ペットがまだ若かったり、元気で病気知らずだったりすると、「わざわざペット保険に入る必要はあるのかな」と悩んでしまう方も多いでしょう。
なかには「人の病気に比べれば治療費もかからないはず」と思っている方もいるかもしれません。
この記事では、ペット保険のメリットや選び方、ペット保険が必要な人・不要な人について解説します。
ペット保険に加入すべきか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
ペット保険とは?
ペット保険とは、ペットがケガや病気をした際にかかった治療費を補償してくれる保険のことです。
人間には健康保険制度があるため、病院で支払う治療費は一部のみ。
会計時には国の負担割合分を差し引いた金額を支払うだけで済みます。
一方、ペットには公的な保険制度がなく、かかった治療費はすべて飼い主が負担しなくてはいけません。
そんなときペット保険に加入しておけば、指定限度額の範囲内で治療費を補償してもらうことができ、金銭的な負担が少なくなります。
ペット保険はいらない?必要?
とはいえ、「ペット保険は本当に必要なのか」疑問に思う方も多いでしょう。
ペット保険はいざというときの大切な備えですが、すべての人にとって必要なわけではありません。
ここでは、ペット保険がいらないケース・必要なケースについて解説します。
いらないケース【デメリット】
以下に該当する場合、ペット保険に加入する必要はありません。
- 経済的に余裕がある
- 保険適用外に該当する項目を補償してもらいたい
それぞれ詳しく解説します。
経済的に余裕がある
十分な貯蓄があり経済的に余裕がある場合、ペット保険に加入する必要はありません。
ペット保険はいざというときの経済的なリスクを避けるために入るものです。
はじめから十分な貯蓄がある方は、高額な治療費がかかっても経済的に苦しくなることがないため、ペット保険に加入するメリットを感じづらいといえるでしょう。
保険適用外に該当する項目を補償してもらいたい
「ペットにかかる費用をすべてペット保険で賄いたい」という場合も、ペット保険に加入するメリットは低いといえます。
保険会社ごとに細かな違いはありますが、以下の項目は一般的にペット保険の補償対象外であり、飼い主の全額自己負担になります。
- 健康診断代
- ワクチン接種など予防関連の費用全般
- 予防接種で予防できる病気の治療費
- 去勢・避妊手術、耳掃除など病気やケガにあたらないもの
- サプリメントなどの健康食品、医薬部外品
- 妊娠・出産にかかわる費用
- マイクロチップの装着・登録費用
また、ペット保険の加入前から患っていた傷病の治療も「ペット保険の補償対象外」です。
そのため「ペットに病気が見つかったから、ペット保険に入って今後の治療費の負担を軽くしよう」ということはできないため、注意しましょう。
必要なケース【メリット】
反対に、ペット保険が必要なケースとしては以下の3点が挙げられます。
- 治療費を抑えられる
- ペットを長生きさせやすい
- 損害賠償の対策ができる
詳しく解説していきます。
治療費を抑えられる【平均治療費】
ペット保険のもっとも大きなメリットは、「治療費の負担を抑えられる」ということです。
今は元気でも、この先ペットが病気やケガにならない保証はありません。
特に若いうちは骨折などのケガや異物誤飲で治療が必要になるケースも多く、高齢になればさまざまな病気のリスクが高まります。
病気によっては治療が長期化したり、一度に高額な治療費がかかる病院・手術を勧められたりすることもあるでしょう。
その点、ペット保険に加入しておけば急な出費があっても家計が圧迫される心配もなく、安心です。
なお、日本獣医師会「家庭飼育動物(犬・猫)の飼育者意識調査(平成27年度)」によると、動物病院にかかる犬の1ヵ月当たりの平均費用は以下の通りです。
体が大きいほど薬や衛生用品の量が多く必要になるため、治療費も高額になる傾向がありますね。
超小型犬 | 小型犬 | 中型犬 | 大型犬 |
---|---|---|---|
7,435円 | 8,217円 | 8,183円 | 9,281円 |
更に、犬の年齢別にみた平均費用は以下の通り。
0~6歳 | 7~12歳 | 13歳以上 |
---|---|---|
7,136円 | 7,800円 | 9,801円 |
犬にかかる医療費は年齢とともに上がっていき、13歳以上ではもっとも高額になります。
人間と同じく、犬も加齢に伴い病気や体調不良になりやすくなり、動物病院にかかる確率は高まるといえるでしょう。
ペットを長生きさせやすい
獣医療の発展にともない、ペットの平均寿命は年々延びています。
一般社団法人ペットフード協会が実施した「令和3年全国犬猫飼育実績調査」によると、犬全体の平均寿命は14.65歳、猫は15.66歳と、ともに大きく延びていることが分かりました。
とはいえ、高度な治療や長期の治療が必要になった場合は、経済的な理由で治療を諦めなくてはならないケースも十分考えられます。
ペット保険に加入しておけば、いざというときに治療費の心配なく適切な治療を選択できます。
ペットの体調に気になることがあったときも、治療費が気になって受診のタイミングを逃してしまうことはありません。
どうぶつ健保ふぁみりぃなどのペット保険を扱うアニコム損保では、犬猫の腸内フローラ検査を毎年1回無料で実施。
病気のリスクを判定することで、病気の予防や早期発見につなげる業界初の取り組みを行っています。
損害賠償の対策ができる
ペット保険には、特約として「ペット損害賠償責任特約」を付けられるものも少なくありません。
ペット損賠賠償責任特約とは、ペットが咬む・ひっかくなどして他人にケガをさせてしまったり、他人のものを壊してしまったりした際に使える特約です。
こうしたトラブルでは非常に高額な損害賠償金が発生する可能性があるため、ペット保険に付帯しておくことで、ペットによる損害賠償責任に備えられます。
ペット保険の加入率【増加の理由】
日本のペット保険加入率は、約12~16%程度といわれています。
世界でみるとまだまだ高い数値とは言えませんが、特に近年は年々増加傾向になり、ペット保険に関心がある方も増えつつあります。
ここでは、ペット保険に加入する人が増えた2つの背景を解説します。
コロナによるペット飼育数の増加
ペット保険加入率の増加には、新型コロナウイルスの流行でペットを飼う人が増えたことが大きく影響しています。
外出自粛によって在宅時間が増え、これまで家庭環境がネックでペットを迎えられなかった人が、次々とペットを飼育するようになりました。
それにより、ペット保険で万が一の治療費に備えたいという方も増加。
コロナ禍でのペット需要の増加に比例して、ペット保険の加入者数も増えているといえるでしょう。
安心できるサービスの導入
ペットとの生活をサポートする制度やサービスも、ペット保険の加入を後押ししています。
最近はペット保険の加入者特典として、LINEやチャット、電話などを通して獣医師や専門家にペットの健康・しつけ相談ができるものも増えています。
なかには、ペットと利用できる宿やカフェでの優待サービスを受けられるペット保険もあり、治療費の補償以外でも活用できる魅力的なサービスになりつつありますね。
ペット保険の選び方について
ひとくちにペット保険といっても、補償内容や保険料、加入条件などは保険会社・商品によってさまざまです。
ここでは、ペット保険を選ぶ際にチェックしたい基本的なポイントを7つご紹介。
それぞれ簡潔に解説するので、ぜひ目を通してみてくださいね。
補償内容の適用範囲はどうか?
まずは、希望する補償内容を確認しておきましょう。
ペット保険の補償範囲としては、主に以下3つのパターンがあります。
- 通院だけを補償するもの
- 入院・手術を補償するもの
- 通院・入院・手術を補償するもの
多くのペット保険は、通院・入院・手術すべての補償するフルカバータイプですが、なかには通院補償だけの保険や、入院・手術に特化した保険もあります。
一般的に保障の範囲が狭いほど保険料は下がるため、予算と照らし合わせて検討しましょう。
補償割合は何%か?
ペット保険では、保険の対象になる治療費の割合が決められています。
保険会社や商品によっても異なりますが、一般的には「50%」「70%」の2種類が基本。
保険会社によっては100%補償プランを用意しているところもありますが、補償割合が高くなるとそのぶん保険料も上がるという点は必ず覚えておきましょう。
免責金額の設定はどうか?
免責金額とは、あらかじめ保険会社が保険金を支払わないと定めた金額のことで、そのぶんは必ず飼い主側が負担する必要があります。
免責金額「あり」のペット保険は免責金額「なし」のペット保険より保険料が安く設定されていることが多いです。
ただし、加入を希望する場合は①治療費が免責金額以下の場合は補償が発生しないこと、②免責金額なしの保険より保険金額が少なくなることを考慮したうえで検討しましょう。
契約後に後悔しないためにも、メリットとデメリットを踏まえておくことが大切です。
補償制限を確認する
多くの保険では、保険金支払限度額(1日あたり・年間)や利用可能日数を設定しています。
これを超えた治療に関しては、本来補償対象の傷病であっても補償対象外になるため注意しましょう。
なお、補償制限を確認する際は「1日あたりではなく年間の設定」「通院・入院まとめて年○回」など、なるべく広い範囲で柔軟性があるものがおすすめです。
保険料はトータルで計算する
ペット保険の保険料は、ペットの年齢に比例して上がるのが一般的です。
そのため加入を検討する際は、加入時だけでなく、年齢が上がった時の保険料も考慮した「予想寿命までのトータル保険料」で考える必要があります。
ペットが若いうちは安くても、ある一定の年齢になると急激に保険料が上昇するものもあるため、注意してください。
特約の内容も確認しておく
上で紹介したペット損害賠償責任特約以外にも、ペット保険の特約は色々あります。
例えば、ペットが病気やケガで歩行困難になった際の移動用補助器具購入代を補償してくれる「ペット用車いす特約」や、ペットが亡くなった際の火葬代や仏具にかかる費用を補償する「ペットセレモニー費用特約」など。
特約には主契約に自動で付帯される無料のタイプと、任意で申し込む有料のタイプがあるため、ペット保険を検討する際はこちらも合わせて確認すると良いでしょう。
年齢制限は何歳からか?
ほとんどのペット保険では、新規で契約できる年齢の上限を定めています。
具体的な年齢は保険会社ごとに異なりますが、おおむね6~10歳程度のものが多いでしょう。
もしすでにペットが中高齢期に入っている場合は、保険会社のサイトやパンフレットを確認し、新規加入が可能かどうか・持病による加入制限がないかチェックしておきましょう。
なお、入ってはいけないペット保険については以下の記事で詳しく解説しています。
注目されているペット保険
最後に、今注目されているペット保険を2つ紹介します。
どちらも補償内容と保険料のバランスが良く、多くの飼い主さんに選ばれている商品なので、どのペット保険を選べば良いか迷っている方はぜひ参考にしてみてくださいね。
ペット保険のFPC
補償割合 | 50% |
保険料 (月払い) | 1590円 |
免責金額 | なし |
補償タイプ | 通院・入院・手術フルカバー |
新規加入可能年齢 | 9歳未満 |
ペット保険のFPCは、小型犬に多い膝蓋骨脱臼や椎間板ヘルニア、歯周病もしっかりカバーしてくれるペット保険。
入院補償の上限は年3回と回数で決まっているので、高額な治療費がかかっても安心です。
12歳以降の保険料変動がなく、生涯保険料を抑えられるのも魅力的といえるでしょう。
期間限定のキャンペーン開催中なので、要チェックです。
PS保険
補償割合 | 50% |
保険料 (月払い) | 1430円 |
免責金額 | なし |
補償タイプ | 通院・入院・手術フルカバー |
新規加入可能年齢 | 8歳11か月 |
PS保険は待期期間なしで加入できる、ペット保険では貴重な保険です。
ペット保険の多くは初年度に限り、保険契約の開始日から一定期間補償が受けられない「待期期間」があります。
待期期間中の病気は補償の対象外になってしまうため、PS保険のような待期期間なしの保険はとても助かります。
FPCと同じく、12歳以降は保険料が上がらないのも魅力です。
また、24時間365日対応可能な獣医師の無料電話相談サービスも付いています。
万が一に備えてペット保険も検討しよう
ペット保険はいざというときの備えであり、ペットの長生きにつながる大切なものです。
ペットが健康なうちはいらないと感じるかもしれませんが、いざ病気やケガになったり、高齢で体調不良が増えたりしたときには、「入っていて良かった!」と思えるでしょう。
ペット保険のなかには、獣医師への健康相談やお得な優待など、治療費の補償以外にも魅力的なサービスを用意している会社もあります。
ペットとの暮らしをもっと豊かに、安心して過ごせるよう、ぜひペット保険の加入を検討してみてはいかがでしょうか。