犬の去勢手術は本当に必要?メリットやデメリットまとめました

男の子のワンちゃんを家族に迎え入れた方の多くが去勢手術をどうしようかと考えられたことがあるかと思います。

去勢手術とは精巣(睾丸)を摘出することで生殖能力を無くす手術のことです。

では一体何のために生殖能力を無くすのでしょうか?
今回は去勢手術を行うことで体に起こる変化やかかる費用などをまとめてみました!

目次

犬の去勢手術を行う意味は?

去勢手術を行う意味は性ホルモンによるストレスや病気、問題行動を予防することにあります。

もちろん育てられない新しい命が産まれる事を避ける意味もありますね。
言い換えれば愛犬の子供を育てたい!という場合は去勢手術を行うことができません。

去勢手術は絶対に受けないといけないものではありませんが受けるのであれば早い方が麻酔のリスクや病気の予防率も高くなります

ワンちゃんを家族に迎え入れたらすぐに去勢手術のメリットやデメリット、交配を行うのか否か、将来的なプラン、などを考慮した上で手術についてご家族皆さんでご相談されてくださいね。

犬の去勢手術時間や費用相場

去勢手術にかかる時間

手術自体は10分~15分程度で終了します。

麻酔導入から覚醒までいれると30分前後となりますが、睾丸が鼠径部(後ろ足の付け根あたり)や腹腔内に停留し降りてきていない状態ですとトータルで30分から1時間程度の時間がかかります。

麻酔中に爪切りを行うこともできますのでご希望の方は事前にスタッフにお伝えしてくださいね。

去勢手術にかかる費用

通常の去勢手術は3万円前後、停留睾丸がある場合には5万円前後が相場になります.

以下のような場合は追加料金が出る事がありますので動物病院に確認しましょう。

  • 残存している乳歯の抜歯を行う(本数によって料金がかわります)
  • 体格が大きく体重がある(麻酔加算量がかかることがあります)
  • 短頭種である(麻酔導入前に酸素吸入を行うことがあります)

犬の去勢の入院日数や術後の過ごし方

入院日数

日帰り、または1泊でご案内する動物病院が多いかと思います。

停留睾丸でお腹を切っている場合には3日前後の入院を勧められるかもしれません。

術後の過ごし方

術後1週間で抜糸を行います。
それまではエリザベスカラーなどで傷口を舐めてしまわないようサポートしてあげてください。

食事や運動は今まで通りで構いませんが、術後は一時的に食欲が落ちてしまう事もありますので缶詰タイプの美味しいフードを用意してあげるといいかもしれませんね。

またおしっこ出し程度のお散歩は問題ありませんが息が上がるような激しい運動、傷口が汚れてしまうような雨天時のお散歩は避けましょう。

犬の去勢手術を受けるタイミング

去勢手術は生後半年前後であれば行うことができます
体重が2キロを超えていればなお安心です。

成犬期、シニア期であれば早ければ早いほどいいでしょう。

術後に体調の変化があることも考えられますのでGWや年末年始など動物病院が長期休暇に入る前は避けてくださいね。

犬の去勢手術を行うメリット

病気の予防

去勢手術最大のメリットは将来的な病気の予防ができる事です。
後述する多くの疾患を防ぐことができ、健康寿命をのばすことに繋がります。

シニア期以降に発症する病気が多いため、発症後に去勢手術を行う場合は子犬期、成犬期より麻酔リスクがあがってしまいます。

性ホルモンによるストレス減少

去勢手術を行うことで性ホルモンの分泌が落ち付き、性衝動からくるストレスを大幅に減らすことができます。

例えばヒート中の女の子が近くにいる場合、未去勢の男の子は鋭い嗅覚でそれを察知し興奮状態になってしまいます。中にはパニックを起こしてしま事も。
それは元々備わっている繁殖本能ですからごく自然な事ですが、発情中の女の子が近くにいても近づくことができない状態は極めてストレスのかかる状態といえます。

去勢手術後はこういった性衝動を抑止することができるようになるためストレスがかかりにくい体へと変化します。

お出かけの幅が広がる

ドッグランやドッグカフェでは入場に去勢済であることを条件付けしている場所もあります。
これは予期せぬトラブルを未然に防ぐためです。

去勢手術を済ませることでこういった場所でも遊びに行けるようになりますね。

問題行動の減少

性ホルモンの分泌が減ることで噛み癖やマーキングなどの問題行動が改善することもあります。
攻撃的な性格のワンちゃんが去勢後甘えん坊になった、という事も。

ただしこちらは絶対ではありませんので、問題行動の対策の一つとして考えておきましょう。

犬の去勢手術を行うデメリット

麻酔リスク

術前の血液検査など麻酔前に万全の体制を整えていても麻酔に絶対大丈夫ではありません。
健康で若い子であっても少なからず麻酔のリスクはあるものだと考えておきましょう。

必ず手術前に獣医師から詳しい説明がありますので疑問や不安な点はその場で確認してくださいね。

太りやすくなる

ホルモンバランスが変わることで太りやすい体質へ変化するワンちゃんも多くいます。

今まで通りの食事内容であっても体重が増えてきてしまう…とうケースも少なくありません。
去勢後は専用のフードに切り替え体重管理を行う必要があります。

手術を受けないという選択も間違いではない

去勢手術を行うか否かは飼い主さんの考え方次第になります。
どちらを選択しても決して間違いではありません。

特に男性の飼い主様の中には同じ男として可哀想…と思われる方もいらっしゃいますよね。
手術を受けない場合以下のようなメリットもあります。

自然な形で生活していける

病気のリスクなどはありますが、それは生まれながらにして持っているもの。
発情やマーキング、威嚇行動などは元々備わっている本能です。

自然界の動物達は去勢手術などしませんから、手術を受けないことでより自然な形で過ごしていくことができます。

交配ができる

可愛い愛犬の子供を見てみたい、育てたいという気持ちを持つことも自然な事です。
去勢手術を行わず、女の子を新たに迎え入れれば交配を行うことも可能です。

原則交配は6歳前後までとされていますので、タイムリミット後の去勢手術を検討してもいいかもしれませんね。

なお交配を行う際は遺伝疾患がないかなど繁殖を行っても大丈夫か事前に確認する必要があります。

犬の去勢手術で防げる病気

精巣腫瘍

睾丸が腫瘍化してしまう病気です。左右どちらかだけ腫瘍化し大きくなってしまいます。
特に停留睾丸の場合は悪性のこともありますので注意が必要です。

またホルモン異常が起き女性ホルモンが分泌されるようになるため女の子のように乳房が張ってくる事も。
治療としては去勢手術にて精巣摘出を行う事となります。

肛門周囲腺腫

肛門周囲にある分泌腺が腫瘍化してしまう病気です。

腫瘍自体は良性なことがほとんどですが、場所が悪い、腫瘍が大きい、といった時は排便がしにくくなったり本人が気にして舐め壊してしまうことがあります。

男性ホルモンの分泌が原因とされており、発症は未去勢の男の子が大半を占めます。
治療は麻酔下での腫瘍切除になり、同時に去勢手術も行われます。

会陰ヘルニア

肛門周囲の筋肉が弱まってしまい、筋肉の隙間から膀胱や直腸などの臓器が飛び出してしまう病気です

こちらも男性ホルモンが大きく関係していると言われ発症は未去勢の男の子がほとんどです。
排便困難になることも多く進行すると菌が体中に回り命にか関わる事もあります。

こちらも治療は手術となります。
人工メッシュでヘルニア部を整復し、同時に去勢手術を行います。

前立腺肥大

未去勢の男の子の前立腺は加齢と共に肥大していきます。

中には無症状なワンちゃんもいますが、尿道が圧迫され狭くなり排尿困難などを起こすワンちゃんが多くいます。血尿や尿しぶりなどは代表的な症状で、放置すると重篤な状態へと繋がってしまいます。

治療としては去勢手術を行い男性ホルモンの分泌を抑える事が優先されますが、手術後もホルモンが収まるまでにタイムラグがあるため内服や注射での治療も同時に進められます。

まとめ

いかがでしたか?

麻酔をかけて手術をすることに恐怖心や不安を感じる方も多いですよね。
実際に手術は少なからずワンちゃんの負担になります。

病気になってしまう事も含めて自然な形で過ごさせてあげたい、というのも一つの答えです。

ただし周りがしているから、可哀想だから、といった漠然とした理由で手術を受けるか否かを決めることはやめましょう。
しっかりメリットやデメリットを知った上でご判断なさってくださいね!

この記事を書いた人

山本 星海のアバター 山本 星海 Dog salon Star sea オーナー

この記事を書いた人

保有資格:小動物看護士/ペット販売士/トリマーB級/ハンドラーC級/訓練士補/二級愛玩動物飼育管理士/動物取扱責任者/犬の管理栄養士/ペットフードアドバイザー1級/少額短期保険募集人
第一種動物取扱業:第225818003号 保管 動物取扱責任者:山本星海

JKC公認トリマー養成機関卒業。Dog salon Star seaを2018年に開業、犬のトリミングやドッグフードの販売を行う。トリマー歴10年目。愛犬:トイプードル2匹

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