのため、猫を飼育する時には、去勢手術・避妊手術についてしっかり知っておくことがおすすめです。
ここでは、猫の去勢手術・避妊手術についてご紹介します。
この記事を書いた人
保有資格:小動物看護士/ペット販売士/トリマーB級/ハンドラーC級/訓練士補/二級愛玩動物飼育管理士/第一種動物取扱業登録/動物取扱責任者
JKC公認トリマー養成機関で2年犬や猫に関する様々な知識や技術を学び、多数の資格をとる。トリミングサロンStar seaを経営。
去勢、避妊手術とは?
去勢、避妊手術とは、去勢手術であれば睾丸を、避妊手術であれば子宮と卵巣を摘出する手術です。この手術を行うと、一生妊娠させることもすることもできなくなります。手術は動物病院で行われ、去勢手術(オス猫)は日帰り、避妊手術(メス猫)は一泊入院となります。
猫は交尾をした時に排卵する交尾排卵の動物のため、交尾をするとかなり高い確率で妊娠します。愛猫の子供をみてみたいと考える方もいますが、妊娠、出産を見守ることは知識が必要で、飼い主のサポートが大事になります。さらに、生まれた子猫の世話や新しい家族を探す必要もあり、かなり大変です。
去勢、避妊手術の必要性とは?
手術を行ってしまうと、愛猫の子供をみることはできなくなります。去勢、避妊手術を決める時には、家族でしっかり相談することをおすすめします。さらに、手術を行う時には麻酔を使用するため、麻酔のリスクもあります。では、去勢、避妊手術を行う必要性はあるのでしょうか。
ここでは、去勢、避妊手術の必要性についてご紹介します。
1)望まない妊娠を防ぐ
去勢、避妊手術は、望まない妊娠を防ぐためにも大事なことです。望まない妊娠を繰り返すことで子猫たちも不幸になります。猫は基本的に1度の妊娠で3,4頭生まれてくるため、なんの対策をせずにいるとどんどん増えてしまいます。
子猫が生まれてしまった場合、母猫がいれば世話をしなくていいというわけではなく、飼い主もしっかりサポートする必要があります。育児放棄してしまった場合は飼い主が子猫にミルクを2時間おきに与えなければいけないため、かなり負担がかかります。愛猫のためにも、自分のためにも、妊娠を望まない場合は去勢、避妊手術を検討することをおすすめします。
2)発情からくるストレスの緩和
去勢、避妊手術は、発情からくるストレスを緩和してくれます。発情期になるとオス猫は興奮し大きな声で鳴くことやマーキングなどを行います。メス猫も大きな声で鳴き、体をこすりつけることがあり、発情自体が猫たちにとってストレスとなります。
去勢、避妊手術を行うことで発情することがなくなるため、発情期に起こるストレスもかなり軽減されます。
3)病気を予防できる
去勢、避妊手術は、病気を予防することができます。オス猫であれば、前立腺の発生率低下、精巣腫瘍の予防、メス猫であれば、乳清腫瘍の発生率の低下、子宮蓄膿症の予防ができるようになります。
4)デメリットもある
去勢、避妊手術をすることで良いことばかり起きるわけではありません。ホルモンバランスが変わることで肥満になりやすくなるだけでなく、手術のリスク、麻酔のリスクもあります。中には、体に障害が残るケースなどもあるため、手術を決める時には、かかりつけの獣医師としっかり相談し、家族内でも話し合って決めることをおすすめします。
去勢手術の流れ
去勢手術は基本的に日帰りで行うことができますが、手術はどんなことをするのでしょうか。
ここでは、去勢手術の流れについてご紹介します。
1)お預かり後血液検査
まず猫をお預かりし、血液検査を行います。この検査は肝臓や腎臓などの機能が正常かどうか、貧血の有無などを検査し、手術をしても問題ないかどうかみていきます。中には、これらの検査で異常が見つかり、去勢手術を行わないケースもあります。
2)全身麻酔を使用し、手術開始
血液検査に問題なければ全身麻酔を使用し、手術開始となります。睾丸の袋にメスを入れ、睾丸を摘出し終了となります。傷口も小さく済むこともあり、縫合をしないケースもあります。手術時間は10分程度で済むことが多いです。
3)入院室にて様子をみる
麻酔からある程度覚めた段階で入院室にて様子をみます。傷口を噛んだりしないようにエリザベスカラーを装着します。中にはパニックになってしまう猫もいますが、落ち着くまでしっかり様子をみていきます。
4)基本的に当日退院
オス猫の場合は、基本的に当日退院となりますが、猫の状態などにより一泊することもあります。退院後は1週間~10日後に来院し、術後の様子をみせにいきます。問題なければ、エリザベスカラーを外し、通常通りの生活に戻ることができます。
避妊手術の流れ
避妊手術はお腹の中の子宮や卵巣を摘出するため、基本的に一泊入院が必要になります。では、どんな流れで手術を行っていくのでしょうか。
ここでは、避妊手術の流れについてご紹介します。
1)お預かり後血液検査
お預かり後血液検査を行います。血液検査では去勢手術同様、体の機能を調べていき、手術をしても問題ないかなど検査します。
2)全身麻酔を使用し、手術開始
手術は全身麻酔を使用してから開始されます。避妊手術はお腹にメスを入れて、子宮と卵巣を摘出するため、去勢手術に比べて時間がかなりかかります。摘出後は腹腔内に出血がないか確認してから、お腹を縫合していきます。縫合終了後、麻酔を切り、手術終了となります。
3)入院室にて様子をみる
手術後は麻酔から覚めた後、入院室で様子をみていきます。手術後はエリザベスカラーを装着し、傷口を傷つけないようにケアしていきます。
4)基本的に一泊入院
避妊手術の場合は、基本的に一泊入院にて管理していきます。手術後は抜糸が終わるまではできるだけ安静に過ごします。退院後、1週間~10日程度で抜糸を行います。傷口の状態を見ながら行うため、来院時に抜糸ができないケースもあります。
多頭飼育の場合や飼い主が猫をみることができない場合などには、抜糸まで入院できるケースもあるようですが、動物病院により異なりますので、確認が必要です。さらに、入院費用もかかってくるため、避妊手術代のプラスでかかるため注意しましょう。
手術後に気をつけることとは?
去勢、避妊手術は、術後の生活に影響を与えることがあります。
ここでは、手術後に気をつけることについてご紹介します。
1)肥満
去勢、避妊手術の後は、ホルモンバランスが変化し、肥満になりやすくなります。ごはんやおやつの量には注意が必要です。子猫用のごはんを食べている場合は、成猫用へ変更しましょう。ごはんを適切な量を食べていても、体型には気をつけるようにし、太り気味だと感じた時には、シニア猫用のごはんに変更してみるのも方法の一つです。
去勢、避妊手術をした後の猫用のごはんも販売しているので、ごはんを変えてみることを検討してみましょう。
2)術後の体調不良はすぐに連絡する
手術後の体調不良はかかりつけの動物病院にすぐに連絡しましょう。退院後は、疲れて寝てばかりになることが多いですが、元気や食欲がまったくない、便や尿の様子がおかしいなど、体調で気になることがあれば一度相談することをおすすめします。
猫にとって手術はかなりストレスになります。そのため、体調を崩す可能性ももちろんありますので、しばらくは猫の体調など気にして様子をみてあげましょう。
3)退院当日は安静
手術後は安静にしましょう。猫専用のケージなどにいれて、じっくり休むことができるような環境を整えてあげましょう。特に同居動物がいる場合は、構われることによりストレスを感じる場合もあるので、注意しましょう。さらに、同居動物が傷口をいじることがないように抜糸が終わるまで別の部屋で生活することをおすすめします。
4)抜糸までは傷口を傷つけないように注意
手術後は抜糸まで傷口を傷つけないように注意しましょう。エリザベスカラーを嫌がる場合は、動物病院に相談しましょう。傷口をいじることができないような、洋服タイプの術衣などに変更することも方法の一つです。
まとめ
ここでは、猫の去勢手術・避妊手術についてご紹介しました。猫の去勢、避妊手術は望まない妊娠を防ぐことや発情からくるストレスの緩和、病気の予防などにも効果が期待できます。しかし、ホルモンバランスの乱れや麻酔や手術のリスクなどのデメリットもあります。手術を決める時には、かかりつけの獣医師に相談し、しっかり話をきいた上で、家族で相談することをおすすめします。
手術後は、ホルモンバランスの変化により肥満になりやすくなりますので、食事内容にはより一層気をつけるようにし、運動不足にならないように遊んであげましょう。
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