愛する猫が突然ご飯を食べなくなり、原因が分からず悩んだり、病気が潜んでいるのではないかと不安に感じたことはありませんか。
猫がご飯を食べない原因は様々ですが、放っておくと重要な事態になる可能性もあるかもしれません。
猫にはいつまでも元気で快適に過ごしてもらいたいものです。
そこで、猫がご飯を食べない原因を探り、病気の可能性や対処法について詳しく解説していきます。
この記事を書いた人
保有資格:小動物看護士/ペット販売士/トリマーB級/ハンドラーC級/訓練士補/二級愛玩動物飼育管理士/第一種動物取扱業登録/動物取扱責任者
JKC公認トリマー養成機関で2年犬や猫に関する様々な知識や技術を学び、多数の資格をとる。トリミングサロンStar seaを経営。
猫がご飯を食べない時の原因や症状について
猫がご飯を食べなくなったら、なぜ食べないのか原因を知りたいですよね。
飼い主は試行錯誤して何とか食べてもらおうと頑張ってしまいます。
しかし、原因が分からなければ正しい対処方法に辿り付けないかもしれません。
そこで猫の食事習慣や生活環境、年齢、病気の項目ごとに原因を探っていきましょう。
猫の食事習慣からご飯を食べない原因を探る
猫のご飯の回数は1日2回、3回と情報によって違いますよね。
実は、猫の1日のご飯の回数は特に決まっていないそうです。猫は1日分のキャットフードを与えても、空腹が満たされると残します。
中には与えた分だけ食べてしまう猫もいますが、一般的には自分のペースで食べたい分だけ食べるというスタイルです。
普段の生活で、猫に与えるご飯の時間や回数、量などを改めてチェックしてみるといつも猫が食べる量が分かるでしょう。
また、猫は体内時計が正確なのでご飯の時間が近くなると鳴いたり、スリスリしたりとアピールをしてくることがあります。
万が一猫がご飯を欲しているのに与えることができなかった時や、ご飯の間隔が開いたり狭まったりすると猫が食べるペースが乱れ、食欲が低下することも。
猫の食事習慣を改めて見直すことで、原因が見えてくるかもしれません。
猫の生活環境からご飯を食べない原因を探る
猫の多くは、保守的で環境の変化を敏感に感じやすい傾向にあります。
その為、少しの変化にストレスを感じてご飯を食べなくなることも。例えば下記のような例です。
- 引越しをした
- 新しい猫を迎え入れた
- ケージやトイレの場所が変わった
- いつも側にいる飼い主が長時間留守をする
- 思う存分運動ができない環境だと、カロリー消費ができないのでお腹が空かなくなる
- 騒がしい場所でご飯を食べる環境にある
- 他のペットに邪魔をされる
- ご飯を食べている時ずっと見られている
- 食器の位置が合わず上手く食べられない
- 動物病院など外出をした
猫によって様々ですが、快適な生活環境でご飯を食べるのが望ましいですよね。
普段の生活の中で、猫が変化を感じる出来事がないか、ご飯を食べる環境がどうなっているかを思い返してみましょう。
猫の年齢からご飯を食べない原因を探る
ライフステージによってご飯を食べてくれない原因は異なるため、それぞれのステージに合わせた原因をみていきましょう。
子猫がご飯を食べない場合
- 離乳したばかりだと、ドライフードが固すぎて食べられない
- 家にお迎えしたばかりの頃は不安が大きくなり、ご飯が食べられくなる
- 遊び盛りなので間違って異物を誤飲してしまったことで、体調が悪くなりご飯を食べなくなる
- 保護したばかりの猫や、生活環境が悪い中で育った子猫には回虫などの寄生虫が潜んでおり食欲が低下している
中でも誤飲は命の危険につながることもあるため、可能性が少しでもあるのであれば動物病院へ連れていきましょう。
成猫がご飯を食べない場合
- 成猫は発情期になると、食欲が落ちる
- 真夏や真冬など快適な温度で過ごせていない場合、人と同様に寒さや暑さを感じ食欲が湧かないことも
- 美味しくて高いご飯をあげようと思い、与えることで普段食べるキャットフードを食べなくなるなんてことも
- 出産前後もご飯を食べなくなる
発情期は終われば食欲が戻ってきますので、一時的なものだと思っておきましょう。
シニア猫がご飯を食べない場合
- 高齢猫は、消化機能が若い時より低下するため食欲が減る
- ご飯を食べるきっかけとなる優れた嗅覚も低下するため、自然と食べる量が減る
- 高齢になると体調にも変化が訪れ、口腔内や内臓機能が低下し病気にかかりやすくなるため、病気による食欲低下もある
これに伴い飲水量も減少してくることもあります。
猫の病気から食べない原因を探る
猫が病気を発症している場合、ご飯を食べないこと以外に何らかの症状が出ていることがあります。
- 水をたくさん飲む
- ご飯を食べづらそうにしている
- 嘔吐や下痢を繰り返している
- 表情が強張っている
- 暗い場所や狭い場所で尻尾を丸めてじっとしている
- 呼吸が早かったり浅い
- よだれを垂らしたり舌が出たままになっている
- 口臭が強くなった
- 鼻が詰まっていたり鼻水が出ている
以上の症状が出ている場合、病気である可能性が考えられます。
普段の様子を見ていることで気付ける症状もありますので、日頃から注意深く猫の行動を観察してみましょう。
猫がご飯を食べない時に考えられる病気
猫がご飯を食べない時、もしかしたら病気が潜んでいるかもしれません。
ご飯を食べないことに直結する病気について詳しく見ていきましょう。
猫がご飯を食べない場合がある病気
猫がご飯を食べない場合、下記のような病気を抱えている可能性があります。
- 口腔内の病気⇒口内炎や歯周病
- 消化器系の病気⇒胃腸炎や異物誤飲
- ウィルス感染⇒猫カリシウィルスやフェリス、クラミジア、猫パルボウィルス、猫汎白血球減少症ウイルス、猫ウィルス性鼻気管炎
- その他の病気⇒肥大型心筋症、下部尿路疾患、がん、認知症、肺炎、溶血性貧血など
口腔内の病気があるとご飯を食べることで、口内が痛かったりしみたりするので食欲が低下します。
また、下痢をしたり嘔吐を繰り返す時は、消化器系の病気になっているかもしれません。
猫はかなり高い確率で腎臓が悪くなると言われています。
腎臓病を発症することでも食欲が落ちることがあり、水をたくさん飲むようになった、嘔吐が増えたなどの症状が出た場合、腎臓病になっている可能性があります。
定期的に動物病院で血液検査などの健康診断を行うことで病気の早期発見になります。
猫がご飯を食べないと危険な状態になる期間
猫がご飯を食べない期間がどれくらいあると危険な状態になるのでしょうか。
月齢や年齢ごとにまとめてみました。
猫の月齢・年齢 | ご飯を食べない期間 |
---|---|
1ヶ月~2ヶ月 | 8時間以上 |
2ヶ月~3ヶ月 | 12時間以上 |
3ヶ月~4ヶ月 | 16時間以上 |
1歳以上 | 24時間以上 |
ご飯を食べない期間が上の基準より長い場合、何かしらの理由があると考えられます。
加えて水分も取らないようであれば危険な状態になる可能性が高いです。
さらに太った猫がご飯を食べない時間が36時間を超えると肝リピドーシスになるリスクが高まるので注意が必要です。
うちの猫はふくよかだから少しくらい食べなくても大丈夫と安心してはいけません。
太った猫がご飯を食べなくなると猫の体内でエネルギーを作ろうとして、脂肪を分解しようとします。脂肪の分解が急に始まることで肝臓に負担がかかってしまうのです。
もし、食べない状態が続いてしまうと命の危険に及ぶこともあるので、注意深く観察しましょう。
猫がご飯を食べない場合に病院へ受診した方がよい症状は?
猫がご飯を食べなくなり、病院に受診した方が良いのか迷うこともあるでしょう。
そこで、病院に連れていった方が良い症状について解説していきます。
猫は食欲がその時々で変わるので、1食分食べなかったとしてもそれほど心配はしなくて良いでしょう。
しかし、前章で述べたご飯を食べない期間に当てはまる場合、病院を受診することをおすすめします。長期間ご飯を食べないのは何かしら体に異常が出ている可能性が高いです。
さらに呼吸が荒い、ぐったりしている、排泄をしていない、黄疸が出ているなどの症状がある場合はすみやかに動物病院を受診しましょう。
猫は我慢をする性分なので、症状が目に見えないかもしれません。
そのうち食べるかもと見過ごすより、病院へ受診して検査などをしてもらうことで病気が発見されることもあります。
また、体調に異常がないことが分かると、ご飯を食べないのは病気以外の理由であることが分かりますので、迷った時は病院に相談をしてみましょう。
猫がご飯を食べない時の対処法
猫がご飯を食べないことが、病気以外の理由である場合の対処法についてご紹介していきます。
違うフードを与えてみる
猫も人と同じように、毎日同じ物を食べ続けると飽きてしまうことがあります。
いつも食べるフードを食べなくなった時は、違うフードを与えてみましょう。
- いつものご飯の主原料が肉の場合は魚を主原料としたフードに変えてみる
- ドライフードしか食べたことがない場合は、ウェットフードをあげてみる
- 粒の大きさや固さを変えてみる
など、いつもと違うフードを与えてみることで、食べてくれることがあります。
味はもちろんなど様々ですので、数種類試してみるとよいでしょう。
ただ、いきなりフードを全て入れ替えるとお腹の調子が悪くなることがあるので、少しずつ試してみてくださいね。
- 1日目⇒普段食べているフードを90%
- 2日目⇒80%と20%
- 3日目⇒70%に30%
ただし、少しずつ量を変えていてもお腹が緩くなったりなど上手く消化ができなくなることもあるので、猫のペースに合わせて調節してみてくださいね。
生活環境を整える
猫にとって生活環境の変化は多大なストレスを与えかねません。
環境が変わったことが理由でご飯を食べなくなった時は、猫が安心してご飯を食べられる環境を整える必要があります。
猫が食器の大きさや位置で食べづらそうにしているようであれば、食器を変えたり位置をずらして食べやすい環境を作ってみるのもよいでしょう。
新しい猫が来たことでストレスになり、ご飯を食べない場合は、静かに落ち着ける環境でご飯を与えてみるのも良い方法です。
トイレの近くに食器を置いている場合は、食器の位置をずらすことで食べることもあります。
飼い主が長時間の外出で不安や寂しさを感じてご飯を食べない場合は、不在にしていた時間を埋めるよう一緒に遊んであげたり、スキンシップを取ってあげてくださいね。
フードを温める
猫舌という言葉があるほど、猫は熱い食べ物が苦手な印象がありますが、猫は冷たすぎる物も苦手です。
猫が好んで食べるご飯の温度は38℃だと言われているため、猫がご飯を食べなくなってしまったら、フードを人肌程度に温めてから与えてみましょう。
また、温めることでフードの香りが増すので、猫の食欲増進にも繋がりますよ。
ドライフードは、少し温かいお湯でふやかした物をあげるといつもと違う食感になります。
ウェットフードは、パウチの場合40度位のお湯で湯煎して温めてみると人肌の温かさでご飯が食べられます。
缶や蓋を開けるタイプのウェットフードは耐熱容器に移し、ラップをしてレンジで少し温めてから与えてみましょう。またウェットフードは温度ムラが出ることがあるので、必ずほぐしてから与えてみてくださいね。
また、ドライフードは一度パッケージを開封すると酸化しやすくなるので、防腐剤や乾燥剤などでいつまでも新鮮な状態で食べられるよう工夫してみるのも良いでしょう。
おやつを減らしてみる
猫に可愛くおねだりをされるとついついおやつをあげてしまいますよね。
おやつをあげることで、コミュニケーションが図れますし美味しそうに食べる姿を見ると嬉しくなります。
しかし、おやつはご飯と成分が違います。
ごはんは猫に必要な栄養素が入っていますが、おやつは猫の好みを重点として作られている「栄養補助食」です。
おやつを与えすぎることで、猫がご飯を食べなくなると栄養が十分に摂取できなくなってしまいます。
猫のおやつのパッケージに適正量が記載されていますが、ご飯を食べられる余裕がある位のおやつの量を与えるようにしましょう。
おやつはだいたい1日に必要なエネルギー量の10%~20%にとどめ、総合栄養食のご飯をしっかり食べれるようにするのが理想的です。
爪切りやシャンプーをした後など猫が苦手な気持ちになる出来事の後に、ご褒美としてあげても良いですね。
まとめ
猫がご飯を食べない原因と病気やその対処法についてお伝えしました。
猫にとってご飯を食べることは生きる上で大切なことであり、楽しみでもあります。
猫生を充実して過ごしてもらうためにも、日々の食事習慣をチェックしながら美味しくご飯を食べられる環境を作ってあげましょう。
他にもご飯を食べる前におやつを与えたりすると、空腹が満たされご飯を食べなかったり、同じフードを食べ続けていると飽きてしまい、食べなくなることもあるでしょう。