共有持分は相続時に売却するのがおすすめ!相続してから売却の流れを元弁護士が解説!

「共有持分を相続したけれど、どのように対処したらいいの?遺産分割や登記もどうやって進めれば良いのかわからない」

共有持分を相続すると、対応に迷ってしまう方が多数います。あなたも上記のようなお悩みを抱えているのではないでしょうか?

共有持分の相続では「1つの全体の不動産」とは異なり、権利関係が複雑になりやすいので対応に注意が必要です。

今回は共有持分を相続した場合の手続きの流れや共有に潜むリスク、共有状態を解消する方法をお伝えします。

共有持分を相続してしまった方は、ぜひ参考にしてみてください。

共有持分の相続とは

不動産の共有持分の相続とはどういった状態なのでしょうか?

一般的な一筆の不動産の相続とどのような違いがあるのか、みてみましょう。

共有持分とは

共有持分とは、一筆の不動産を複数の人が所有している状態において、それぞれの共有者(共有持分権者)に認められる割合的な権利です。

1つの不動産であっても、複数の人が共有できます。そのとき、一人ひとりに認められる権利が共有持分です。

一人ひとりの共有持分権者の持分割合は「○分の○」などの分数であらわされ、全員の共有持分権者の共有持分を合計すると「1(100%)」となります。

共有持分の調べ方

お亡くなりになった方が不動産を共有していた場合、共有持分も相続の対象になります。

相続手続きを進めるには、相続された共有持分割合や他の共有者について、調べなければなりません。

共有不動産の詳細については、不動産の「全部事項証明書」を取得して調査しましょう。

全部事項証明書はいわゆる「登記簿謄本」のことであり、全国の法務局で取得できます。

全部事項証明書を見ると、不動産の共有持分権者の名前や住所、それぞれの共有持分割合が記載してあります。

全国の法務局やネットで申請できるので、相続人となったら、まずは不動産の全部事項証明書を1通取得してください。

共有持分を相続する流れ

以下では不動産の共有持分を相続する流れを確認していきます。

  1. 不動産の状況を確認する
  2. 不動産の評価額を調べる
  3. 遺言書を探す
  4. 相続人調査、相続財産調査をする
  5. 遺産分割協議をする
  6. 相続登記をする
  7. 相続税を支払う

それぞれのステップをみていきましょう。

STEP1 不動産の状況を確認する

まずは共有不動産の状況を正確に把握しなければなりません。

法務局で不動産の全部事項証明書を入手し、登記されている内容を確認します。

全部事項証明書を見たら、被相続人の共有持分割合や他の共有者の情報がわかります。

STEP2 不動産の評価額を調べる

不動産の詳細情報がわかったら、評価額を調べましょう。

不動産会社へ査定を依頼すれば、無料で評価額を出してくれます。

相続税に対応するには査定額ではなく「路線価」を参照する必要があります。

ただしこれらの評価額は「不動産全体」の価額なので、共有持分の場合には割合的な共有持分の価値に引き直しましょう。

共有持分の評価額は、おおむね以下のように計算できます。

「共有持分の評価額=不動産全体の価額×共有持分割合」

たとえば不動産が2000万円で共有持分割合が2分の1であれば、相続財産としての価値は1000万円となります。

STEP3 遺言書を探す

被相続人が遺言書を遺していたら、遺言書の内容に従って相続手続きを進めなければなりません。

以下の方法で遺言書がないか確認しましょう。

  • 自筆証書遺言が法務局に預けられていないか調べる
  • 自宅や貸金庫などに自筆証書遺言や秘密証書遺言が保管されていないか調べる
  • 公証役場で検索して公正証書遺言が遺されていないか調べる

遺言書が見つかった場合

自筆証書遺言や秘密証書遺言が自宅や貸し金庫などで見つかったら、家庭裁判所で検認を申請しましょう。その他の遺言書の場合には検認は不要ですぐに相続登記を進められます。

遺言書がなかった場合

遺言書がなければ遺産分割を進めましょう。

STEP4 相続人調査、相続財産調査をする

遺産分割の前提として、相続人調査や相続財産調査をしなければなりません。

被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本類を取得して、どのような相続人がいるかを確認しましょう。

預貯金などの遺産状況についても個別に調べる必要があります。

STEP5 遺産分割協議をする

相続人や遺産の内容が確定したら、相続人全員が参加して遺産分割協議を進めましょう。

全員が遺産分割の方法に合意できたら遺産分割協議書を作成します。

STEP6 相続登記をする

遺産分割協議書ができたら、共有持分の相続登記を行いましょう。

相続登記の方法は、共有持分であっても不動産全体であっても基本的に同じです。

被相続人の出生時から死亡時までの戸籍謄本類や相続人の印鑑登録証明書、遺産分割協議書などの必要書類を揃えて管轄の法務局へ登記申請をします。

不備がなければ共有持分の権利者名が被相続人から相続人へと書き換わります。

自力で相続登記するのが難しければ、司法書士へ登記申請を依頼しましょう。

STEP7 相続税を支払う

相続された遺産全体の評価額が相続税の基礎控除を超える場合、相続人は相続税を払わねばなりません。

基礎控除の金額は以下のとおりです。

「3000万円+600万円×法定相続人数」

相続した遺産が共有持分の場合の相続税額は、不動産全体の評価額ではなく「共有持分割合」に応じた金額になります。不動産全体と間違えないように相続税の計算をしましょう。

相続税への対応について自分で対応するのが難しければ、税理士に税額の計算や申告を任せるようおすすめします。

相続不動産を共有状態にしておくデメリット、リスク

共有不動産の基本的な相続の流れは上記のとおりです。しかし共有不動産には以下のようなデメリットやリスクがあるので、相続した不動産を共有状態のままにしておくのはおすすめできません。

1人でできることが少ない

共有不動産の場合、一人ひとりの共有持分権者が単独でできることが非常に限られています。基本的には使用や保存行為しかできません。保存行為とは「不動産の現状維持に役立つこと」です。

不動産の改良や処分には他の共有者による合意が必要です。リノベーションや増改築、管理会社の選定、売却や抵当権を設定しての借り入れにはすべて他の共有者と話し合って合意しなければなりません。

トラブルのもとになりやすい

共有不動産の場合、事あるごとに他の共有者と話し合って合意しながら対応を進めていく必要があるため、お互いに意見が合わないとトラブルになってしまいます。

1人の共有者が独占的に利用して使用量を払わないので他の共有者とトラブルになる事例も少なくありません。固定資産税などの費用の精算がスムーズに進まないトラブルもよくあります。

共有不動産はトラブルの種になるので、共有持分を相続する場合にはリスクをしっかり理解しておくべきです。

相続が起こると混乱状態になる

共有持分に相続が発生すると、もとの共有持分権者の相続人が新たな権利者となります。

遺産分割協議で1人が相続せずに複数の相続人が法定相続分に応じて相続してしまったら、共有持分権者が増えてそれぞれの持分割合も細分化されてしまいます。

相続が発生するたびに共有関係が複雑になり、もはや誰が誰と共有しているのかわからなくなってしまうケースも少なくありません。

相続の繰り返しによって混乱状態となるリスクがあります。

固定資産税や管理費用がかかる

共有不動産にも固定資産税はかかりますし、管理会社に委ねたら管理コストもかかるでしょう。共有持分を有していたら、これらの費用も負担し続けなければなりません。

共有状態を解消する方法

共有不動産にはリスクが多いので、できれば早めに共有状態を解消すべきです。

解消するには、以下のような方法があります。

他の共有者と話し合って不動産全体を売却する

1つ目は、不動産全体を一般市場で売却する方法です。

共有不動産を売るには共有持分権者全員が合意しなければなりません。

他の共有者を調べて連絡をとり、一人ひとりを説得しましょう。

共有持分を買い取ってもらう

他の共有持分権者に自分の共有持分を買い取ってもらう方法もあります。

一般に、不動産を単独で所有している人や共有持分割合の大きな人であれば、買ってくれる見込みが高くなります。

他の共有者の共有持分を買い取る

自分が他の共有者の持分割合を全部買い取り、単独オーナーとなる方法です。

単独所有者となれば、その後に1人で不動産を市場で売却できます。

ただし他の共有者が売却に同意しなければなりません。金額についての取り決めも必要なので、合意できそうであれば話し合いを進めましょう。

共有持分のみを専門業者へ売却する

他の共有者との話し合いが難しい場合には、共有持分のみの売却を検討しましょう。

共有持分だけであれば、他の共有者の同意なしに売却が可能です。

ただし共有持分を一般の不動産市場で売ろうとしても、買い手がつかないのが通常です。売り先は専門の共有持分買取業者となります。共有持分買取業者とは、共有持分などの「訳あり物件」を専門的に買い取る不動産会社です。

共有持分を売りたいときには、そういった不動産会社へ声をかけましょう。

共有持分を売却する方法

共有持分を売却する場合、他の共有者の合意が要らないので話し合いの必要はありません。

他の共有者に知らせずに無断で売却してもかまいません。

他の共有者との関係がうまくいっていない方や関わりたくない方には大きなメリットがあるでしょう。すぐに現金が入ってくるので、相続税の納税資金にも使えます。

売却の際には以下の流れで手続きを進めましょう。

STEP1 相続人全員で売却するか代表者が売却するかを決める

相続した共有持分を売却するとき、相続人全員で売却手続きを進めるか代表者を決めて売却するか決める必要があります。

全員で売却すると手間がかかりますが、仲がよくなければ全員がかかわった方が手続きの透明性を確保できて合意しやすくなります。

いずれにせよ、遺産分割協議書へは「換価分割を行う」という記載が必要となりますので、記載漏れのないように注意しましょう。

  • 換価分割…不動産を売って売却金を相続人間で分配する遺産分割方法

STEP2共有持分買取業者を選定する

次に共有持分買取業者を選定しなければなりません。

業者によって査定額が異なる可能性があるので、複数業者に査定を依頼するようおすすめします。

査定額が高額なところ、対応が丁寧で信頼できそうなところに売却すると、良い取引を実現しやすくなるでしょう。

STEP3 条件を定めて売買契約を締結する

売買価額などの条件が決まったら、共有持分の売買契約を締結します。

契約書については不動産業者が用意するので、自分で作成する必要はありません。

契約書や重要事項説明書などの書面の内容をしっかり確認して不利益を受けないように対応しましょう。

STEP4 決済と登記を行う

売買契約を締結したら、速やかに決済をして共有名義の登記を行います。

即日で買い取ってくれる業者もあります。

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ABOUT US
福谷 陽子弁護士
ライター 元弁護士 弁護士として約10年間業務につき、法律事務所を経営。その後ライターへ転身し、各種法律記事や不動産関係の記事を精力的に執筆している。 共有関係を始めとした不動産についても深い知見を持ち、売買、相続、離婚、任意売却にまつわる記事の執筆、監修などの実績が高い。 難しくてわかりにくい法律や不動産についての知識をわかりやすく伝えたいという想いを持ち、日々の執筆に取り組む。