愛猫には、最後までキャットフードを美味しく食べてほしいと思いませんか?
そのためには、キャットフードを正しく保存し、酸化を防ぐことが重要になります。
また、酸化を防ぐことは、愛猫の健康も守ることにもつながります。
そこで、今回はキャットフードの酸化を防ぐ正しい保存方法を詳しく解説します。
この記事を書いた人
保有資格:小動物看護士/ペット販売士/トリマーB級/ハンドラーC級/訓練士補/二級愛玩動物飼育管理士/第一種動物取扱業登録/動物取扱責任者
JKC公認トリマー養成機関で2年犬や猫に関する様々な知識や技術を学び、多数の資格をとる。トリミングサロンStar seaを経営。
目次
キャットフードを正しく保存することが重要な理由
キャットフードは開封して空気に触れた瞬間から酸化がはじまります。ドライフードには酸化防止剤が使用されていますが、それでも完全に酸化を防ぐことはできません。
キャットフードを間違った方法で保存をすると、酸化を早める、カビや湿気の原因になるなど品質の劣化を招くおそれがあります。
最後まで美味しく、安全かつ健康的に食べてもらうためには正しく保存する必要があります。
【健康へのリスク】キャットフードの酸化とは?
酸化とは特定の物質が酸素と結びつく現象です。
キャットフードの場合は、含まれている脂肪や油脂などが空気中の酸素と結びついた結果、風味が悪くなったり栄養価が落ちたりします。
ここでは、猫の大敵ともなるキャットフードの酸化とそのリスク、健康への懸念について解説します。
キャットフードはなぜ酸化するの?
キャットフードには、猫にとって重要な栄養素である脂質、嗜好性を高めるための油脂が使用されています。これらは、キャットフードを酸化させる原因です。
また、以下のような状況下では、酸化が加速すると考えられています。
- 酸素に触れている
- 直射日光が当たる
- 温度が高い
- 湿度が高い
つまり、高温かつ多湿で、直射日光が当たるような場所で保管すると、どんどん酸化してしまうことになるのです。
とくに、日本の夏は温度も湿度も高く、酸化が進みやすい季節だと言われています。
キャットフードが酸化した際のリスク
酸化したキャットフードを与えた場合のリスクはおもに3つあります。
- 食いつきが悪くなる
- 栄養価が下がる
- 病気の原因になる
食品は酸化すると味や匂いが変化します。
キャットフードの場合は苦みが出て香りが薄くなり、食いつきが悪くなる傾向にあります。
また、酸化すると栄養価が低下するため、猫にとって必要な栄養を十分に摂取できなくなる可能性も。
酸化したキャットフードを与えつづけた場合、嘔吐や下痢といった消化器症状やアレルギーの原因にもなりかねないのです。
酸化による健康や安全面での懸念
酸化したキャットフードは、猫にとってさまざまな病気の原因になるでしょう。
脂質が酸化した際にできる「過酸化脂質」は、食べつづけることで消化器をはじめとする内臓疾患、癌などの病気の原因になるとされています。
過酸化脂質が引き起こす可能性がある症状、病気には以下のものがあります。
- 嘔吐・下痢
- アレルギー
- 動脈硬化
- 肝機能低下
- 癌
キャットフードの酸化は、風味の変化や栄養素の低下以外にも、愛猫の健康を害してしまうリスクがあるのです。
キャットフードの保存には湿気や害虫にも注意!
キャットフードを保存するうえで酸化同様に注意しなくてはならないのが「湿気」と「害虫」です。
ドライフードは10%前後の水分を含んでいますが、湿気を吸って水分が13%を超えるとカビが発生しやすくなります。したがって、劣化を防ぐためには、なるべく湿気が入り込まないように注意しなければなりません。
湿気と同じく、害虫の侵入にも注意が必要です。キャットフードにつく害虫としては「トビカツオブシムシ」や「タバコシバンムシ」が知られています。
これらは猫が誤って食べてもとくに害はないとされていますが、中には危険な害虫もいるため、残念ながら袋ごと破棄するのが賢明でしょう。
なお、破棄する際は害虫が出てこられないように袋ごとビニール袋などに入れて口を固く縛って捨てましょう。
ドライフードの保存方法
キャットフードの酸化を完全に止めることはできません。しかし、正しく保存すれば酸化を遅らせることは可能です。
ここでは、ドライフードに適した保存場所や、開封後の賞味期限、期限内に食べ切れなかった場合の保存方法を紹介します。
ドライフードを酸化させないための基礎知識となりますので、覚えておきましょう。
ドライフードの保存場所
ドライフードの劣化を防ぐには、高温多湿を避け、直射日光の当たらない場所で保存します。これは、未開封でも開封後でも同じです。
ドライフードの保存場所として、適しているのは以下のような場所です。
- 食器棚
- 床下収納
- パントリー
これらの場所は比較的温度も安定しており、直射日光が当たりにくい場所です。
逆に高温または多湿になりがちな流しの下、ガス台の下、押し入れの中、洗面所は避けるようにしましょう。また、詳しくは後述しますが、冷蔵庫での保存も避けるべきです。
開封後の日持ちは1ヶ月
ドライフードは、未開封であれば長いもので2年ほどの賞味期限が設けられています。
しかし、開封して空気に触れると急速に酸化してしまうため日持ちはしません。そのため、多くのメーカーでは開封後1ヶ月程度で食べ切ることを推奨しています。
酸化したドライフードは風味が落ちるため、食いつきに影響します。
また、健康上のリスクも否定できません。ドライフードを購入する際は、開封後1ヶ月程度で食べ切れるサイズのものを選びましょう。
天然由来の酸化防止剤を使用したキャットフードほど日持ちが悪くなる傾向にあります。
食べ切れない分は密閉して冷凍保存
ドライフードを開封してから1ヶ月程度で食べきれないとわかっている場合は、冷凍保存をおすすめします。
開封したらすぐに、1日分ずつ小分けにして、密閉できる袋に入れ冷凍をしましょう。
ただし、冷凍保存した場合は風味が落ちて食いつきが悪くなる可能性があります。また、冷凍したドライフードは2〜3ヶ月ほどで食べ切るようにしてください。
解凍の際は、いきなり常温に戻すと結露のリスクがありますので、密閉の状態で冷蔵庫に入れて1日かけて解凍します。その後、常温に戻してから与えましょう。
ドライフードを酸化から守るための方法
ドライフードを酸化から守るためには「酸素・日光・温度・湿度」を避けることが重要です。そのためには、密閉容器や保存袋などを適切に使用することが求められます。
ここでは、基礎知識にプラスしておこなうことで、より効果的に酸化を防ぐ方法を紹介します。
密閉容器・真空容器を使う
ドライフードの保存には、空気が入りにくい密閉容器や、空気を抜いて密閉できる真空容器がおすすめです。真空容器なら、空気に触れることはほとんどありませんので、酸化防止には最適でしょう。
容器を選ぶ際は、以下のポイントを重視して選びます。
- 遮光性のある素材を使用しているか
- 密閉性が高い商品か
- 袋ごと入れられるサイズか
密閉容器を使用する場合は、袋ごと入れられるサイズがおすすめです。
パッと見で残量がわからないというデメリットはありますが、酸化を防ぐ効果は高くなります。
フードクリップを使う
今回紹介している方法のなかでもっとも手軽なのがフードクリップを使う方法です。
最近ではジッパーやファスナーがついている袋も増えていますが、完全密閉できないものも見受けられます。安心のためにも、密閉性の高いフードクリップを併用するのがよいでしょう。
使用の際は、しっかりと空気を抜いてから閉じるようにします。袋ごと密閉容器に入れて保存するのもおすすめです。
アルミの保存用袋で小分け保存
もし、キャットフードを小分け保存する必要があるのなら、遮光性と気密性に優れたアルミの保存袋が最適でしょう。とくに、ペットフード用として販売されているものは用途にぴったりのアイテムです。
ただし、キャットフードの袋には、一般的にガスバリア性が高い(=空気をとおさない)素材が使われています。そのため、しっかりと密閉できるジッパーやファスナーつきの小袋であれば、袋ごと密閉容器に入れるだけで十分でしょう。
真空パック機で密閉する
真空パック機を使用すればしっかりと密閉できるので、酸化のリスクは格段に減らすことができるでしょう。また、開封後の保存期間も通常は1ヶ月ほどのところを1.5〜2ヶ月ほどに延ばせます。大きめの袋で買ったキャットフードを長持ちさせるのにはぴったりです。
ただし、滅菌できるわけではありませんから、環境中の細菌が侵入した状態で密閉すれば、腐敗の可能性は否定できません。開封する際は中身に問題がないかどうかよく確かめたうえであたえましょう。
また、真空状態でも直射日光、高温、多湿を避けて保存してください。保存状況によってはキャットフードを劣化させてしまう可能性があるためです。
小袋のキャットフードを買う
キャットフードの酸化をできるだけ避けたいのであれば、小さなサイズの袋で購入するのがおすすめです。小サイズの袋なら開封してから短期間で食べきれますから、その分だけ酸化の少ない食事を与えることができます。
ドライフードの開封後の賞味期限はおよそ1ヶ月ほどとされていますが、保存期間は短いほうがいいのは当然です。割高にはなりますが、1週間〜10日ほどで食べきれる量のものが理想でしょう。
ウェットフードの保存方法
ウェットフードは、水分量が多く、傷みやすいというデメリットがあります。そのため、ドライフードよりも取り扱いには注意が必要です。
では、どのように保存するのがよいのでしょうか?ウェットフードを適切に保存するための方法を具体的に紹介します。
開封後はかならず冷蔵庫で保存する
ウェットフードには、一般的に保存料や酸化防止剤など食品を日持ちさせるための添加物が含まれていません。そのため、開封後のウェットフードは、すぐに食べ切るのが理想です。
もし、1度で食べ切れない場合は、かならず冷蔵庫で保存し、なるべく早く食べさせるようにしましょう。
また、開封後は缶の劣化も気になります。当日中であれば問題ないとする声もありますが、別の容器に移し替えてから保存したほうが安心です。
開封後は24〜48時間程度で食べ切る
ウェットフードの賞味期限は、未開封では2〜3年ほどと長期保存が可能です。しかし、一度開封すると劣化がはじまります。メーカーの多くは、開封後「24〜48時間」ほどで食べ切ることを推奨しています。開封後はなるべく早く食べ切るようにしましょう。
具体的な時間の記載がない商品の場合は、できれば当日中、遅くても翌日までには食べさせるようにすると安心です。
食べ切れなかったら冷凍保存がおすすめ
食べ切れなかったウェットフードは冷凍保存がおすすめです。ただし、メーカーによっては冷凍保存を推奨していないので注意しましょう。
冷凍保存したウェットフードは風味が落ちるため、なるべく早く食べ切るのが望ましいです。長くても2〜3週間程度で与えるあたえるようにしてください。
また、冷凍保存しても酸化は止まりません。空気に触れないように1食ずつラップに包むなど小分けにし、密閉容器に入れて保存しましょう。
キャットフードのNGな保存方法
キャットフードは正しく保存することで、酸化を遅らせることができます。しかし、間違った方法で保存すれば劣化を早めてしまう可能性があります。
キャットフードを正しく保存して、長持ちさせるためには、避けるべき保存方法を知っておくことも大切です。
それでは、やってしまいがちなNG方法について見ていきましょう。
ドライフードを冷蔵庫で保存する
冷蔵庫は、開け閉めの際にの温度変化が生じるため、結露が発生する原因になるといわれています。そのため、ドライフードの保存場所には不向きです。
結露は湿気やカビを発生させたり、ドライフードの風味や品質を低下させたりする原因にもなります。
ドライフードは、直射日光や高温多湿な場所を避けて常温で保存しましょう。
大容量のフードストッカーに直接キャットフードを入れる
大容量のフードストッカーの場合、長期間キャットフードを入れた状態になりがちです。入れている時間が長くなればなるほど空気に触れる機会が増えて、キャットフードの酸化が進みます。
大容量のフードストッカーを使用する場合は、パッケージごとフードストッカーに入れて保存するのがおすすめです。大袋の場合は小分けして入れておくのもよいでしょう。
食べ残しのウェットフードを保存する
基本的に食べ残しのウェットフードを保存するのはNGです。口を付けた食べ物は、雑菌が繁殖しやすい状態になっていますので、1回ごとに新しいものを与えるようにしましょう。
おすすめはしませんが、どうしても食べ残しのウェットフードを取っておきたいという場合は、冷蔵庫で保存し次の食事までにしてください。
また、ウェットフードは、水分が多く傷みやすいため、食べなくても夏は30分、涼しい季節でも1時間を目処に片付けて捨てるようにしましょう。
まとめ
酸化したキャットフードは、食いつきが悪くなるだけでなく、さまざまな病気の原因にもなります。
また、室内で暮らす猫にとって食事はとても楽しみな時間です。
愛猫には、最後までおいしく、健康的に食べてもらいたいですよね。そのためには、キャットフードを正しく保存する必要があります。
今回紹介した正しい保存方法を実践し、キャットフードを酸化から守りましょう。