離乳期を迎えた子犬を飼っている飼い主さんの中には、
「子犬の離乳食はいつから始めればいい?」
「離乳食の作り方や与え方のポイントって何かある?」
とお悩みの方も多いと思います。
離乳期は子犬の成長にとって重要な時期です。母親からの授乳から一人で食事できるようになるため、飼い主さんはしっかりとサポートしなくてはいけません。
本記事では、子犬の離乳食の切り替え時期や作り方、与え方などを獣医師が解説しています。
この記事を最後まで読むと、飼い主さんは、子犬の離乳食について深く知ることができ、離乳期を迎えた子犬の成長をしっかりとサポートしていくことができます。
離乳食において気をつけるべきポイントは多いですが、どれも簡単に実践できるものですので、飼い主さんはぜひ参考にしてみてください。
宮崎大学農学部獣医学科卒業後、関西の動物病院に勤務。
大学では、循環器内科を専攻し、現在も循環器を得意分野として診察を行う。
獣医師として、飼い主さんの悩みに寄り添い、信頼できる正確な情報を多くの人にお届けできたらと思い情報発信を行なってます。保有資格:獣医師国家資格
子犬の離乳食とは?
離乳食とは、母乳やミルクなどの液状中心の食事をしていた子犬が、ドッグフードなどの固形のものをスムーズに食べられるようにするための食事のことです。
本来ならば、母犬が吐き戻したものを子犬に食べさせて離乳していきますが、人と暮らすようになった犬はそのような行動は取りません。
そのため、飼い主さんが、子犬の離乳を手助けする必要があります。
離乳期の子犬は成長期であり、消化機能も整っていないことが多いため飼い主さんは以下のポイントをおさえた離乳食を与えるべきです。
- 良質なタンパク質
- 消化に良い
- 高カロリー
次章からは、離乳食は与える時期や、作り方、与え方のポイントを解説していきますので参考にしてみてください。
子犬の離乳食は生後3~4週齢から食べさせてOK
離乳食を始めるタイミングですが、生後3~4週齢から離乳食を食べさせても大丈夫です。
ただし、子犬の発育速度にもよりますので、離乳のタイミングは個体差が出てきます。
離乳食を食べさせていいかどうかの判断基準は、以下の2点で考えてあげても良いでしょう。
- 生後3~4週齢
- 乳歯が生え始めている
犬の授乳期間は約6週間続きますが、母犬の母乳の産生量は出生後3~4週目から減少してきます。
そうすると、母乳のみでは、子犬が栄養不足になってしまうため、生後3~4週齢ぐらいが離乳させるべきタイミングとなります。
また、子犬に乳歯が生え始めると固形物も食べることができるようになるので離乳できると判断できます。
飼い主さんは、乳歯をチェックしてあげると良いでしょう。
子犬に乳歯が生え始めると母犬は、痛みから授乳を嫌がるようになります。
乳歯が生えているかどうか分からない人は、これを指標に考えてみても良いでしょう。
また、離乳食を始めるといっても母乳からの切り替えを急いで行わないようにしましょう。
離乳食を始める時は、母乳を与えつつ、少しずつ回数を増やしていって、1日4~5回程度までに増やしてあげることが理想です。
子犬の離乳食の作り方
子犬の離乳食は、自宅で作るか、市販の離乳食を購入するかで対応することができます。
子犬の離乳食の作り方は簡単です。
用意するものは、子犬用のドライフードと水です。(犬用粉ミルクがあればなお良い)
子犬の離乳食の作り方は以下の通りです。
- 子犬用ドライドッグフードをぬるま湯でふやかす
ドッグフードがひたひたになるくらいまで水を注ぎ、500Wのレンジで10~20秒温める水分を全て吸ってふくらむまで30分間放置する。 - ふやかしたドッグフードを手又はスプーンでつぶす
ふやかしたドッグフードを芯が残らないように手またはスプーンで潰していく
かなり熱くなっているので、火傷に注意!
フードプロセッサーやミキサーを使うとさらにドロドロ状の液体にすることができます。 - (補足)犬用粉ミルクを足す
犬用粉ミルクをかけお湯で溶かしてあげる。
この時にミルクと水を使って粘稠度を調節してあげてください。
注意点としては、必ず子犬用のドライフードを使ってあげるようにしましょう。
子犬は、必要なカロリー量が多く、成犬用のフードだとたくさん食べないといけなくなってしまいお腹を壊してしまいます。
子犬用のドライフードは、良質なタンパク質を含み、高いカロリー量と消化に良いように設計されていますので、ぜひ、ふやかすドッグフードは子犬用のドライフードにしてあげてください。
また、人用のミルク、牛乳などは、ラクトースと呼ばれる物質を含んでおり、下痢の原因となることもありますので与えないようにしましょう。
子犬には、しっかりと犬用のミルクを使ってあげることが大切です。
市販で売っている子犬におすすめの離乳食3選
子犬の離乳食は自宅で作ることで対応できますが、自宅で作る離乳食は、ふやかしたり、フードを潰したりといろいろと大変です。
時間もかかるので、手っ取り早く離乳食を与えたい方には、市販の離乳食を使ってあげるのが良いでしょう。
市販の離乳食のおすすめは以下の通りです。
- ナチュラルハーベスト インファント
- JPスタイル 離乳食
- dbh子犬の離乳食
それぞれについて解説していきます。
ナチュラルハーベスト インファント
人間の赤ちゃんでも離乳する時にタンパク質の種類を少しづつ増やしていきます。
タンパク質は、固体によっては、食物アレルギーを引き起こす原因物質となりうることがあるので、なるべく種類を限定してあげた方が良いでしょう。
この商品は、子犬の離乳においてもタンパク質の種類を徐々に増やす必要があると考えて、タンパク質を3種類のみに限定して作られています。
パウダーにぬるま湯を加えるだけで与えることができますし、粘稠度も水との配分で変更することができます。
良質なタンパク質と高カロリーを実現した商品ですので、ぜひ子犬の離乳食に使ってあげてください
JPスタイル 離乳食
パウダータイプの離乳食であり、ぬるま湯をかけて混ぜ合わせるだけで作ることができる離乳食です。
βグルカンが含まれており、子犬の免疫力を上げてくれます。
先ほどの同じパウダータイプである「ナチュラルハーベスト インファイト」との違いとしては、消化にさらに優しいという点です。
2種類の乳酸菌がまだ発達していない子犬の消化機能を助けてくれるので、お腹が弱い子犬にもおすすめです。
dbg子犬の離乳食
この商品は、ミルクではなくペースト状の離乳食です。
離乳食としては、100gあたり80kcalと少しカロリーが少なめなのがデメリットですが、鶏ささみと鶏レバーを主原料としており良質なタンパク質を摂取できる点が良いです。
また、食材も細かくペースト状にされているので、離乳を始めたばかりの子に食べさせるても良いでしょう。
嗜好性も高く、口コミでも抜群の評価を得ています。
子犬用のミルクを混ぜたり、ドライフードにトッピングしたりして、カロリーを補いつつ与えてあげると良いですね。
子犬の離乳食の与え方と注意点
子犬の離乳食の作り方やおすすめの離乳食を説明してきました。
ここからの章では、子犬の離乳食の与え方や与える際の注意点について解説していきます。
【週齢別】子犬の離乳食の与え方
子犬の離乳食の与え方は、週齢によっても変わってきます。
子犬の成長速度は早いですので、飼い主さんは成長に合わせて、離乳食に少しずつ固形物を増やし、水分量を減らしていくようにしましょう。
- 生後4~7週齢
・・1日4回を目安に母乳に近い液体状のもの、もしくはドロドロのペースト状のものから始め、食べれるようならどんどん固形物を増やしていく - 生後8週齢以降
・・1日3回を目安にふやかしたドライフードを与え、徐々に水分量を減らしていく
ドライフードのみでも、体調も崩さないのであれば離乳食は卒業する
子犬が母乳からスムーズに離乳するために、最初は、液体状やドロドロの物から始めてあげることが多いです。
ミルクに近い液体状のものを舐めさせてあげて、お皿から自分で食べれるようになったのなら、固形物の割合を増やしていってあげましょう。
また、子犬は、一度にたくさんの量を食べると消化器に負担をかけてしまうため、あまりお勧めできません。
生後4~7週齢は1日4回、生後8週齢からは1日3回を目安に離乳食を与えるようにしてあげてください。
与える量としては、1日あたりの食事量を計算してそれを給餌回数に合わせて分割してあげると良いでしょう。
1日あたりの離乳食の量については、Q&Aの「子犬に与える離乳食の量はどのくらい?」を参考にしてみてください。
子犬に離乳食を与える際の注意点
離乳食の与える時の注意点としては、以下のようなものが挙げられます。
- 低体温に注意するため、しっかりと温めたものを与えてあげる
- 食中毒などの衛生上の観点から離乳食を与えたままで放置しない
- 低血糖に注意し、適切なタイミングで離乳食を与える
子犬は、低体温、低血糖を起こしやすいので、しっかりと温めた離乳食を適切なタイミングで与えるようにしてあげてください。
1日4回ならば朝、昼、夜、寝る前といった形で分けてあげるのが良いでしょう。
できれば夜間も注意深く観察し、低血糖や低体温になっていないかみてあげましょう。
また、食中毒などの衛生上の観点から、離乳食を与えたままで放置することはおすすめできません。
離乳食を与えて、食べたのならお皿を下げてあげるようにしてください。
食べていない場合は、次の章「子犬が離乳食を食べない時の対処法」を参考にしてみてください。
子犬が離乳食を食べない時の対処法
離乳食を与えても、子犬が食べてくれない場合もあると思います。
そうした場合には、食べ物と認識できていないことも考えられるので、以下の対処法をとってみましょう。
- スプーンで口元まで持っていく
- 指についたものを舐めさせる
- 舌に乗っけてみる
- 離乳食を食べさせた後に母乳を飲ませることで、離乳食の味を覚えてもらう
- 食べやすいように浅いお皿であげる
それでも頑なに食べない場合には、低血糖になる恐れもあるので、強制給餌が必要かもしれません。
一度動物病院に連れていって相談した方が良いでしょう。
他にも以下の症状があった場合には、すぐに動物病院に連れていくようにしてください。
- 嘔吐・下痢
- けいれん発作
- 発熱
- 元気の低下
- 体重減少(発育が遅い)
上記のような症状が認められた場合には、病気の可能性が考えられます。
子犬はまだ免疫も整っていないので、一度体調を崩すと命に関わることがあります。
飼い主さんは、何か気になることや症状があればすぐに動物病院に連れていった方が良いでしょう。
子犬の離乳食についてよくある質問
- 子犬に与える離乳食の量はどのくらい?
-
子犬の週齢や成犬時の体重によって与える離乳食の量が変わってきます。
以下の表を参考にしてみてください。分類 成犬の体重 犬種例 生後3週齢 生後4週齢 生後5週齢 生後6週齢 生後7週齢 超小型犬 1~3kg チワワ 50g 50g 60g 60g 60g 小型犬 4~8kg M・ダックス 60g 75g 85g 85g 85g 中型犬 10~20kg コーギー 70g 80g 80g 100g 100g 大型犬 30kg ラブラドール 80g 80g 100g 150g 200g 超大型犬 40kg以上 バーニーズ 160g 160g 230g 230g 270g *与える離乳食のカロリー400kcal/100gで計算(お湯でふやかす前)
(ロイヤルカナン消化器サポートパピー、ナチュラルハーベスト インファイト、JPスタイル離乳食に相当 )
*必要カロリー3×RERで計算(RER=30×体重+70)上記の表の数値は、1日の離乳食の総給餌量になります。(ふやかし用や溶かす水は含めない)
この数値を食事回数で割って1回あたりの給餌量を決めてあげましょう。
例えば、チワワの生後3週齢の場合、1日4回ご飯をあげるのが理想的なので、一回あたりの給餌量は、50÷4で約13gになります。
あくまで目安ですので、気になる方は、動物病院で診察を受けて適切な給餌量を調節していくようにしましょう。
- 離乳食はいつまで続けてあげるべき?
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生後2~3ヶ月になると離乳食を卒業させても良いでしょう。
食事は、ふやかしていない普通の子犬・パピー用の食事に変更してあげてください。
ふやかしたものを与え続けていると、歯周病を起こしやすい傾向があるので、なるべくドライフードを与えていくことが理想です。
また、離乳食からの切り替えはゆっくり行ってあげましょう。
いきなり、食事を全てドライフードに変更すると消化機能が未発達なことが多い子犬は体調を崩してしまうことが多いです。
離乳食の中にドライフードを何粒か混ぜて、1週間ほどかけてゆっくりと離乳食からドライフードに切り替えていくのが良いでしょう。
まとめ
本記事では、子犬の離乳食の時期や作り方、与え方、おすすめ離乳食などを解説してきました。
子犬の離乳食は、「生後3~4週齢」から始めることができ、週齢によって水分量と固形物の量のバランスを調節してあげる必要があります。
子犬の離乳食は、子犬の成長にとってとても重要であり、
- 良質なタンパク質
- 消化に良い
- 高カロリー食
の3条件を満たす必要があります。
これらの条件を満たす適切な離乳食を選んで与えることが大切です。
飼い主さんは、子犬用のドライフードのふやかしや市販の離乳食を使って子犬の成長をしっかりと見守っていきましょう。