春になると始まるフィラリア予防、ワンちゃんの飼い主さんにはおなじみの予防シーズンの到来ですね。
このフィラリア予防、そもそも何をどのように予防しているかご存知でしょうか?
実はお住まいの地域によって微妙に予防期間は異なります。
また実際は予防薬ではなく「駆虫薬」にあたるのです。
そこで今回は愛犬に合ったお薬の選び方や予防のメカニズム、万が一お薬を忘れてしまった時の対処方法などをまとめてご紹介します!
この記事を書いた人
保有資格:小動物看護士/ペット販売士/トリマーB級/ハンドラーC級/訓練士補/二級愛玩動物飼育管理士/動物取扱責任者/犬の管理栄養士/ペットフードアドバイザー1級/少額短期保険募集人
第一種動物取扱業:第225818003号 保管 動物取扱責任者:山本星海
JKC公認トリマー養成機関卒業。Dog salon Star seaを2018年に開業、犬のトリミングやドッグフードの販売を行う。トリマー歴10年目。愛犬:トイプードル2匹
犬のフィラリア症とは
フィラリア症は【犬糸状虫症】という名の感染症です。
蚊が媒体となって感染が広がる病気で、感染すると心臓や呼吸器にダメージを負い命に関わる重篤な状態になってしまうことも。
感染経路は既にフィラリア症に感染している個体を蚊が吸血するところから始まります。
- 感染個体を吸血すると、同時に蚊の体内にはフィラリアの赤ちゃんであるミクロフィラリアが入り込みます。
- このミクロフィラリアを保持した蚊が未感染の個体を吸血すると、唾液と共にミクロフィラリアが未感染個体の体内にうつってしまいます。
フィラリアはこの①と➁を繰り返しながら増殖、感染を拡大させていきます。
犬のフィラリア症予防期間とその仕組み
フィラリアの予防は蚊が出始めてから2か月後~蚊を見なくなって2か月後が理想的とされています。これはミクロフィラリアが体内に入り、成虫になるまでに約3か月の期間がかかることが理由です。
流通しているフィラリア予防薬は体内に入ったミクロフィラリアを駆虫するお薬です。
よく蚊に刺されなくなるお薬、フィラリアをシャットアウトできるお薬と勘違いされていることもありますが実際は”体内に入ったミクロフィラリアを成虫になる前に駆虫できるお薬”です。そのため、もしミクロフィラリアが体内に入っていると仮定して蚊の出始め、終息の2か月前後という期間が勧められているというわけです。
投薬期間は4月~12月ごろまでが推奨されていますが温暖化が進み一年を通して蚊が出る地域も出てきています。
正確な予防期間はお住まいの地域の獣医師の指示をあおいでくださいね。
犬のフィラリア症の感染時の治療方法
犬のフィラリア症の治療は年齢や進行の度合いによって決められます。
様々な方法がありますが代表的な治療法は以下になります。
内服治療
抗生剤や駆虫薬、ステロイドの内服薬で成虫を減少させ治療を進めていく方法です。
体内にいるフィラリアの成虫が一気に死滅してしまうと血管がつまり循環不全に陥ることもあるため慎重に治療を進めていく必要があります。
またフィラリア成虫の寿命は約6年と言われ、再感染させないよう予防薬を使いながらフィラリアの寿命を待つ方法もあります。
その間体にかかる負担の大きさやワンちゃんの年齢などを考慮して選択されることも。
外科治療
吊り出しと言われる手術で麻酔をかけ体内のフィラリアを外科的に取り除きます。
摘出できるのは心臓内に寄生している成虫のみで、術後も内服治療が必要となります。
また手術自体のリスクも高く、専門的な手技を必要とするためこの手術を行っている病院は多くはありません。
犬のフィラリア症の検査方法
フィラリアの検査は数滴の血液で行うことが可能です!
数分で結果もわかるため気軽に受ける事ができる検査と言えるでしょう。
予防薬を処方する前にフィラリア検査を行うのは前年の投薬時に飲み忘れや吐き戻しによって感染してしまっていないかを確認するためです。
万が一感染し体内に成虫がいた場合、予防薬を投薬することによってショック症状を起こす可能性もあるため、より安全に予防が行えるよう検査を行います。
この時、フィラリア検査に追加して全身の血液検査を行う事も可能です。
春の健康診断として割引キャンペーンを行う動物病院も多いので是非この機会に健康診断を一緒に受けておきましょう。
犬のフィラリア症予防薬の選び方
錠剤タイプ
小さな錠剤になっている予防薬です。
フィラリア予防効果の他、お腹の虫下し効果などが付随していることも。
食が強くご飯に混ぜ込めるワンちゃんにおススメです!
おやつタイプ
チュアブルタイプのお薬で、こちらもお腹の虫下し効果が付随しているものが大半です。
おやつが好きなワンちゃんには使いやすいでしょう。
月に一回のお楽しみとしてあげてくださいね。
滴下タイプ
口からは難しい…というワンちゃんには皮膚に垂らして使用する滴下タイプがおススメ。
フィラリア予防効果の他、ノミやダニの予防効果がついている事も。
オールインワンタイプ
ノミダニ予防薬とフィラリア予防薬、2つ投薬するのを忘れてしまう…という方にはオールインワンタイプの予防薬がおススメです!
比較的新しいお薬ですが一度に全ての予防を網羅することができ、とても簡単です。
動物病院でもオールインワン薬の処方割合が年々増加しています。
コリー犬種は要相談
コリー犬種はお薬の種類によって使用できないものがあります。
獣医師の処方の元であれば基本的に問題ありませんが不安に感じたときは確認してみましょう。
犬のフィラリア症予防薬の飲み忘れや吐き戻し時の対応方法
投薬忘れ
投薬を忘れてしまった時は気が付いた時点でお薬を投与しましょう。
数日程度の遅れであれば問題ない事がほとんどです。
また投薬を忘れてすぐに検査をしても感染を確認することはできません。
検査で確認できるのはミクロフィラリアが成虫になり心臓などに寄生、刺激を起こすようになってからです。
感染から検査薬で確認できるようになるまでには約6か月前後かかると言われています。
もし感染してしまっていてもまだ体内のフィラリアの数は多くありません。
予防薬の投与をその後も続けることで、体内で繁殖、成長してしまう事を防ぐことができます。飲み忘れ後もしっかり予防薬を続け、検査のタイミングはかかりつけの獣医師の指示を仰ぎましょう。
吐き戻し
お薬を投与した後に吐いてしまった時は再投与が必要になる事があります。
ただし再投与の判断は獣医師にしてもらう方が安心です。
投与後どれぐらいの時間で嘔吐してしまったのか控え動物病院に問い合わせしてみましょう。
またお薬を投与するたびに吐いてしまう場合はお薬が体質的に合っていない可能性もあります。2回、3回と続くようであれば一度お薬を中止し、変更したほうがいいか獣医師にご確認なさってくださいね。
体重変動
フィラリアの予防薬は体重に合わせ様々なサイズが用意されています。
お薬の種類によって体重の範囲は異なりますが処方時より大幅に増量してしまったときはお薬が効く体重を超えてしまうことも…。
そのような時はお薬を交換、またはワンサイズ上のお薬を再購入しましょう。
まとめ
いかがでしたか?
何気なくお薬を投与していたかもしれませんが、ワンちゃんにとっては命に関わる大切な予防行為です。
ワクチンや狂犬病のお注射は持病があったりハイシニアのワンちゃんですと体にかかる負担を考慮し猶予といって特別免除の扱いになることがあります。
ですがフィラリア症は病気や年齢に関わらず、感染する可能性が等しくある病気ですから毎年必ず予防を行いましょう。
実際都内でもフィラリア症は確認されています。
投薬を忘れてしまう方は10日など区切りがよく覚えやすい日にちに決めてしまうか、アプリなどで管理するとスムーズです♪
今年も万全の体制を整えてフィラリア予防をスタートしましょう!