犬がぶどうを食べてしまった。または食べさせてしまった人がこの記事を見ていることを考えて真っ先に結論を言います。
犬にぶどうを食べさせてはいけません!急いで動物病院へ連れていき催吐処置や胃洗浄をしてもらってください!
犬がぶどうを摂取すると、ぶどう中毒を起こし腎臓がダメージを受け最悪死に至ってしまいます。
犬がぶどうを食べたらなぜだめなのか、食べてしまった場合の対処法を詳しく説明します。
この記事を書いた人
保有資格:小動物看護士/ペット販売士/トリマーB級/ハンドラーC級/訓練士補/二級愛玩動物飼育管理士/動物取扱責任者/犬の管理栄養士/ペットフードアドバイザー1級/少額短期保険募集人
第一種動物取扱業:第225818003号 保管 動物取扱責任者:山本星海
JKC公認トリマー養成機関卒業。Dog salon Star seaを2018年に開業、犬のトリミングやドッグフードの販売を行う。トリマー歴10年目。愛犬:トイプードル2匹
愛犬にぶどうを食べさせても大丈夫?
結論から先に言ってしまうと、犬にぶどうを食べさせては絶対にいけません。
なぜなら、犬がぶどうを食べると急性の中毒を起こしてしまうからです。
そもそも「犬にぶどうをあげてはいけない」と言うのは、2001年アメリカの研究者が犬のぶどう中毒を報告したことに始まります。
この報告によると、ぶどうや干しぶどうを食べた犬43頭が急性の腎機能障害を引き起こし、さらにその半分が急性腎不全で死亡したとされています。
これはアメリカだけの現象ではありません。
日本でもぶどうやレーズン、またはぶどうの皮を食べてしまった犬が死んでしまったと言う症例の報告が少なくないのです。
どうして犬がぶどうを食べると死んでしまうのか、その正確な理由はまだ解明されていません。
ぶどう中毒の原因としてぶどうを栽培するときに使った農薬やカビ毒、さらにはぶどうに含まれる「何かしらの成分」が原因と考えられています。
しかしぶどう中毒のメカニズムは現在でも正確なことは一切わかっていないのです。
犬がぶどう中毒になるとどういった症状が現れるのでしょうか?
次の見出しではぶどう中毒の症状について詳しく説明していきたいと思います。
こんなに怖い!ぶどう中毒の症状とは?
犬がぶどうを摂取することによって起こるぶどう中毒の症状に共通するものは、食べてから数時間以内に起こる嘔吐です。
このほかにも下痢をしてしまったり突然震え出したり、呼吸が速くなったりするなどの急性の中毒症状が認められることも多く報告されています。
またぶどう中毒を起こしてから食欲が急激になくなってしまうと言うこともあるようです。
ぶどう中毒を起こした犬の血液を詳しく検査してみると、腎機能の診断基準である尿素窒素(BUN)やクレアチニンが急激に上昇しています。
この結果から、何かしら腎臓に障害が起こっていることがわかります。
さらにぶどう中毒を起こした犬の血液では、カルシウムやリンといった電解質の値も急上昇することが報告されています。
特にカルシウムやリンが高ければ高いほどその後の経過も芳しくなく、これら電解質の検査データーに相関して予後不良になることも報告されています。
ここで腎臓の働きについて簡単におさらいしておきましょう。
腎臓には血液の中に溜まった老廃物などを外に出して血液をきれいな状態に維持するための働きがあります。
また健康に生きるために欠かすことができないホルモンをたくさん分泌し、血圧を正常な状態に調整する働きもあります。
ぶどうを食べることによって急性の腎障害が劇的に引き起こされ、これらの機能が阻害されます。
さらに怖いことに犬のぶどう中毒に対して有効な治療法はいまだに発見されておらず、症状を和らげるための対処療法しかないのが事実です。
ぶどう中毒による腎障害は、すべての犬で同じレベルで発生すると言うわけではありません。
急激に発症しどんな治療をしても反応を示さず数日以内に死んでしまうこともあれば、何とか一命をとりとめたとしても後遺症が残ってしまう。
はたまた元気に回復し元通りの生活に戻ることができるなど個体差も大きいのです。
これは犬の種類によって決まっているわけではなく、同じ種類の犬で同じだけの量を食べていてもその症状の重さははバラバラと言うことです。
もし愛犬がぶどうを食べてしまったらどうしたらいいの?
もし万が一、あなたの愛する愛犬が間違えてぶどうを食べてしまったのを発見した場合、あなたはどうするべきでしょうか?
まずは動物病院に連絡しいつどのぐらいの量のぶどうを食べてしまったのか、そして今の愛犬の状況を詳細に報告しましょう。
そして獣医さんの指示に従います。
症状が現れていなかったとしても、すぐに病院に連れて行きます。
獣医では食べた物を吐かせたり、胃の中を洗浄する治療を行うことでしょう。
一部のインターネットサイトでは「塩を飲ませて吐かせれば良い」と言う情報が掲載されています。
しかしこれは間違った情報ですので絶対にしてはいけません。
大量に塩を摂取させることにより、今度は「塩中毒」になりこれが原因で命を落としてしまうこともあるからです。
既にぶどうを食べてしまってからある程度の時間が経っているようであれば、血液検査を行い健康状態を細かくモニタリングすることをお勧めします。
腎臓は一度ダメージを受けてしまった場合、二度と元通りの機能に戻る事はありません。
ですからぶどうを食べてしまってから2〜3日は愛犬の様子を注意深く観察し、いつもと違った状況があればすぐに獣医に相談するようにしましょう。
先ほども説明した通り、ぶどう中毒には個体差が大きく、これだけだったら安心と言う指標はありません。
ぶどう中毒を発見した研究者たちによるとぶどうであれば体重1キログラムあたり3グラムから30グラム、レーズンであれば10グラムから30グラム(体重3キロのワンちゃんなら、ぶどう2、3粒、レーズン50粒)でぶどう中毒を引き起こすと言う報告もあります。
しかしあくまでこれは目安であり、これ以下であれば絶対に安心かというとそのような事は言えません。
食べてしまったぶどうの量がたとえ1粒だけだったとしても、もしかしたら致命的な中毒を引き起こしてしまう可能性も否定できないのです。
「人間が食べても大丈夫なのだから犬が食べても大丈夫だろう」なんて軽く考えてしまいがちですが、犬がぶどうを食べる事は非常にリスキーです。
死につながる可能性があると言うことを絶対に忘れないようにしておきたいものです。
まとめ
今回は犬にぶどうを食べさせても大丈夫なのかどうかについて詳しく説明してきました。
どれだけ欲しがったとしても、愛犬にぶどうを食べさせることは絶対にやめましょう。
人間にとっては無害なぶどうでも、それを食べることによって急性の腎機能障害を起こし重大な後遺症が残ったりひどい時にはそのまま死んでしまうことも珍しくないからです。
万が一、愛犬がぶどうを食べてしまったのを発見したのであれば、すぐに獣医に相談しその後の応急処置に対しての指導を受けましょう。
そして一刻も早く獣医に連れて行くことが大切です。
特に体調に異常がないように見えても、数日間は健康状態に変化がないかどうか注意深く見守りましょう。
もちろん間違って食べてしまわないように注意深くあることが一番大切ですが、一緒に暮らしている以上「万が一」ということもありえないわけではありません。
あなたの迅速な行動がかわいい愛犬の命を救うことになるのです。
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