猫の病気にはいろんな病気があります。中には、人と同じような病気も数多くあります。猫白血病や猫エイズときくと、なんだかとても怖い病気、他の猫にもうつってしまうのではないか、などというイメージもありますよね。では、実際には猫白血病や猫エイズはどんな病気なのでしょうか。さらに、他の猫や人に感染してしまうことはあるのでしょうか。
ここでは、猫の白血病や猫エイズについてご紹介します。
この記事を書いた人
保有資格:小動物看護士/ペット販売士/トリマーB級/ハンドラーC級/訓練士補/二級愛玩動物飼育管理士/第一種動物取扱業登録/動物取扱責任者
JKC公認トリマー養成機関で2年犬や猫に関する様々な知識や技術を学び、多数の資格をとる。トリミングサロンStar seaを経営。
目次
猫の白血病と猫エイズ
猫白血病と猫エイズはウイルスの感染により引き起こされる病気ですが、症状や原因は異なります。
ここでは、猫白血病と猫エイズについてご紹介します。
1)猫白血病ウイルス感染症
猫白血病は猫白血病ウイルス(FeLV)に感染することで引き起こされる病気で、猫白血病ウイルス感染症と呼ばれます。
唾液や尿、母乳、血液、胎盤などを通じて感染します。空気感染はあまり多くないですが、同居している猫がいる場合は感染リスクが高くなります。完全室内飼育の猫より、野良猫や外にも行き来している猫の方が感染率は上がります。外で生活している野良猫の中には、白血病ウイルスを保有していることがあるため、できるだけ完全室内飼育の方が安心です。
猫の混合ワクチンの中には、猫白血病ウイルス感染症を予防することができるワクチンが存在します。ワクチンを接種しても、絶対に感染しないわけではなく、感染することもあります。しかし、発症しても症状が軽く治まることが多く、気になる場合はワクチン接種を検討してもいいかもしれません。
猫白血病は人間の白血病とは異なるため、人にうつることはありません。
2)猫エイズ
猫エイズは猫免疫不全ウイルス(FIV)に感染することで引き起こされる病気です。潜伏期間が長く、発症せずに寿命でなくなることもありますが、発症してしまうと治療法がないため、完治は難しいです。
ウイルスを保持した猫の唾液や交尾、血液などで感染します。そのため、できるだけ室内で飼育し、他の猫との接触を防ぐことがおすすめです。
猫の混合ワクチンの中には、猫エイズのワクチンも存在します。ワクチン接種をすることで100%ではありませんが、感染を予防することが可能です。しかし、ウイルスを保持した猫と触れ合うことで感染してしまいますので、ワクチン接種をしたからといって安心してはいけません。ワクチン接種をし、室内飼育を徹底することで猫エイズに感染することを防ぐことができます。
猫エイズは一度感染すると、ウイルスは一生体の中に潜伏することとなります。そのため、できる限りの対策をしておくことがおすすめです。
猫エイズは人間のエイズとは異なるため、人にうつることはありません。
猫白血病ウイルス感染症の症状や治療法とは?
猫白血病ウイルス感染症はウイルスを保持している猫との接触により感染します。ワクチン接種で予防できるとっても、他の猫と接触してしまった場合は感染する可能性もあります。
では、実際に猫白血病はどんな症状がみられるのでしょうか。
ここでは、猫白血病ウイルス感染症の症状や治療法についてご紹介します。
1)症状
猫白血病ウイルス感染症を発症すると、発熱、元気がなくなる、リンパ節の腫れ、貧血などがみられるようになります。この症状は1週間から長いと数ヶ月続くことがあります。一度症状は落ち着きますが、体の中にはウイルスは存在している状態なので、安心はできません。
猫によっては、症状が落ち着きそのまま元気に過ごすこともあります。しかし、中にはリンパ腫や腫瘍などの病気を発症することもあり、再生不良性貧血、白血球減少症などにより免疫力が低下していきます。免疫力が低下してしまうと、感染症や他の病気を引き起こしやすい状態となるため、いろんな症状がみられるケースもあります。
猫白血病ウイルス感染症では、感染により腎炎を引き起こしてしまうこともあるため、猫の体調には気をつけていかなければいけません。
2)治療法
猫白血病ウイルス感染症は、治療法はありません。感染し、発症すると、いろんな症状がみられるようになるため、その症状に対して治療を行っていきます。インターフェロンや抗生物質、抗がん剤などを使用することもありますが、猫の状態により異なります。
免疫力が低下してしまう病気なので、高品質な食事、睡眠、運動、衛生的な生活環境などを整えてあげましょう。
3)予防するためには?
猫白血病ウイルス感染症はウイルスを保持した猫との接触です。そのため、予防するためには、ウイルスを保持している猫との接触を断つことです。完全室内飼育で、他の猫との接触を防ぎましょう。
さらに、ワクチン接種をすることにより、100%ではありませんが、病気を防ぐことにもつながります。
猫エイズの症状や治療法とは?
猫エイズも猫白血病ウイルス感染症と同じく、ウイルスを保持した猫との接触で感染します。病名をきくと、怖い病気のようなイメージがありますが、実際はどんな症状がみられるのでしょうか。
ここでは、猫エイズの症状や治療法についてご紹介します。
1)症状
猫エイズの症状は、発熱、口内炎、食欲不振、病気の治りが遅いなどがみられるようになります。これといって代表的な症状がありませんが、免疫力が低下していくため、他の病気にもかかりやすく、貧血、出血傾向、腫瘍などを引き起こすこともあります。
猫エイズの病気は5つの段階に分けられることができます。1つ目は急性期で感染したことにより発熱や下痢、リンパ節の腫れなどが4ヶ月程度みられます。その後、無症候性キャリアー期に移行し、症状が落ち着きます。症状がみられませんが、潜伏期間となるため、いつ発症してもおかしくない状態です。その後、持続性リンパ節腫大期に入り、全身のリンパ節が2~4ヶ月にわたり腫れます。そして、エイズ関連症候群期に入り、免疫力が低下し、様々な感染症を引き起こし、いろんな症状がみられるようになります。
最終的に、後天性免疫不全症候群期に入ります。免疫機能がなくなり、貧血、悪性腫瘍、日和見感染症がみられるようになり、そのまま亡くなってしまいます。
猫エイズはとても怖い病気で、亡くなってしまうこともあります。しかし、猫エイズの場合は、免疫力が低下することにより他の病気が原因のことが多いです。
2)治療法
猫エイズも治療法は見つかっていません。そのため、今みられている症状に対して治療を行っていきます。インターフェロンや抗生物質などを猫の状態によって処方していきます。
3)予防するためには?
猫エイズはウイルスを保持する猫との接触により感染します。そのため、予防するためには、完全室内飼育がおすすめです。さらに、ワクチン接種をしておくことにより、100%ではありませんが発症を防ぐことができます。
さらに、日頃から免疫力を高めるために、高品質な食事、良質な睡眠、清潔な環境での生活をこころがけるといいかもしれませんね。
他の猫や人にうつる?
猫白血病ウイルス感染症や猫エイズは人には感染しません。しかし、他の猫には感染します。そのため、ウイルスを保持しているとわかった時には、外に行き来できる猫でも完全室内飼育に切り替え、他の猫に感染させないようにしていきましょう。
さらに、同居猫がいる場合は、生活空間を分け、食器なども共有しないようにしましょう。
動物病院での対応方法とは
猫白血病ウイルス感染症や猫エイズの症状は少し似ていて、発熱や貧血、リンパ節の腫れなどがみられます。見た目ではどんなウイルスに感染しているかわかりませんが、動物病院ではどのようなことが行われるのでしょうか。
ここでは、動物病院での対応についてご紹介します。
1)問診・身体検査
動物病院を受診した時には、まず問診・身体検査が行われます。問診とは、飼い主さんから話をきくことで、猫の症状、様子、食欲の有無、排泄の有無、なども細かくきいていきます。そのまま、猫の身体検査を行います。体やリンパ節の触診、心音、脈拍数、体温なども測定していきます。
2)血液検査・ウイルス検査
次に、血液検査やウイルス検査を行います。問診・身体検査の段階でウイルス感染が疑われる場合はこの時点で検査を行います。
猫白血病ウイルス感染症と猫エイズはコンボ検査で1度に測定することが可能です。少量採血を行い、10分程度で結果がわかります。この検査は感染してから1ヶ月経っていないと反応がみられないことがあるため、陰性だからといって安心はできません。野良猫を保護した場合は、保護してから1ヶ月以上経過してから検査することがおすすめです。
3)猫の状態に合った処置
検査が済んだあとは猫の状態に合った処置を行います。追加でレントゲン検査や超音波検査を行うこともあります。輸液療法や抗生物質の投与など猫の状態をみながら対応していきます。
自宅でできるケアをご紹介します
猫白血病ウイルス感染症や猫エイズの感染が判明するとショックですよね。しかし、感染がわかっても、発症せずにそのまま天寿を全うする猫もいます。そのため、諦めずに、自宅でしっかりケアをしてあげましょう。
ここでは、自宅でできるケアについてご紹介します。
1)清潔な生活空間を整える
まずは、清潔な生活空間を整えることが望ましいです。猫白血病ウイルス感染症や猫エイズは猫の免疫力が低下した時に発症する可能性が高いため、できるだけ免疫力を下げないようにしていきましょう。そのため、猫が生活するベッドやケージなどはこまめに掃除をし、清潔を保ちましょう。さらに、トイレまわりもこまめに掃除することで猫もストレスなく生活することができます。
2)ストレスを溜めない
免疫力を下げないためには、ストレスを溜めないことがおすすめです。猫は気ままに生活しているようにみますが、ストレスを抱えてしまうことがあります。猫が遊ぶことができるおもちゃはあるか、落ち着いて休む時間はあるかなどみていきましょう。
運動不足はストレスを溜めるだけでなく、肥満を引き起こす可能性もあるため、おもちゃは何種類か用意してあげることが望ましいです。
3)良質な食事や睡眠
免疫力が下げないためには、良質な食事や睡眠が大事です。猫は高タンパク質低炭水化物の食事が望ましいため、食事内容を猫にあったものにかえていきましょう。キャットフードを選ぶ時には、原材料にどんな食材を使用しているかどうかもみておくことがおすすめです。
さらに、猫が寝ている時にはそっとしてあげ、テレビや音楽の音量などを調節してあげましょう。
まとめ
ここでは、猫の白血病や猫エイズについてご紹介しました。猫の白血病とは、猫白血病ウイルス感染症のことで、猫エイズとともに、ウイルスを保持した猫との接触により引き起こされます。症状も似ていますが、治療がないのも2つの病気の特徴です。そのため、感染しないように生活しいくことが望ましい病気です。
しかし、感染してしまったといっても、発症せずに元気に生活している猫もいます。そのため、自宅では良質な食事・睡眠、清潔な生活空間などを整えてあげ、できるだけストレスがかからないような生活を送れるようにしてあげるといいかもしれませんね。
野良猫を拾ってきた場合は、猫白血病ウイルス感染症や猫エイズのウイルスを保持している可能性を忘れず、先住猫との接触は避け、しっかり検査をしましょう。
これらの病気は、症状によっても治療が異なるため、わからないことがあればかかりつけの獣医師に相談し、しっかり話をきくことをおすすめします。
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