チワワは、世界でもっとも小さい犬として知られる犬種です。
大きな瞳とピンと立った耳を持ち、体型や毛色の種類が豊富なのも人気のひとつ。
この記事では、そんなチワワの特徴や性格、かかりやすい病気や飼い方などを解説します。
チワワの基本情報
原産国 | メキシコ |
サイズ | 超小型犬 |
体高 | 15~23cmほど |
体重 | 1~3kgほど |
体型はドワーフ・ハイオン・スクエアの3つ
チワワの体形には、ドワーフ、ハイオン、スクエアの3タイプがあります。
ドワーフタイプは、短い首と手足が特徴的で、まるでぬいぐるみのような体型。
子犬がそのまま大きくなったようなあどけない雰囲気で、従来のチワワより幼いイメージがあるでしょう。
ドワーフタイプとは対照的に、足が長くスラッとしているのがハイオンタイプです。
バンビタイプやシカタイプとも呼ばれていて、どちらかというとスムースコートのチワワに多い体型をしています。
スクエアタイプは、ドワーフとハイオンのちょうど中間の体型で、昔ながらの一般的なイメージのチワワです。
頭の形はアップルヘッドかディアーヘッド
チワワの頭の形は、アップルヘッドとディアーヘッドの2つのタイプがあります。
アップルヘッドは、その名の通り、りんごのように丸い頭で、チワワのスタンダード。
一方、ディアーヘッドはシカのように平らな形の頭でマズルが長く、アメリカで人気のタイプです。
アップルヘッドよりも大きめの個体が多く、耳は羽のような形でやや大きいのが特徴です。
チワワの被毛・毛色の種類
チワワの被毛は、大きく2つのタイプに分けられます。
ここでは、チワワの被毛の種類と毛色のバリエーションについて紹介します。
被毛はロングコートとスムースコートの2種類
チワワの被毛には、ロングコートとスムースコートの2種類があります。
ロングコートのチワワは、耳や足、しっぽに飾り毛があり、全体的に柔らかい雰囲気が特徴です。
対してスムースコートのチワワは、光沢のある短い毛が密生していて、より小柄な印象といえるでしょう。
毛色のバリエーションは豊富!
他の犬種に比べて、チワワの毛色はバリエーションがとても多いです。
JKCでは、健康障害の懸念があるマール以外、すべてのカラーが認められている
単色(ソリッドカラー):1色だけの毛色
- レッド
- ブルー
- イザベラ
- ブラック
- ホワイト
- フォーン
- クリーム
- ゴールド
- チョコレート など
パーティカラー:2色の異なる色が混ざった被毛
- レッド&ホワイト
- ブラック&ホワイト
- クリーム&ホワイト
- フォーン&ホワイト
- セーブル&ホワイト など
トライカラー:3色以上の異なる色が混ざった被毛
- ブラック・タン&ホワイト
- チョコレート・タン&ホワイト など
チワワの性格
チワワは警戒心が強く、臆病な性格をしています。
家族に対しては明るく活発で甘えん坊ですが、知らない人にはとても内気。
家族とそうでない人をはっきり区別する傾向があり、とても保守的な性格といえるでしょう。
その反面、大きな相手にも果敢に挑む勇敢さや高い縄張り意識も持っているので、意外と番犬に向いています。
なお、チワワは家族に対する自己主張が強い犬種です。
甘やかして育ててしまうと、吠え癖・噛み癖などの攻撃性が出やすいので要注意。
チワワの受容性を高めるには、子犬の時期にさまざまな人や犬に慣れさせることが大切です。
チワワの平均寿命は?
チワワの平均寿命は、12~16歳ほどです。
これは犬全体でみると長生きといえる年齢で、なかには20歳まで生きるチワワもいるのだとか。
ただし、犬の寿命には個体差があり、先天性の病気を発症するかどうかなど、さまざまな要因で変化します。
チワワを長生きさせるためには、日々の食事や生活習慣など、さまざまな面での配慮が必要です。
チワワがかかりやすい病気7選
比較的長寿なチワワですが、注意しなければいけない病気は比較的多めです。
ここでは、チワワがかかりやすい7つの病気について、原因や症状、治療法を説明します。
膝蓋骨脱臼
膝蓋骨脱臼とは、膝蓋骨(膝を支えるお皿)が左右に動いてしまい、正常な位置から外れた状態を指します。
症状は重症度によって変わりますが、びっこを引いて歩く、片足をあげている、足を触ると痛がるなどが一般的。
軽度であれば膝蓋骨を押して正しい位置に戻せますが、重度の場合は外科的に整復手術を行う必要があります。
水頭症
水頭症は、脳内に水が異常にたまり、ふらつきやけいれんなどの神経症状が起きる病気です。
落ち着きがない、ぐるぐる回ってしまう、頭を壁に押し付けるなどの症状がみられることが多いでしょう。
治療は脳圧を下げる薬を服用するのが一般的ですが、効果が見込めない場合は外科手術が必要です。
低血糖症
低血糖症は、食欲不振や栄養不足によって血糖値(血液中の糖分)が低下する病気です。
元気がなくなる、体が冷たい、ぐったりするなどの症状がみられ、治療が遅れると命にかかわります。
低血糖症は主に生後3ヵ月くらいまでの子犬にみられることが多い病気で、特にチワワの発症率が高いとされています。
治療は、ブドウ糖の経口投与・静脈内注射、血糖値を上げる作用のあるステロイド剤の投与などを行います。
気管虚脱
気管虚脱は、何らかの原因で気管がつぶれ、正常な呼吸ができなくなる病気です。
初期は空咳とよばれる「カッカッ」「ケッケッ」などの軽い咳がみられ、次第にひどくなっていきます。
興奮時には「ガーガー」というガチョウの鳴き声のような音を立てて呼吸をしたり、呼吸困難に陥ることもあるでしょう。
症状が軽い場合は気管拡張薬や鎮咳薬の投与などを行いますが、重度の場合は外科手術が行われます。
尿路結石症(シスチン尿石症)
尿路結石症は、膀胱や尿道などの尿路に結石ができる病気です。
発症すると、排尿時に「キャン」と鳴き声をあげたり、何度もトイレに行くが尿が出ないなどの様子がみられます。
なお、チワワはアミノ酸の一種「シスチン」の代謝障害による遺伝性疾患「シスチン尿石症」を発症しやすい犬種です。
治療は軽度であれば内服薬の投与、尿道が詰まって尿が十分に出ていない場合は、カテーテルや外科手術で閉塞を解除します。
僧帽弁閉鎖不全症
僧帽弁閉鎖不全症は、心臓の左心房と左心室の間にある弁「僧帽弁」がきちんと閉まらない病気です。
初期段階では症状がみられず見逃されがちですが、進行すると元気や食欲がなくなり、呼吸が苦しくなったりします。
僧帽弁閉鎖不全症は高齢のチワワに多く発症する病気で、治療は心臓の負担を減らすための内服薬投与を行うのが一般的です。
角膜炎
角膜炎は、何らかの原因で角膜に傷がつき、細菌やカビなどが原因で炎症が起こる病気です。
チワワは眼球が前に突出しているぶん目が傷つきやすく、そうではない犬種に比べて角膜炎になりやすいといえるでしょう。
軽度な状態であれば、抗生剤や消炎剤を含む目薬で治療を行いますが、悪化した場合は外科手術を行うこともあります。
チワワの飼い方やしつけ方のポイント
チワワを健康で長生きさせるためには、適切な飼い方・接し方が大切です。
ここでは、チワワを飼育するうえでのポイントや注意点について解説します。
チワワの食事は偏食対策が重要
チワワの飼育で特に多い悩みといえば、「食への関心が薄い」「偏食がひどい」というもの。
チワワはデリケートでこだわりが強く、ドッグフードの好みがはっきりしている・飽きやすい傾向があります。
あごが小さいので、粒が大きかったり、固かったりするフードは食べ疲れてしまい、すぐに食べなくなってしまうことも。
チワワが食べやすい小粒タイプのフードや嗜好性が高いフードを取り入れて、上手に偏食対策をしましょう。
短い時間でも散歩は毎日連れていく
チワワは小さくても、意外とパワフルな犬種です。
運動不足でストレスがたまると、問題行動がみられることも珍しくありません。
ストレス発散や外気浴、日光浴もかねて、毎日20分程度は散歩に連れていくようにしましょう。
寒さに弱いので、冬場の寒さ対策は万全に
南国メキシコ生まれなだけあって、チワワは寒さに弱い傾向があります。
特に冬場は寒さで体調を崩さないよう、暖房や洋服で寒さ対策を行うことが大切です。
個体差はありますが、犬にとって過ごしやすい温度は25℃前後、湿度は50~60%なので、室温はこれを目安に調整して。
ロングコートに比べると、スムースコートのチワワはより寒さに弱いので、特に気を付けてあげてくださいね。
思わぬ怪我や関節トラブルに注意
チワワがかかりやすい病気「膝蓋骨脱臼」は、日常的な関節への負担で発症することが多いです。
すべりやすいフローリングでの追いかけっこや、高い場所からの飛び降りなどは、チワワの関節に大きな負担がかかります。
関節の負担を最低限にするためにも、床にはすべり止めのマットを敷き、犬用のステップなどを用意すると良いでしょう。
一度でも関節が外れたことがある場合は、定期的に獣医師へ診てもらうようにすると安心です。
チワワのしつけは毅然とした態度で
チワワは賢い犬種ですが、プライドが高いぶん、しつけに時間がかかることもあります。
基本的には褒めるしつけを行いつつ、不適切な要求や過度な甘えには、しっかりと「ダメ」を伝えることが大切。
体が小さいのでついつい甘やかしてしまいがちですが、チワワが安心して暮らせるよう、リーダーシップを取ってあげてくださいね。
なお、チワワの愛情は一点集中型で、家族であっても相手によって愛情の向け方が違います。
言うことを聞く相手とそうでない相手をはっきり区別する傾向があるので、しつけは家族全員で行うことが肝心です。
チワワの値段・価格相場
チワワをブリーダーから迎える場合、価格相場は19~25万円ほどです。
なかには、1万円など激安の値段で販売されているチワワもいますが、遺伝性疾患のリスクを考えるとおすすめはできません。
悪徳な繁殖業者に加担しないためにも、チワワは適正価格で購入しましょう。
なお、チワワの価格は、両親や被毛タイプ、販売店の方針によっても異なります。
被毛タイプに関しては、どちらかというとロングコートのほうが人気があり、価格も高いでしょう。
また、両親がチャンピオン犬、あるいはショードッグとして見込みがあると、40~60万円の値が付くことも珍しくありません。
チワワはサイズが小さいほど価格が上昇する傾向もあります。
成犬時の体重が1kgほどしかないチワワは、「極小チワワ(ティーカップチワワ、マイクロチワワ)」と呼ばれ、高値で扱われています。
チワワの購入方法
チワワを迎える先としては、ペットショップやブリーダーが一般的です。
チワワはトイプードルに次いで犬籍登録が多く、ブリーダーも全国的に存在するので、迎えやすい犬種といえるでしょう。
チワワを迎える際は、日々のお世話がきちんとできるかどうか、家族全員でよく話し合って検討することが大切です。
保護犬を迎えるという選択も
最近は、保護団体や里親募集サイトから「保護犬」を迎える人も増えています。
ペットショップやブリーダー以外からチワワを迎えたいと考えている場合は、「チワワ里親募集」などと検索してみましょう。
ただし、保護犬は、保護されるまでの経緯もさまざまで、心や体に傷を負っている子も少なくありません。
慣れてくれるまでに時間がかかったり、日常のちょっとしたことに怯えたりと、スムーズにいかないこともあるでしょう。
可哀想と安易に迎えるのではなく、献身的なサポートが行えるかどうか、家族全員で十分検討することが、チワワの幸せにつながりますよ。
まとめ
世界最小の犬種でありながら、実は勇敢で番犬向きでもあるチワワ。
関節トラブルや寒さに弱いなど、一緒に暮らすうえでの注意点は多々あるものの、飼育はそれほど難しくありません。
チワワを迎える際は、特徴や飼い方のポイントをしっかりと押さえたうえで、お互い幸せに暮らせる環境を整えてあげてくださいね。
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