猫が排泄をしない原因とその対処法とは?猫の排泄について詳しくご紹介します

猫の排泄

猫の祖先は、暑い地域で生活していたため、犬や人と比べると排泄のしくみに違いがあると言われています。

猫も犬と同じようにトイレを覚えてくれるのでしょうか?せっかく用意した猫用のトイレも使用してくれなければ意味がありませんよね。

ここでは、猫の排泄について、猫のトイレについてもご紹介していきます。

猫の排泄について

尿は、腎臓で血液が濾過されることにより生まれた老廃物です。基本的に体に不要なものとして尿管、膀胱、尿道を通って排泄されます。

腎臓は血液を濾過してきれいにし、体内の老廃物を体外に排泄することで体の健康を維持します。さらに、血液のPHや血圧を調節することや体内の水分・ミネラルの量を調節する働きもあります。

腎臓は通常2個ついていて、1つの腎臓には20万個以上のネフロンという器官があります。ネフロンは一度壊れてしまうと再生しません。しかし、他にもたくさんのネフロンがあるため、壊れてしまったネフロンの分も他のネフロンが働きます。そのため、腎臓はかなり機能が低下してからでないと症状があまりみられません。腎臓の病気は発見が遅れやすいだけでなく、発見した時には手遅れという状態になることもある臓器です。

尿管は左右についている腎臓を膀胱へつなぐための管です。腎臓で作られた尿を膀胱へ運んでいきます。

膀胱は尿をためておくための器官です。筋肉でできており、尿量に合わせて大きさが変化します。脳で排泄をコントロールしているため、基本的に漏れてしまうことはありません。膀胱がいっぱいになった時に、脳からの指示で排泄します。

尿道は膀胱の尿を体外に排泄するための管です。尿道括約筋という筋肉により閉じた状態になっていますが、脳から排泄の指示がでると、筋肉が緩み、尿が排泄されます。

オス猫の尿道は細く長くなっており、メス猫の尿道は太く短くなっています。そのため、オス猫は尿結石などができた場合に詰まることが多く、重症化しやすい傾向があります。メス猫は膀胱に細菌が入りやすいため、膀胱炎を引き起こしやすい傾向があるようです。

猫の祖先は暑い地域で生活していました。体に水分をできるだけ残すために、尿を濃縮して排泄します。そのため、ニオイがきつく、一度粗相をしてしまうと水拭きだけではニオイが取りきれないことも多いです。さらに、猫は泌尿器疾患や腎機能障害などの病気も多くみられます。

猫はトイレを覚えやすい?

犬はトイレトレーニングに苦労することも多い傾向がありますが、猫は比較的トイレを覚えやすいです。猫の性格などにもより異なりますが、砂のような場所があればそこで排泄をすることが多いです。

猫トイレは2カ所程度に設置することで覚えやすくなります。初めてトイレを使用する場合は、排泄物のニオイを染み込ませておくことがおすすめです。しかし、不衛生な状態だと、猫が嫌がることもあるため、注意が必要です。

猫トイレは猫砂を使用する場合とペットシーツを使用する場合があります。猫の性格や飼い主さんの方針により異なりますが、猫砂を利用している方が多いです。

猫砂にはいくつか種類があり、紙製、鉱物製、おから製、木製、シリカゲル製などがあります。廃棄方法も種類により異なるため、廃棄しやすく、吸収力・消臭力が高い猫砂を選ぶことがおすすめです。消耗品となるため、コストパフォーマンスも視野に入れて、しっかり検討しましょう。

トイレで排泄しない時の原因

猫はトイレを覚えやすいと聞いていたのに、なかなか覚えてくれないとなると困ってしまいますよね。掃除も大変で、ニオイも一度ついてしまうと清潔にすることも難しいです。では、なぜ、トイレで排泄をしてくれないのでしょうか。

ここでは、トイレを覚えない時の原因についてご紹介します。

1)トイレが汚い・場所が悪い

猫はトイレが汚いことやトイレの場所が悪いとトイレで排泄をしないことがあります

猫は清潔なトイレを好みます。そのため、排泄をした時にはしっかり掃除しましょう。猫は排泄をした時に、砂をかけることがあるため、トイレの周りも汚れることがあるため、トイレ周りも汚れていないか確認しておきます。

トイレは落ち着いて排泄できるような静かな場所に設置しましょう。人通りが激しい場所に置いてしまうと、猫が落ち着いて排泄できませんので、人通りが激しい場所は避けてください。

2)猫砂が気に入らない

猫は猫砂が気に入らないため、トイレで排泄しないことがあります。猫砂にはいくつか種類があり、種類により形や硬さが異なります。そのため、トイレの猫砂は猫が好むものではない時にはトイレを使用しないことがあります。猫を迎え入れたばかりの時には、以前使用していた猫砂を利用してあげることがおすすめです。

3)加齢や病気など

猫は加齢や病気などが原因でトイレを排泄しないことがあります。猫が加齢で体力が落ちてしまうと、猫トイレが高すぎてしまいトイレに入ることが難しくトイレを利用できないケースがあります。

他にも病気でトイレにいけないこともあります。原因が加齢の場合はライフステージに合わせてトイレを選んであげることをおすすめです。原因が病気の場合は動物病院で治療を行う必要があります。症状に応じて動物病院を受診することをおすすめします。

トイレで排泄しない時の対処法

トイレで排泄しないことが続いてしまうと困ってしまいます。

ここでは、猫がトイレで排泄しない時の対処法についてご紹介します。

1)トイレを清潔にする

猫がトイレで排泄しない時は、トイレを清潔にしましょう。猫の排泄物はニオイがきついため、掃除をこまめにしてあげることをおすすめします。ニオイがきついと部屋中嫌なニオイが広がる可能性があるため、消臭対策をしておくこともおすすめです。

2)粗相をした時はしっかり掃除

猫が粗相をした時はしっかりと掃除しましょう。猫は排泄物のニオイがする場所に排泄をすることがあるため、粗相をしてしまった時には、ニオイを取れるように掃除をします。水拭きだけではニオイが取れないことが多いため、ペット用スプレーなどを利用していきましょう。

3)トイレを変更する

猫がトイレで排泄しない時の対処法として、トイレを変更することがおすすめです。この方法は今使用している猫のトイレが合わない場合に有効な方法です。猫トイレはできるだけ使用しやすいものを購入しましょう。

泌尿器関係のかかりやすい病気とは?

猫は泌尿器関係の病気にかかりやすい傾向がありますが、実際どんな病気にかかる可能性があるのでしょうか。病気を知っておくことで、万が一の時に対処しやすくなります。

ここでは、泌尿器関係のかかりやすい病気についてご紹介します。

1)猫下部尿路疾患

猫下部尿路疾患とは、膀胱から尿道までの下部尿路に起きる疾患の総称のことです。尿路結石症、膀胱炎、腫瘍、尿路感染症などの病気が多くみられます

膀胱炎ははっきりとした原因はわからないことが多いですが、尿路結石症は尿路にできる結石が原因となります。トイレに行く回数が増え、残尿感、頻尿、排泄痛、血尿、トイレ以外での粗相などの症状がみられます。

治療としては、原因にあった治療を行っていきます。膀胱炎であれば、炎症の原因を突き止め治療を行い、結石症であれば結石の種類に応じて食事療法、手術などが行われます。

2)細菌性膀胱炎

細菌性膀胱炎は、細菌感染により膀胱に炎症が起こるために引き起こされる病気です。多くが尿道から膀胱に細菌が侵入しますが、膀胱内の結石により膀胱が傷つくことで発症する場合もあります。頻尿、残尿感、トイレに行く回数が増える、血尿、排尿痛などの症状がみられます。

治療としては、抗生物質や抗炎症作用のある内服薬が処方されます。自宅のケアとしてトイレを我慢することがないようにトイレ環境を改善してあげることがおすすめです

3)尿石症

尿石症は、腎臓、尿管、膀胱、尿道の中に結晶や結石ができてしまう病気です。結晶や結石は膀胱や尿道を傷つけてしまうだけでなく、大きくなることで尿道に詰まってしまうことがあります。

代表的な結石として、ストルバイトとシュウ酸カルシウムがあります。ストルバイトは尿のPHがアルカリ性に傾くとみられることがあり、シュウ酸カルシウムは尿のPHが酸性に傾くとみられることがありますが、アルカリ性でもみられることもあります。食事内容や生活習慣などが関係しています。

症状として、頻尿、尿がでない、排泄痛、血尿などがみられます。尿石症は軽度であれば食事療法で様子をみることがあります。しかし、状態があまり良くない場合は手術で摘出することもあります。一度尿石症になると再発率が高いため、普段の生活習慣や食事内容を改善する必要があります。さらに、定期的に尿検査を行うことがおすすめです

4)腎疾患

猫は腎疾患が多くみられます。中でも慢性腎不全は高齢猫に多くみられる病気の1つで、腎臓の機能が徐々に低下していくことで引き起こされます。慢性腎不全は早期発見が難しい病気で、見つけた時には症状がかなり進行していることが多いため、とても怖い病気です。

症状として、多飲多尿、尿量の増加、尿が薄くなるなどがみられます。進行すると、食欲の低下、体重減少、嘔吐などがみられ、尿毒症、激しい嘔吐、低体温症などを引き起こします。最終的には、腎臓が機能しなくなり、そのまま亡くなってしまいます。

治療としては、腎臓の機能を低下させないように、病期の進行を遅らせる治療を行います。腎臓に負担をかけない食事や内服療法などを行うこともあります。

動物病院での対応

泌尿器関係のトラブルは放置すると進行してしまう可能性が高くなるため、動物病院を受診することがおすすめです。では、動物病院ではどんなことが行われるのでしょうか。

ここでは、動物病院での対応についてご紹介します。

1)問診・身体検査

動物病院を受診すると、はじめに、問診や身体検査を行います。問診とは飼い主さんから話を聞くことで、いつから、どんな症状なのか詳しく話を聞いていきます。尿の回数や尿の色なども聞かれることがあるため、尿の状態もしっかりみておきましょう。

身体検査では、猫の体重、心臓の音や脈拍数などを確認していきます。異常がみられる場合は、それに応じて検査なども行います。

2)尿検査

泌尿器トラブルで動物病院を受診すると、基本的に尿検査が行われます。尿検査は尿を持参する必要がありますが、猫の状態によっては動物病院で採尿を行い検査を行うケースもあります。泌尿器関係のトラブルで動物病院を受診する場合はできるだけ尿を持参していくと検査がスムーズに行われます。尿検査では、尿の状態だけでなく、結石の有無などもわかります。

3)血液検査・超音波検査など

泌尿器トラブルで動物病院を受診すると、血液検査や超音波検査などが行われることがあります。尿検査だけでは足りない場合に行われることがあり、検査の結果によっては他にも追加で検査を行うことや内服薬を処方されることもあります。

4)必要に応じて点滴処置も

泌尿器トラブルで動物病院を受診すると、必要に応じて点滴処置が行われることもあります。血液検査の結果が悪かった場合や脱水がみられる時に行われることが多いです。猫の体調によっては定期的に点滴を行わなければいけない場合もあるため、かかりつけの獣医師と相談し、今後の診療方針を決めていきましょう。

自宅で気をつけること

泌尿器トラブルはできるだけ早く気づくことが望ましいです。そのため、自宅で生活している時でも、いろんなことに注意しなければいけません。

ここでは、自宅で気をつけることについてご紹介します。

1)猫の体調を確認

自宅では、猫の体調を確認しましょう。元気や食欲があるか、尿や便の異常がないか、排泄時に痛みはないかなどみてあげます。たくさん水を飲むという症状も病気のサインとなることがあるため、飲水量もチェックしておくことをおすすめします。

2)尿の状態を確認

尿の状態は健康時でもこまめに確認しておくことがおすすめです。トイレに猫砂を使用している方は、尿の色や量を確認することができるようなものを選びましょう。色がついた猫砂は病気を見つけづらくなるため、できるだけ無色なものを選ぶことをおすすめします。

3)こまめに定期検診を

泌尿器トラブルを早期に発見するためにもこまめに定期検診を受けることがおすすめです。特に一度トラブルを起こしたことがある猫は、再発する可能性もあるため、定期的に尿検査を行いましょう。

まとめ

ここでは、猫の排泄について、猫のトイレについてもご紹介しました。猫は体内の水分料の減少を防ぐために、排尿量を少なくしています。そのためか、泌尿器トラブルを引き起こしやすい傾向があります。泌尿器トラブルは命の危険を引き起こす可能性もあるため、見つけた時はできるだけ早く動物病院を受診しましょう。

さらに、猫はあまりトイレトレーニングが必要ないと言われることもありますが、トイレが全くニオイのしない状態だとその場所がトイレだと認識しない可能性もあります。猫がトイレを成功させやすいように、色々とサポートしてあげましょう。

専門家がキャットフードを調査している

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

ABOUT US
山本 星海Dog salon Star sea オーナー
この記事を書いた人 保有資格:小動物看護士/ペット販売士/トリマーB級/ハンドラーC級/訓練士補/二級愛玩動物飼育管理士/第一種動物取扱業登録/動物取扱責任者 JKC公認トリマー養成機関で2年犬や猫に関する様々な知識や技術を学び、多数の資格をとる。トリミングサロンStar seaを経営。