コロナ禍となり、自宅でお酒を楽しむことが当たり前になってきましたね。
緊急事態宣言も一旦終了となり、今後は友人を招いて飲酒する機会も増えてくるでしょう。
また消毒用として高濃度のアルコールを常備されている方や携帯されている方も多いかと思います。
そこで愛犬家の皆さんは一つ大切なポイントを押さえておきましょう。
犬にアルコールは絶対NGです。
最悪、命を脅かすことにもなりかねません。
もちろん故意にワンちゃんにアルコールを与えるようなことは無いかと思いますが、アルコールの誤飲事故は思わぬところで発生してしまいます。
お酒を飲んでいることで飼い主さんの注意が散漫になっている事も…。
そこで今回は万が一愛犬がアルコールを誤飲してしまった場合の対応を含めご紹介していきます!
この記事を書いた人
保有資格:小動物看護士/ペット販売士/トリマーB級/ハンドラーC級/訓練士補/二級愛玩動物飼育管理士/動物取扱責任者/犬の管理栄養士/ペットフードアドバイザー1級/少額短期保険募集人
第一種動物取扱業:第225818003号 保管 動物取扱責任者:山本星海
JKC公認トリマー養成機関卒業。Dog salon Star seaを2018年に開業、犬のトリミングやドッグフードの販売を行う。トリマー歴10年目。愛犬:トイプードル2匹
日本動物専門学校を卒業後、苅谷動物病院に就職24時間365日診療の現場に身を置き、動物医療を学ぶ。その後地域密着型の個人院に転職し現在動物看護師歴は14年目。
犬にとってアルコールが危険な理由
「一口舐めたくらい、大丈夫では?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
でも、一口ですら大切な愛犬の命を奪う可能性があります。
その理由はアルコールの代謝機能が存在していないからです。
人間がアルコールを摂取すると、肝臓で代謝され無毒化されます。
春先によく耳にする急性アルコール中毒というのは、その代謝がアルコールの摂取量に間に合わず体内のアルコール濃度が極端に上がる事で引き起こされる状態を指します。
ところがこの代謝機能が、ワンちゃんにはそもそも備わっていません。
そのため体内に入ったアルコールは短時間で全身をめぐり、心臓や腎臓など体の重要な器官に悪い影響を与えます。
早ければ30分足らずで症状が出てくるでしょう。
また代謝ができないことから長時間、体にアルコールが残留することになりますので本人の体力もどんどん削られていきます。
犬のアルコール誤飲時の症状は?
酩酊
いわゆる酔っぱらった状態です。
足元がおぼつかなくなったり、異常行動が見られるようになります。
脳の働きが抑制され混乱しているサインでもあります。
意識の低下/消失
アルコールが体内に滞留、脳や心肺機能にまで到達することで、酩酊状態でとどまらず意識が朦朧とすることや消失することがあります。
呼吸が止まってしまう可能性もあるため非常に危険な状態といえるでしょう。
嘔吐
胃腸への刺激や脳の混乱、異物反応などから嘔吐することがあります。
吐物が気管に入り込み窒息や誤嚥性肺炎の危険もありますので嘔吐がある時は体勢に注意しましょう。
失禁
脳内の混乱や筋肉の弛緩により失禁や脱糞など本人の意思と関係なく粗相してしまうことがあります。
体温低下
アルコールの中毒症状が進行すると体温維持が困難になり体温低下が見られます。
犬の平熱は38度前後。大きく下回るようであれば大変危険な状態です。
毛布などで保温しながら病院を受診しましょう。
犬のアルコール致死量
1キロ当たりのアルコール致死量は約5ml
犬のアルコール飲料の致死量は体格、体重、アルコール度数によっても大きく変わってきます。100%のアルコールで換算するとその致死量は1キロあたり5mlほど。
アルコール飲料は5%前後のものが多いですから
この場合は1キロ当たり約100mlが致死量という事になります。
ウォッカなどは度数が高い蒸留酒ですので更に少量でも死に至る危険があります。
また消毒用のアルコールは70%~95%程度のものが流通していますので一口舐めてしまうだけでも大変危険といえます。
愛犬が病院へ行くべきかの判断基準
誤飲直後は症状が出ていなくてもアルコールが残留することで時間をおいて症状が出ることもあります。症状の有無に関わらずまずは動物病院に問い合わせを行いましょう。
症状が出ていない早期の段階で処置を行うことで最悪の事態を避けることができるかもしれません。
パニックになってしまますが、問い合わせ時は落ち着いて以下の情報を動物病院へ伝えてください。
- 体重
- 年齢
- 誤飲時間
- アルコール飲料の名前と度数
- 誤飲してしまった量
- 症状の有無
- 持病の有無
- 病院到着までに要する時間
上記の情報があれば動物病院サイドも到着までに受け入れの準備を整えておいてくれます。
また夜間時にこういった状況になることもありますので、かかりつけ以外にも夜間対応している近隣の動物病院をピックアップしておくと安心です。
アルコール飲料以外に注意が必要なもの
とはいえ故意にアルコール飲料を愛犬に飲ませる方はいないかと思います。
実は飲料の他にも注意しておきたいものがあります。
アルコール使用のお菓子
ラム酒などをふんだんに使用した洋菓子も危険です。バターや砂糖の甘い香りに引き寄せられワンちゃんが口にしてしまうケースも。
ウェットティッシュ
コロナ禍でより注目を浴びているアルコール成分配合のウェットティッシュ、こちらも口にしてしまわないよう注意しましょう。
誤食の他、足を拭いた直後に肉球を舐めてしまうこともありますのでノンアルコールのウェットティッシュを使用してください。
発酵中の生地
パンやピザの生地は発酵中にアルコールは発生します。
うっかり目を離したすきにつまみ食いされてしまわぬよう、届かない場所で行いましょう。
消毒用品
前述しましたが現在はアルコール飲料より身近でどこにでも置いてあるものになります。
液だれしたアルコールを舐めてしまうケースも増えてきているようですから、ワンちゃん連れで消毒用アルコールを使用するときは愛犬の動きから目を離さないようにしておきましょう。
愛犬がアルコールを誤飲しないよう注意しておくこと
ワンちゃん達の誤飲や誤食の多くは自宅内で発生しています。
普段は大人しい子に限って、お手洗いに行っている隙に、少し目を離したら、など予想もしなかった行動を取ることも。
事前に整えられる部分や、注意できる点は押さえておくと安全です。
住宅環境を整える
飲みかけ、食べかけの飲食物は愛犬が届かない場所、かつ倒れても床にこぼれない位置に置く習慣をつけておきましょう。
ソファや椅子の配置を見直し、愛犬がテーブルの上に登れないよう工夫してみてくださいね。
来客時には事前に伝えておく
友人などを招いてアルコールを楽しむときは事前に犬にはアルコールを絶対与えないようお伝えしておきましょう。
愛犬家には常識であっても、犬を飼ったことがない方にはわからないことかもしれません。
お酒で気分がよくなり犬にも一口あげてしまった、などとならないよう飲食を始める前に伝えておくことがポイントです。
まとめ
いかがでしたか?愛犬がアルコールを誤飲した場合、まずは慌てずに動物病院にご連絡なさってください。
万が一多量に飲んでしまった場合は吐き出させる処置に加え点滴治療が必要になります。
コロナ禍でより身近な存在になった<宅飲み><消毒>は今後もしばらくお付き合いしていくものになるかと思います。
愛犬の命が脅かされてしまわぬよう、飼い主さんがフォローしてあげてくださいね!