可愛い愛犬が突然豹変して噛みついてきた…!なんて経験ありませんか?
噛んだ理由がわからないとなんだか愛犬のことが怖くなってしまいますよね。
ワンちゃん達の噛む力はとても強く、小型犬でも人間の約5倍とも言われています。
本気で噛まれてしまうと皮膚がちぎれる、貫通する、骨折するなど大けがにつながることも。
実際動物病院で勤務しているとどうしてもそういった場面が出てきますが治癒にも時間がかかりますし、なんといっても痛いです…。
そこで今回はワンちゃん達の噛み癖がついてしまう原因やその解決方法についてまとめてみました!

この記事を書いた人
保有資格:動物看護師認定機構認定動物看護師/愛玩動物飼養管理士2級/全日本ハンドリング検定/全日本トリミング検定/販売士検定3級
日本動物専門学校を卒業後、苅谷動物病院に就職24時間365日診療の現場に身を置き、動物医療を学ぶ。その後地域密着型の個人院に転職し現在動物看護師歴は14年目。詳しいライター情報はこちら
大前提!犬が噛むのは自然な事
ワンちゃん達はそもそも噛む動物です。
不安や危険を感じたときは防衛として、嬉しい時や興奮したときはボディランゲージとして噛む、という行動を起こします。子犬期からの癖がぬけないまま、じゃれているつもりで甘噛みしてしまうワンちゃんも多くいます。
嚙むこと自体は自然な行為ですので完全にやめさせる必要はありません。
ただし噛む力が強い動物ですからその行動でケガや事故が起こる可能性もありますよね。
そこで噛んでいいもの、ダメなものをきちんと教えてあげる事、それが飼い主さんのお仕事となります。
子犬期が最も重要
子犬期の甘噛みはよく見られる行動です。
乳歯が生えてくるタイミング、永久歯に抜け替わるタイミングは歯がむずがゆいため噛んで解消していることも。
また子犬は本来この時期に甘噛みしながら他の兄弟犬や母犬とじゃれて遊び、噛むときの力の加減の仕方を覚えていきます。
学習前に引き離され家庭に迎え入れられる子も多いため、飼い主さんが親犬に代わりしっかり教えていく必要があります。
ここで甘噛みをよしとしてしまうと、成犬期以降も噛み癖が抜けなくなりますのでいかに社会化期であるこの時期にトレーニングをしていくかがポイントです。
噛んでしまう理由とは?
攻撃
突然触られたり大きな声で怒鳴られたりしたときに恐怖や不安を感じ、攻撃として噛みつくことがあります。強い痛みを感じた時に咄嗟に噛みついてしまう事も。
決まった姿勢や動作を行う時に噛みつく仕草が見られるときはどこか痛いのかも?
一度動物病院でチェックしてもらうと安心です。
トラウマ
過去に大柄の男性に痛い思いをさせられた、柴犬に噛まれたことがある、などワンちゃん達はトラウマをしっかり記憶しています。
似ている風貌の対象と接触した時にトラウマがよみがえり噛んでしまうことも。
防衛
ご飯やおもちゃ、産後のワンちゃんであれば子犬たち、自分の大切なものを取られまいと守るために噛みつきます。
飼い主さんを守るため訪問者がその対象になることや、飼い主さんのお子さんが産まれたときに赤ちゃんを守ろうと周囲にいる人間すべてが対象になることもあります。
興奮
喜びが爆発している時など興奮状態になってしまっているときもうっかり噛みついてしまうことがあります。甘噛みのつもりが思いのほか強く噛んでしまった、そのつもりはなかったが歯があたってしまったなどが当てはまります。
ストレス
運動不足や生活環境の変化などワンちゃんに大きなストレスがかかると噛みついてストレスを発散させることも。
人間だけでなくおうちの柱や机の脚などを噛み続けてストレスを解消しようとすることもあります。
パニック
興奮時と同様にパニック状態になったときも勢いで噛みついてしまう事があります。
お外に飛び出してしまったり、突然見知らぬ人に抱き上げられたりとどうしていいかわからず興奮と恐怖が押し寄せ噛むという行動に繋がります。
要求
遊んでほしい、おもちゃを取ってほしい、おやつが欲しいなど要求がある時に噛みつくことで気持ちを表現することも。
この要求にこたえてしまうと噛めば要求が通る、と認識してしまい噛み癖がついてしまいます。
甘え
子犬が親犬に甘えるときは甘噛みをしてアピールをします。飼い主さんに対しても同様に愛情表現の一つとして歯を立てていることがあります。
子犬期から成長するほどに噛む力も強くなっていきますので早めにやめさせるトレーニングを行いましょう。
噛み癖の対策方法
噛み癖のトレーニングを行う大前提として、飼い主さんは群れのリーダーであり愛犬に噛んでいいもの、いけないものを教える立場であることを頭に置いておきましょう。
噛みついてくる愛犬に恐怖心を持ってしまう方ももちろんいらっしゃるかと思いますが、そういった感情は愛犬にも伝わってしまいます。
叱る時は叱り、褒める時はしっかり褒める。トレーニングの方針をしっかり決めできるだけ冷静にすすめていくことで愛犬に飼い主さんがリーダーであることを理解してもらいます。
興奮時やパニック
興奮時に噛んでしまった時は大きな声で叱ったり痛がると飼い主さんが構ってくれた、反応してくれた、と認識してしまい逆効果です。
【いけない】【ノー】など動作をやめさせるコマンドを出し静かにハウスに入れ落ち着くのを待ちましょう。
要求や甘え
要求があって噛みついた時は要求をかなえてしまうのはNG。
噛みつくと要求が受け入れてもらえない、ということを覚えてもらいます。
攻撃やトラウマ
触る時は優しく声をかけてから、などワンちゃんが恐怖を感じてしまわないよう生活スタイルを見直しましょう。特に白内障など視力が落ちているワンちゃんには配慮が必要です。
人間に対してトラウマを持っている場合には様子を見ながら噛んでしまう対象者からおやつをあげてもらうなど少しずつ慣らしていきます。
ただし、ワンちゃんのストレスになりかねませんので慎重に様子を見ながら進めていきましょう。
まずは飼い主さんが抱っこしている状態で優しく声掛けをしてもらう、などから始めてもOKです。
他の犬に反応してしまう場合も同様に、抱っこから接触させることで少しずつ慣れてくれるかもしれません。
独占欲、防衛
おやつやおもちゃなど大切なものを取られたくない、守りたいという状況で噛みついてしまう時は噛まなければもっといいものが出てくる、と覚えてもらいます。
フードであればトッピングが追加される、おもちゃであれば引き換えにおやつがもらえる、など繰り返しトレーニングを行います。
ストレス
生活環境の変化、運動不足などストレスの要因になるようなことがないか思い返してみましょう。
お散歩や飼い主さんと遊ぶ時間を増やす、などワンちゃんのフラストレーションが溜まらない生活を意識してみてくださいね。
おもちゃ
家具や飼い主さんのかばんなど物を噛んでしまう時は「噛んでもいいもの」を代わりに与える事が解決につながるかもしれません。
コングなど噛んで遊べるおもちゃを用意してみましょう!
トレーナー
どうしてもご自宅でのトレーニングが難しい場合にはプロのドッグトレーナーさんに頼るのも一つです。
トレーニング方法はトレーナーさんによって差がありますので愛犬や飼い主さんの考え方に合う方を見つけてくださいね。
避妊去勢
本能的に噛んでしまうワンちゃん達ですが、そこには性ホルモンも関係しています。
避妊や去勢手術を行うことでホルモン分泌が落ち着き、性格が穏やかになることもあります。
変化がないケースもありますが将来的な病気の予防にもなりますので一度動物病院で相談してみてもいいかもしれません。
しつけのNG例
噛まれたときにやってはいけないことが【大声で怒鳴る】【叩く】といったワンちゃんの恐怖心や不安をあおるような行動です。
咄嗟に強く叱りたくなりますが恐怖心を刺激してしまうと一層噛み癖が激しくなってしまいます。
叱る時は静かに低い声で注意しましょう。
もし噛まれてしまったら
もしワンちゃんに強く噛まれてしまったら水で傷口を洗い流し止血をしましょう。
ワンちゃん達の歯は歯石が沈着しており細菌が大量にいる環境です。
5分程度はしっかり流し感染を防いでください。
その後圧迫で止血をします。清潔なタオルやガーゼで10分程圧迫すれば止血できるかと思います。
ただし貫通した、出血が多い、出血が止まらない、という場合には速やかに病院さんへかかられてください。
皮膚科や外科の病院さんがいいでしょう。夜間であれば夜間外来で見てくれるところにかかられてください。状況によっては破傷風のワクチンを接種することもあります。
翌日になって腫れてしまう事もありますので止血ができても念のため受診しておくと安心です。
なおごくまれに動物病院にいらっしゃる方がいますが動物病院では人間の治療や処置はできませんのでご注意ください。
まとめ
いかがでしたか?
実は私の愛犬も唐突にパニックを起こしては人や自分の尻尾に噛みつくことがありました。
一度噛まれてしまうと恐怖心が出てしまいひるんでしまうのですが、そのままにしてしまうとますます悪化してしまいます。
我が家は生活改善や去勢などが功を奏し、成犬期以降で大分改善が見られました。
飼い主さんとワンちゃんが仲良く穏やかに暮らしていけるよう早めに対処をしていきましょう!

監修者:渡邊星海
保有資格:小動物看護士/ペット販売士/トリマーB級/ハンドラーC級/訓練士補/二級愛玩動物飼育管理士/第一種動物取扱業登録/動物取扱責任者
JKC公認トリマー養成機関で2年犬に関する様々な知識や技術を学び、多数の資格をとる。トリミングサロンStar seaを経営しながらドッグフードベストわんっ!を運営。
詳しい監修者情報はこちら