犬と暮らす上で最初に必要になってくるのは、犬のお家であるケージです。
できれば家の中で自由にしてあげたい、お留守番の間ものびのび過ごしてほしい…そう考える方も少なくないはず。
そこで、犬のケージはいつまで必要なのか、留守中は必ず入れるべきなのかについて詳しく解説します。犬がケージを嫌がる時の対策や、最適なケージの選び方についても紹介していきます。
この記事を書いた人
保有資格:小動物看護士/ペット販売士/トリマーB級/ハンドラーC級/訓練士補/二級愛玩動物飼育管理士/動物取扱責任者/犬の管理栄養士/ペットフードアドバイザー1級/少額短期保険募集人
第一種動物取扱業:第225818003号 保管 動物取扱責任者:山本星海
JKC公認トリマー養成機関卒業。Dog salon Star seaを2018年に開業、犬のトリミングやドッグフードの販売を行う。トリマー歴10年目。愛犬:トイプードル2匹
犬のケージは本当に必要?
犬の生活環境を整えるために、ケージの使用はとても重要です。
しつけにはもちろん、犬のストレスの軽減や、安全確保にも役立ちます。
狭い場所に閉じ込めるようで可哀想と思うかもしれませんが、人間が自分の部屋を必要とするように、犬にも自分だけの空間が必要になってきます。
犬をケージに入れることのメリットを詳しく紹介していきます。
縄張りがはっきりわかって安心する
ケージ=自分の部屋(縄張り)と覚えさせることで、犬が安心して暮らせるようになります。
犬は縄張りにとても敏感な生き物です。室内全体=自分の縄張りになってしまうと、来客に吠える、部屋の様子の変化に適応できないなど、犬にとっても飼い主にとってもよくない状況になりかねません。
ケージを使用して犬の縄張りを区切り、安心できるスペースを確保してあげることで、犬の居場所を確立し、生活環境を快適にすることにつながります。
犬のしつけ・安全確保に役立つ
犬は好奇心旺盛な生き物です。特に子犬は何でも口に入れたがりますし、家具に粗相するなどさまざまないたずらをする可能性があります。
「子犬はいたずらするものだから」と放っておくのは絶対にNGです、問題行動の原因や、その後のしつけの妨げになってしまいます。
また、いたずらは誤飲や誤食、コードをかじって感電…などという悲しい事故の原因にもなりえます。
そのため、飼い主の目が行き届かない時間はケージに入れることが大切です。
危険ないたずらを繰り返させないために、まず「いたずらをして楽しかった」という成功体験を防ぎましょう。
いつまでケージに入れておかないとダメ?
いつまでケージに入れるかというよりも、一日の内どの程度ケージに入れるか、が正しいかもしれません。
ケージを使用するメリットは全年齢に当てはまるものであり、大きくなればケージが必要なくなる、ということはないからです。
子犬の時はケージで過ごすのがおすすめ
生後数か月の頃は、一日の内ほとんどをケージで過ごさせるのがおすすめです。
子犬は1日15時間ほど睡眠時間が必要ですが、一緒になって遊ぶと際限なく遊んでしまうためケージにいれておく必要があります。
生後3ヶ月程度ですと一日に遊ぶ時間は30分ほどなので、1日に10分を3回に分けて遊ぶのがおすすめです。
また、家に来たばかりの頃はケージを嫌がり、鳴き続ける子や出たがって暴れる子もいるでしょう。
可哀想に感じてしまいますが、苦しくても耐えてください。この時期にケージ=自分の部屋、と認識させる必要があるからです。
あくまで冷静に対応し、ケージの中を快適な環境に整えてあげてください。
ケージの中が過ごしやすく、安全な場所であることがわかれば、犬もだんだんと落ち着いてきます。
成犬になってもケージを活用しよう
トイレを覚え、しつけが落ち着いたと感じても油断は禁物です。
特に若い犬はまだまだ好奇心旺盛で、飼い主が見ていない間に、忘れかけていたいたずら心がよみがえらないとも限りません。
成犬になっても、安全のためにケージを最大限に活用しましょう。
特に長時間の留守番中などは、何かあっても飼い主がすぐに対応できない時は、ケージに入れておくのが安心です。
ケージは災害時に必須!
ケージ=安心できる場所と教えることは、災害時に犬の心を守ることにもつながります。
災害時では、犬と飼い主が一緒に避難する「同行避難」が原則になります。
ペット受け入れ可能となっている避難所の多くが、人間の生活するエリアにペットを連れていくことを許可していないのが現状です。
その場合、犬は飼い主と離れたエリアでケージでの生活を余儀なくされます。
普段からケージに慣れていなければ、犬にとってはとても辛い状況になるでしょう。
過度のストレスにさらされ、体調を崩してしまう可能性もあります。
ペットと飼い主がともに避難場所で過ごす「同伴避難」の場合も、基本的にケージ内で過ごす必要があります。
また、災害時以外にもペットホテル、病院に預ける際にもケージに慣れておくとストレスの軽減につながります。
非常時に犬が少しでも穏やかに過ごせるよう、ケージが安心できる場所であることをしっかりと教えておいてあげましょう。
犬がケージに慣れるためのコツ
犬がケージに慣れてもらうためには、次の3つのポイントに注意する必要があります。
- 叱ってしつけるのはNG
- ケージにいい印象をもたせる
- ケージに入れたら構いすぎない
それぞれを詳しく解説していきます。
叱ってしつけるのはNG!褒めて伸ばそう
ケージに入りたがらなかったり、嫌がっても叱ってはいけません。「ケージ=怒られる」と犬が誤って覚えてしまうからです。
逆に、少しでも入ることができたらしっかりとほめてあげましょう。
ケージに入ると褒められる、と犬が学習することで、ケージへの苦手意識が薄まります。
ケージにいい印象をもたせよう
ケージで食事を与えたり、おやつでケージ内に誘導することで、犬がケージに入るといいことがある、と覚えてくれます。
また、好きなおもちゃをケージに入れてあげるのもおすすめ。
飼い主の衣類やタオルなどでもOKです。好きなものがケージ内にあることで、ケージ内が好ましい空間だと認識しやすくなります。
ケージに入れたら構いすぎず、落ち着かせてあげる
ケージに入っている間、飼い主は構いすぎないようにしましょう。
ケージは犬の大事な縄張りです。縄張り内にいる時に外(飼い主)から構われると落ち着かず、安心して過ごせなくなってしまいます。
犬がケージで過ごしている間は極力構わず、なるべく静かに過ごさせてあげるのが大切です。
暗いところが好きな犬なら、布などで一部目隠ししてあげるのもいいかもしれません。
そうすることで、犬はだんだんとケージ=自分の部屋と感じ、落ち着いて過ごせるようになります。
犬のケージの選び方は?
犬が快適にケージ内で過ごせるように愛犬にあった選び方が必要になってきます。
サイズの合ったものを選ぶ
犬種や年齢など、犬に適したサイズを選んでください。
犬のケージは大きければいいという訳ではなく、犬にとって安心できる広さか、ということが一番大切です。
ケージの場合の目安は「楽にUターンができる」「ケージ内でゆったり伏せができる」広さ、寝床とトイレのスペースをしっかりと確保できるくらいがちょうどいいとされています。
脱走できないものを選ぶ
犬の体に対して大きすぎるケージや、逆に小さすぎるサークルは脱走される可能性があります。
ケージの網目をくぐり抜けたり、サークルの上部から飛び出したりしないように、しっかりと確認してください。
初めのうちは問題がなくても、だんだんと力や知恵をつけてある日突然脱走することもあります。犬を危険から守るためにも、脱走対策は万全にしましょう。
素材で選ぶ
鉄やステンレスなどの金属製は、耐久性に優れた丈夫なものが多く、活発な犬にもぴったりです。
最近人気の木製ケージは、おしゃれでデザイン性が高く、部屋との調和がとりやすいのが特徴です。
ただし、噛み癖のある犬には格好のおもちゃとなってしまうため注意しましょう。
やわらかい布タイプのケージ。汚れやすいので普段使いには向きませんが、折りたたんで持ち運べるものが多いので、旅行先などで使うのにおすすめです。
犬のケージ飼いはメリットがたくさん!室内フリーは安全第一で
犬にケージはどんなときでも必要になってきます。
途中から撤去しようと考えずいつまでも使い続けましょう。
部屋の中には、人間が思っているより危険なものがたくさんあります。室内フリー飼いにするためには、そういったものを極力排除しなければなりません。
しかし室内フリーにこだわった結果、人間の生活が不便になってしまうのはだめです。
その場合は、必要に応じてケージを併用する方が楽に過ごせるでしょう。
犬と人間が安全で快適に暮らせるように、互いにストレスのない選択が大切です!
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