共有不動産を売るのに必要な書類とは?共有者が拒否する場合の解決方法を元弁護士が解説!

共有不動産を売る際にはさまざまな書類が必要です。「いざ売却」というときに書類が足りていないとせっかくの売却チャンスを失ってしまう可能性もあるので、どういった書類が必要か把握しておきましょう。

共有不動産を売却するには他の共有者全員の合意が必要です。合意を得られない場合にどのように対応すれば良いのかもお伝えします。

今回は共有不動産を売却する際の必要書類やそれぞれの入手先、合意できない場合の対処方法を解説します。不動産が親族などの人と共有状態になっている方はぜひ参考にしてみてください。

共有不動産売却に必要な書類一覧と入手先

まずは共有不動産の売却に必要な書類と入手先の一覧を示します。

【共有不動産売却の必要書類一覧表】

書類入手先
共有者全員の実印と印鑑登録証明書市町村役場
共有不動産の全部事項証明書法務局
共有不動産の登記済権利証(登記識別情報)不動産の取得時に法務局から交付されている
共有者全員の身分証明書他の共有者がそれぞれ保管
間取図不動産の取得時に取得したものなど
建築確認済証・検査済証(戸建ての場合)不動産の取得時に交付されたもの
地積測量図・境界確認書(土地が含まれる場合)不動産の取得時やその後に取得
管理規約・使用細則(マンションの場合)マンション管理組合や管理会社へ問い合わせる
共有不動産の固定資産評価証明書または市町村役場固定資産税や都市計画税の納税通知書市町村役場
委任状(他の共有者が立会いできない場合)立会いができない共有者に作成してもらう

以下でそれぞれの書類について、解説を加えます。

共有者全員の実印と印鑑証明

共有不動産を売るときには、共有者全員分の実印と印鑑登録証明書が必要です。

他の共有者へ連絡を入れて、市町村役場で印鑑登録証明書を取得してもらいましょう。

印鑑登録していない共有者がいる場合には、先に印鑑登録からしてもらわねばなりません。

印鑑登録も市町村役場でできます。

共有不動産の全部事項証明書

共有不動産を売却するには、不動産の「全部事項証明書」を入手しておくべきです。

全部事項証明書とは、不動産の明細や所有者などの登記情報が載っている書面です。

法務局で申請すれば取得できるので、手元にない場合には1通用意しておきましょう。

共有不動産の登記済権利証(登記識別情報)

不動産を売却する際には「登記済権利証」が必要です。これは不動産を取得した際に法務局から交付されている書類です。共有者のうち誰か1人が持っている可能性もあるので、自分が持っていないときには他の共有者へ問い合わせてみましょう。

不動産を取得した時期が最近の場合、登記済権利証ではなくA4サイズの「登記識別情報通知」が交付されている可能性もあります。

いずれにしても紛失していると手間と費用がかかるので、できるだけ探し出して用意しましょう。

共有者全員の身分証明書

共有不動産の売却では、共有者全員分の運転免許証などの身分証明書が必要です。売却の際に提示しなければならないので、事前に他の共有者へ伝えておきましょう。

間取り図面

不動産を購入した際に間取り図面をもらっている場合、手元に用意しましょう。

建築確認済証・検査済証(戸建ての場合)

売りたい不動産が一戸建ての場合、建築確認証や検査済証とよばれる書類が必要です。

家を建てた際に不動産会社や建築士から交付されています。

自分で保管していない場合、他の共有者が保管している可能性もあるので、問い合わせをして準備しましょう。

地積測量図・境界確認書(土地がある場合)

売りたい不動産が土地の場合、地積測量図や境界確認書も必要です。境界争いが起こっていないことを買主候補へ説明しなければならないためです。

現時点において境界確認できていない場合、今から境界確認をしなければならない可能性もあります。

境界の確認状況をチェックして、もしまだの場合には隣接地の所有者へ声をかけて境界確認を行いましょう。

管理規約・使用細則(マンションの場合)

売りたい不動産がマンションの場合、マンション管理規約や使用細則などのルールを定めた書類が必要です。

手元に写しがなければマンション管理組合や管理会社へ問い合わせをしましょう。

共有不動産の固定資産評価証明書または固定資産税や都市計画税の納税通知書

不動産を売る際には固定資産評価証明書も必要になります。手元にない場合、市町村役場で取得できるので申請しましょう。

固定資産評価証明書がなくても、毎年市町村役場から届く固定資産税や都市計画税の納税通知書があれば手続きを進められます。

委任状(他の共有者が立会いできない場合)

共有不動産を売る際には、他の共有者全員に協力してもらわねばなりません。

不動産会社へ仲介を依頼する際や不動産売買契約書を作成する際など、基本的にその場で立ち会ってもらう必要があります。

ただどうしても忙しくて立ち会えない人もいるでしょう。そういった場合、共有者からの委任状があれば、他の共有者が代理人として手続きを進められます。委任状には実印を使って署名押印してもらいましょう。

委任状の作成方法

委任状を作成する場合には、委任事項を明示しなければなりません。

不動産を特定した上で、その不動産の売却手続き一切を依頼する内容にすると良いでしょう。不動産を特定する際には、不動産の全部事項証明書の「表題部」の欄を引き写して表記します。住所表記は使いません。

また立ち会えない共有者が複数いる場合、1通の委任状へ複数の共有者が署名押印してもよく、人数分の委任状を作る必要はありません。

誰に委任すべきか

共有不動産の売却に立ち会えない人がいる場合、誰に手続きを委任すべきなのか迷ってしまう方も多いでしょう。

委任先は、認知症の人や未成年者など以外の人であれば誰でもかまいません。

一般的には他の共有者か不動産業者、弁護士などの専門家に委任するケースが多数です。

共有者の関係が良好な場合には他の共有者へ依頼するのが良いでしょう。一方、不仲な場合や連絡を取りにくい場合には不動産業者や弁護士に依頼する方がストレスなくスムーズに売却手続きを進められます。

ただし弁護士に依頼すると費用もかかるので、状況に応じて委任を検討してみてください。

共有不動産を売却する流れ

共有不動産を売る際には、以下の流れで進める必要があります。

STEP1 共有者と合意する

まずは他の共有者と話し合い、全員が不動産の売却に合意しなければなりません。

共有不動産は、共有者が1人でも反対したら売れません。

反対する共有者がいる場合には、売却のメリットや必要性を示して説得する必要があります。

STEP2 共有不動産の査定を依頼する

共有者が全員不動産の売却に合意したら、仲介を依頼する不動産会社を決める必要があります。

いくつかの不動産会社へ査定を依頼すると良いでしょう。その中でもっとも対応の良い会社へ委任すると失敗しにくくなります。

STEP3 媒介契約を締結する

不動産会社を決めたら、媒介契約を締結します。共有不動産の場合、共有者全員が不動産会社と媒介契約を締結しなければなりません。その意味で、委任先の不動産会社選定の際にも他の共有者と話し合いが必要になります。

委任状をもらって一部の共有者が手続きを進めることも可能です。

STEP4 共有不動産の売出しと売却手続きを進める

不動産会社へ共有不動産の売出しや売却手続きを進めてもらいます。

買主が決まったら不動産の売買契約書を作成しなければなりません。このときにも基本的に他の共有者全員の合意が必要で、契約書の作成に立ち会ってもらう必要もあります。

立会いが難しい共有者がいる場合には委任状で対応しましょう。

STEP5売却金を清算する

共有不動産の場合、売れた後にも手続きが必要です。

売却金は通常1人の共有者の口座へ入ってくるので、共有者全員で清算しなければなりません。

受け取る割合は「共有持分」に対応する金額となります。

たとえば3人で共有している不動産が3000万円で売れて、共有者の1人が2分の1、他の2人がそれぞれ4分の1ずつのケースでは、2分の1の共有持分権者が1500万円を受け取り、他の2人がそれぞれ750万円ずつを受け取って清算します。

後からトラブルにならないよう、委任状を渡した共有者にもきちんと説明をして、振込などの方法で確実に入金清算を行いましょう。

共有者が不動産売却の合意しない場合の対処方法

他の共有者が不動産売却の合意しない場合、以下のように対応するのがおすすめです。

共有物分割請求をする

1つは共有物分割請求です。他の共有持分権者と持分買取や売却について話し合い、合意ができなければ裁判所へ訴えます。

裁判所で共有持分買取訴訟を起こせば、最終的に裁判所が判決で共有物件の分割方法を判断してくれます。

その際には以下の3種類の方法から選択されます。

現物分割

土地を分筆するなどしてそれぞれの共有者が物件を取得する方法です。

価額賠償

1人の共有者が物件を取得し、他の共有者へ代償金を支払って清算する方法です。

競売

不動産を売却して売却金を共有者全員で清算する方法です。競売になるので市場で売却するより低価額になってしまうケースが多数です。

他の共有者へ持分買取を打診

共有不動産を売りたくても売れない場合、自分の持分のみを売却する方法を検討しましょう。持分だけであれば、自分ひとりの判断で売却できます。

まずは他の共有者へ買取を打診してみましょう。価額などの条件について合意できれば売却ができて、面倒な共有関係からも外れられます。

なお状況次第では、こちらが他の共有者の持分を買い取ってもかまいません。

共有持分買取業者へ買取を打診

他の共有者が買い取ってくれない場合には、第三者へ共有持分を買い取ってもらう方法を検討しましょう。このとき候補になるのは「共有持分買取業者」という専門の不動産会社です。共有持分のみを取得してもあまりメリットがないので、一般的な不動産会社や一般法人、個人などは共有持分のみの買取に対応していないのが通常です。

ただし共有持分買取業者にもいろいろな会社があります。即時買取してもらえるところ、高額な買取価額を提示してくれるところなどもあるので、まずは一度、気になる共有持分買取業者へ持分買取価額についての査定を依頼してみましょう。

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